輪ゴムの特長と選び方
輪ゴムの特長
輪ゴムとは、細い輪状のゴム製品のこと。主な目的はものを束ねたりまとめたりすることで、天然のゴムの木から採れる樹脂を主原料に作られます。一般家庭にも普及され始めたのは1900年代に入ってからですが、3000年前のメソアメリカでは既にゴムが生成されていました。 1800年代初期のイギリスで輪ゴムの原型が作られたと言われています。
輪ゴムの特長と言えば、何と言ってもその伸縮性。軽い力なら3~4倍、限界まで引き延ばすと7~8倍にもなります。そして戻る力も強く、伸ばすのをやめると瞬時に元の大きさまで小さくなる点もポイントです。この伸びたり縮んだりする特性を活かして様々な用途に用いられます。
なぜこれほどまでに伸縮性に優れているかと言うと、輪ゴムが繊維状に作られているため。輪ゴムの分子は、負荷がかかっていない時は鎖状にまるまった状態になっていますが、伸ばすと真っ直ぐに変形します。 この分子の形の変化によって熱の放出・吸収が発生し、輪ゴムの特長のひとつでもある「伸ばすと温かくなって戻すと冷たくなる」という温度変化が起こるのです。
また、輪ゴムはコストが安いという点も大きなメリット。メーカーや製品にもよりますが、1本あたり1円を切るものも少なくありません。また、主原料が天然素材のため環境に優しいという特長もあります。
ただ、原料が天然素材ということは、劣化しやすいということでもあります。その原因は紫外線や温度、化学薬品など様々。また強く引っ張る力が働いた状態で、長い時間置いておくことも劣化が進む要因です。 直射日光に当てたり高温の場所に放置したり、開く力が強いものを無理に留めたりすると、輪ゴムの分子構造は壊れていき、切れてしまいます。保存・使用する際は、高温になる場所や紫外線を発生させる機器の近くをなるべく避けて、小さな輪ゴムで無理に留めないようにしましょう。そのためにも、最適な大きさの輪ゴムを選ぶ必要があります。
選び方
最適な輪ゴムを選ぶには、どうすれば良いのでしょうか。まずは輪ゴムの規格について見ていきましょう。輪ゴムは、大きさによって番手が決められています。
厚さ…輪ゴムの肉厚のことです。輪ゴムを机に置いて上から見た際に、厚みが大きいほど太く見えます。
切り幅…輪ゴムの幅のことです。輪ゴムを机に置いて横から見た際に、幅が大きいほど太く見えます。
折径…輪ゴムを押さえて折りたたんだ時の寸法です。輪ゴムの場合、内径(直径)または折径を使用します。
内径11mm…♯7・内径16mm…♯8・内径22.2mm…♯10・内径25.4mm…♯12
内径32mm…♯14・内径38mm…♯16、♯170、♯175、♯180(切り幅による)
内径44.5mm…♯18、♯190、♯195、♯200(切り幅による)
内径51mm…♯20、♯210、♯215、♯220(切り幅による)
内径63.5mm…♯270・内径101.5mm…♯420
よく使用される一般的な輪ゴムは「♯16」とされています。
では、具体的にどのような方法で最適なサイズの番手を選べば良いのでしょうか。
直径5cm(50mm)の筒を輪ゴムで留めたいというケースについて、その計算式を解説していきます。
- (1)直径に円周率をかけ、筒の円周の長さを出す
- 50(mm)×3.14=157(mm) 円周の長さ=157mm
- (2)円周の長さを2で割り、折径を出す
- 157(mm)÷2=78.5(mm) 折径=78.5
- (3)緩く締めたい時は折径を1.5で、強く締めたい時は折径を1.8で割る
- 緩く締めたい…78.5÷1.5=52.333
- 強く締めたい…78.5÷1.8=43.611
- (4)上記で出た数字を4で割り、四捨五入すると番手になる。ただしない番手もあるので、近い数字を番手とする
- 緩く締めたい…52.3÷4=13.083(ただし♯13がないので、♯12か♯14が適切)
- 強く締めたい…43.6÷4=10.903(ただし♯11がないので、♯10が適切)
その他、目的に合わせて決める方法もあります。特殊な加工をされている輪ゴムもあるため、用途に応じて使い分けましょう。
強く締めると野菜が傷むため、緩めになるよう番手を選ぶのがコツ。大葉などは♯7~8、ニラなどは♯8~10、ネギやアスパラなどは♯12~14あたりがオススメです。また野菜の結束に適した「野菜結束用」の輪ゴムもあります。
バラやチューリップなどは♯210、大菊や水仙であれば♯260、グラジオラスやアイリスなら♯310、枝ものは♯360あたりが良いでしょう。「花卉結束用」の輪ゴムもあります。
爪の先など小さい部分なら♯12~16、足など大きい部分なら♯170~195あたりが最適でしょう。
♯16、18のどちらかがオススメです。赤くカラーリングしてあるタイプを使えば、弁当の温かみを演出できます。
ハガキなどの仕分けには最もポピュラーなのは♯16です。その他、用途に応じて色分けするとわかりやすくなります。
雨風や直射日光にも影響されにくい、耐候性の輪ゴムがオススメです。白菜など大きい野菜に使用するなら♯360を使うと不便がないでしょう。
油の膨潤を抑えた耐油性や耐熱性の輪ゴムがオススメです。♯14、18、30、40など、とめたいものに合わせて選んでみてください。
未使用の場合、使用期限の目安は3年程度。輪ゴムをよく使うなら大袋、あまり使わないようなら小袋と、量に合わせて選ぶという手もあります。
輪ゴムは意外と奥の深いアイテムです。輪ゴムを変えるだけで、商品の品質や作業効率がアップするかもしれません。使用回数の多い必需品だからこそ、「何でも良い」と思わずにその場に合った最適なものを選びましょう。