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ラジエーターのメンテナンス

冷却液(ラジエーター液)について

ラジエーター液は冷却液や冷却水とも呼ばれます。

水でも問題なく冷却の機能をしますが、水では凍結すると膨張して、冷却経路を破裂させます。かつては不凍液(クーラント)を混ぜていましたが、長く使用していると、水垢が発生し、ラジエーター内部に水垢が付着し能力低下や冷却経路のパーツを錆びさせることもあります。そこで、現在では腐敗防止作用のあるロングライフクーラント液(長寿命不凍液)を水に混ぜるのが一般的です。ロングライフクーラント液は一般的にLLC液と呼ばれます。

LLCにより2年間程度交換せずにラジエーター液を使用出来るようになり、またラジエーター液の沸点温度を低下させる効果もあります。

最近では長寿命のLLCが登場し、新車時から11年持つものもあります。どれほどの寿命かを見るにはラジエーター液の色で判別出来ます。国産車であれば、赤色または緑で2年~3年、ピンクであれば7年、濃い青であれば11年が目安です。

寿命が長いといっても点検をしなくてはいいわけではありません。

飛び石などで、ラジエーターが破損し液漏れを起こす可能性もあるので、走行中は水温計に注意しましょう。

適温よりも水温計が高くなった場合などはすぐに対応が必要です。

LLC(ロングライフクーラント液)

LLC(ロングライフクーラント液)

ラジエーター液のチェック方法

ラジエーターの点検でこまめに行なったほうが良いものが、ラジエーター液量のチェックです。月に1回程度は点検をしましょう。

点検はラジエーターリザーブタンクでチェックが出来ます。

リザーブタンクの側面にはFULL-LOWやMAX-MINといった上限と下限を示す2つの目盛りがあります。

液量をチェックする場合、エンジンが冷えている時に行うのがベストです。ラジエーター液の温度の変化により、液量が増減するからです。

エンジンが冷えている状態から、目盛りを下回っている場合、液の補充を行います。ラジエーター液の点検時は液の状態も確認しておきましょう。

液に濁りが無いかや、粉状のものが混入していないかを確認します。リザーブタンク内の液が汚れていれば、ラジエーター内の液も汚れている可能性があります。

汚れがひどい場合、交換することも検討しましょう。

ラジエーターキャップのある車種の場合では、キャップの下部のホースがリザーブタンクに繋がっているのがほとんどです。

そのホースの先にあるリザーブタンクのキャップを外し液を補充します。その時、リザーブタンクのキャップからタンク内までホースが延びていることがありますが、キャップと共に抜いても問題ありません。

液を補充し、リザーブタンクのキャップから延びたホースの状態も確認します。汚れていれば拭きます。作業が終われば、しっかりリザーブタンクのキャップを閉めます。

ラジエーターキャップのない車種の場合は、ラジエーターリザーブタンクにホースは繋がっているが、ラジエーター本体と繋がっているとは限りません。

ホースは、高い位置と低い位置に2本備えられていることが多いので、注意が必要です。

リザーブタンク

リザーブタンク

ラジエーター液の交換における注意点

ラジエーター液の交換は、ラジエータードレーンコックのプラグを反時計回りに回し、排出口からラジエーター液を排出し、リザーブタンクへ新たにラジエーター液を注入するだけですが、注意点が4点あります。

1つ目は、ラジエーター液の交換には、ラジエーター液を排出後に水を入れてすすぐ必要があることです。一度排出しただけでは、40%くらいの古いラジエーター液が残ってしまいますので、水を入れてすすぎ排出する行程を4回くらいは行ってください。そうすると、やっと古いラジエーター液の残留率が約2.6%くらいになります。

2つ目は必ずラジエーター液が冷えている状態で作業をすることです。しかし、前述のすすぎ毎にエンジンを動かし液の温度を高め水とラジエーター液を混ぜ全体を循環させる必要があります。

3つ目はラジエータードレーンコックからラジエーター液が流れ出る位置には受け皿を用意してください。

4つ目は、交換の際にラジエーターキャップを開けておくことです。ラジエーターキャップをあければ空気の流れが良くなり、ラジエーター液の排出がスムーズになります。

ラジエーターキャップの点検

ラジエーター本体の液量を確認するためには、ラジエーターキャップを開ける必要があります。

ラジエーターキャップを開ける際は熱い水蒸気の噴出などを防ぐため、必ずラジエーターが冷えた状態で行いましょう。

ラジエーターキャップには2段階のロック機構が採用されています。

キャップを上から押し付け、反時計回りに回しキャップが回らなくなるところまで回した状態で、手を離せばキャップが僅かに浮き上がります。

次に、浮き上がった状態からさらに反時計回りに回していきます。

回せない位置までくればキャップを外すことが出来ます。

ここで、ラジエーター液の注入口までラジエーター液が入っていれば問題はありません。次にラジエーターキャップの点検ですが、ラジエーターキャップには、バキュームバルブとプレッシャーバルブという2種類の弁が付いています。弁の機能を点検するには専用の測定具が必要です。

そのため、まずはゴムの状態をチェックしましょう。

ゴムの状態はヒビ割れがないか、ゴムの部分を親指で押してみて、十分に動きや弾力があるか確認します。キャップの内側の突起を引っ張り、スプリングの状態もチェックします。

ラジエーターキャップ

ラジエーターキャップ

ホース類とラジエーターコアのチェック方法

ラジエーターにはエンジンと繋がっているホースが2種類あり、リザーブタンクと繋がっているホースは1種類です。

エンジンと繋がっているホースは、ラジエーターアッパーホースとラジエーターロアホースがあります。ラジエーター本体の高い位置に装着されているアッパーホースはエンジンで高温になった液が通り痛みやすく、痛み具合をチェックするには接続部に緩みがないか、隙間から液漏れがないか確認してください。また、接続部に金具のクランプと呼ばれる固定具がありますので、十分な弾力があるかプライヤーで挟んで確認します。

またホース自身にも十分な弾力があるか、ヒビ割れがないか確認します。

ロアホースは下部にあるので確認が難しいですが、可能な限りチェックしてください。

リザーブタンクと繋がっているホースはオーバーフローホースと呼ばれ、ラジエーターアッパーホースと同様にチェックを行ってください。

ラジエーターコアの点検においては目視でのチェックが重要です。

液漏れや損傷がないか目視で確認しましょう。

ラジエーターコアは多数の細いパイプで構成され、表面にはフィンと呼ばれる薄い金属片が装着されています。エアコンのコンデンサーと見間違えやすいので注意してください。メンテナンスは、基本的に強い水圧で汚れを洗い流します。

ラジエーターホース

ラジエーターホース

冷却ファンのメンテナンス

冷却ファンに関しては動作確認をするだけとなりますが、定期点検は必要です。

現在は電動冷却ファンが主流となり、電動モーターでファンが回されています。電動モーターは大変丈夫ですが、ラジエーター液の温度を感知しているコンピューターやセンサーが異常を起こすこともあります。

電動冷却ファンは目視で動作確認を行います。

ラジエーター液の温度に応じて細やかにON・OFFが行われているので、しばらく走行しエンジンが温まった状態で確認しましょう。

古い型の車であれば、ベルト式冷却ファンの可能性もあります。

その場合はベルトの張り具合を確認します。

ベルトにヒビや傷がないか、またベルトを強く押してみて1cm以上、下がってしまうか確認しましょう。1cm以上下がる場合、交換や貼り直しが必要となります。