インタビュー MonotaRO 瀬戸欣哉社長 - MonotaRO
日本流通産業新聞  2008/02/28

インタビュー MonotaRO 瀬戸欣哉社長

工場現場の資材や工具などをカタログやネットを通じて販売するMonotaRO(本社兵庫県尼崎市、瀬戸欣哉社長、рO6-4869-7111)は2月13日に発表した07年12月期決算にで、売上高が100億円を突破した。設立から約7年で100億円を突破した事業形態や今後の展開などを瀬戸社長に聞いた。

●売り上げが100億円を突破しましたが、率直な感想は
「日暮れて道遠し」というところでしょうか(笑)。当社の最大の株主でもあるアメリカのグレンジャーという会社は、工場で使う工具や資材をカタログ通販や店舗で販売しており、年間6000億円くらいの売り上げになっています。そのため事業を立ち上げる際、グレンジャーから「日本は工場が多いので、店舗での販売がなくても、5年で2000億円くらいの売り上げが立つのではないか」といわれていました。しかし、7年目となる07年12月期でやっと売上高が100億円を突破した程度。早く売上高2000億円を突破して、引退して南の島に移り住みたいですね(笑)。

●では全くダメという評価なのですか。
ベンチャー企業というのは既存のやり方に対して挑戦していくので、抵抗もあるだろうし、計算していないようなことがたくさん起こる。そんな中で、堅調に成長しており、利益を出し続けていることに対しては、一定の評価をしています。ですから全く評価してないわけではないですが、満足もしていないというのが本音です。会社というのは、作った人が目標としているところに達してしまうと、そこから成長することは難しい。むしろ、うまくいっている会社ほどトップは「日暮れて道遠し」と思っているんじゃないでしょうか。

さらに中小工場にフォーカス

●御社は中小の工場に対して、強みを持っているということですが。
日本の場合、トヨタなどの大企業でも、難しい作業はいわゆる町工場といわれるような中小の工場が行っていることが多い。そのため、多くの資材や工具が必要となるのはむしろ中小の工場で、その需要をうまくつかんできたのが当社だと考えています。

●今後の展開としては、まだ開拓していない大企業への販売ですか。
そのつもりは全くなく、今後も中小工場向けサービスを展開していくつもりです。いま、成長している企業というのは顧客にフォーカスして、その顧客に合わせた商品を展開していく企業。逆に失敗している企業というのは自社の製品にフォーカスし、自社の商品に合わせた顧客探しをしている企業だと思っている。わかりやすくいうと、ルイ・ヴィトンが一般人をターゲットにしたり、ユニクロがブティックで販売するようになると必ず破綻しますよ。

●しかし、御社でもネットなどで個人をターゲットに販売を行っていますね。
通販で商品を購入しない最大の理由は「通販で売っていることを知らない」ということです。特に当社みたいに地味な商品の通販では、知る機会というのはほとんどないといってもいい。個人に販売していることで、知ってもらえる機会が増える。個人への販売の最大の目的は、認知する機会を増やすことです。

カタログで認知度高める

●07年の取り組みについて聞かせてください。
07年は当社のこれまでの歴史の中で、最も苦戦した年になりました。06年12月に東証マザーズに上場し、07年1月に尼崎に移転した。上場と移転を同時期に行ったことで、移転がスムーズに行えませんでした。これにより、物流面でトラブルを起こし、購入者に商品が届かなくなるという状況を作り出してしまいました。昨年の第1四半期はそれの復旧に明け暮れ、全くマーケティングを行うことができなかった。また、顧客の信頼を裏切ったことにより、顧客が戻ってくるまでに半年以上かかってしまいました。

●今年は売り上げの約7割がネットでの注文となりましたが、カタログを廃止する考えは。
全くありません。インターネットだけだと、商品にたどり着く人が格段に少なくなる。カタログを出していれば、休日にホームセンターで見かけるということもある。結果的にはネットでの注文が多くなっていますが、実際にモノタロウを認知した媒体ということでいうと、カタログが大きな割合を占めると思っています。

もうひとつの理由として、「欲しいもの以外の商品も見てもらえる強み」がカタログにはあると思っています。ネットでは、欲しいものだけを検索して購入して終わり。カタログには欲しいものを見つけるまでに、さまざまな商品が目に入り、目的以外の商品も購入する割合が多いと思っています。今、商品をランダムに見せていくメディアで、カタログに勝るものはないと思っています。

不況に強い事業体

●08年はどのように事業展開していくのですか。
工具などは、第一ブランドがシェアの60〜70%をとるという傾向があります。しかし、今年は景気が悪化し、商品価格は高騰するといわれています。そうなってくると第一ブランド以外の安い商品を探す人も増えてくる。さまざまな商品を販売している当社の場合、そういったところに、今年の商機があるのではないかと思っています。プライベートブランド商品などは、市場価格より安く提供できるため、面白くなるんじゃないかと思っています。

また、一般論として不況になってくると、新規の機会を買わなくなってきます。そうなると、メンテナンス商品を購入するようになってくる。メンテナンス商品の取り扱いにおいては、幅広く行っているため、当社の事業というのは、比較的不況に強いという特徴があります。

●商品を増やしていく考えは。
今年も現在あるカテゴリーの中の商品数を増やしていくとともに、取扱商品カテゴリーを増やしていくつもりです。ただ、カテゴリーの数を増やしすぎてしまうと、お客さんにとって探しにくくなってしまうので、統廃合していかなければならないと思っています。

●今後の目標は
最初に2000億円という数字を出しましたが、実はそれ自体には全くこだわっていません。むしろ、いい会社にしていきたいという思いのほうが強い。いい会社というのは、仕事をしていて楽しく、社会に対しても大きな意味を持つ会社だと思っている。モノタロウは社会にとって、なくてはならない会社になっているかといわれると、まだまだだと思う。もっと大きな会社にすることで、意味のある会社にし、楽しく仕事をしたいですね。

瀬戸欣哉(せと・きんや)
1960年生まれ。83年東京大学経済学部卒業後、住友商事株式会社に入社。96年米国ダートマス大学にてMBA取得。98年米国アイアンダイナミックスプロセスインターナショナル社社長を経て、2000年住商グレンジャー社設立、取締役就任。01年同社代表取締役社長就任、05年住友商事株式会社退社、06年株式会社MonotaRO代表執行役社長就任。06年12月東証マザーズに上場。


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