ユーザー通信(ものづくり新聞)」  2002/12/01

悩める生産財流通 −ネット通販と既存業者の軋轢− "すみわけ"未だ五里霧中

この夏、関東の両毛機工会の出来ごと。ネット通販業者に対して「価格破壊が進み、既存の業者の権益を侵す」として、その対応策を、生産財の販売業者で組織する「全国機械工具商連合会」の、10月に開催をみた全国大会に、持ち込むことを決議した。

 言ってみれば、流通業者からネット通販業者へのある種の宣戦布告だった。布告されたネット業者も黙ってはいない。当然反撃を試みた。矢面に立たされた住商グレンジャー(瀬戸欣哉社長)は、独占禁止法を武器にして反撃に転じた。


 全機連の総会に出席した業界人は、「初戦はネット業者に軍配が上った。ネット通販への対応策はナニも出なかった」と言う。


 ネット通販の評価は、未だ定まらない。蛍光灯や安全靴が、ネット通販の売上げの上位を占める間は、既存業者との軋轢はさほどではない。だが、対面販売を必要とする製品まで、ネット通販の対象となれば問題は複雑になってくる。


 たとえば切削工具などは、対面販売が必要とされる製品。ネット業者がこれを対象商品にした。国内外の有名メーカー品のプライスを、DMで大量に配布した。


 その効果が、まずテキメンに現れたのは、既存の販売業者から上がったメーカーに対する突き上げだ。突き上げられたメーカーは、「自由販売が保証されている中で、問題を持ち込まれても」と困惑を隠さない。


 突き上げる大きな理由はプライス。大量に配布されたDMに、激安価格の文字が踊っている。メーカーには「ネット通販を行っているのか、迷惑だ」と言った問い合わせがかなりあった。

 手を焼いたある切削工具メーカーの中には、自社製品が対象になったことから、その供給元をさぐった。すかさず、ネット業者の弁護士から、「供給元を調べることは、独禁法に触れる」と警告書が届いた。一方ユーザーは、航空機エンジン川崎重工では「部品についてもネットで調達できる」と話す。既存業者とネット通販業者の「すみわけ」は、いまだ霧の中。


 ネット通販業者として、この一年、存在感を示した住商グレンジャーの瀬戸欣哉社長は、この一年を顧みて「私が計画したビジネスプラン通りに進んでいる。お客の口座件数にしても年内に3万社に届きそう。少し出来すぎかなと思っている」と話す。


 この一年で最も売れた個別商品について「軍手(500円)だった。価格帯で売れ筋を見ると、500円から3万円の商品。3万円は切削工具」とも話す。対面販売のこの領域の製品についても、「まだまだ売れる」と自信を覗かせる。