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接着剤の強度・耐熱性・耐寒性について

接着剤の強度や耐熱性、耐寒性はどのようにして調査するのでしょうか。ここでは、それらの調査方法をご紹介いたします。

接着剤の強度
接着剤の耐熱性と耐寒性

接着剤の強度

接着強度を決める要因は様々存在し、また強度を確かめる方法はJISにより規定されています。

接着剤の強度に関する因子

接着剤の強度における因子では、大きく分類しますと、接着剤そのものにおける因子と被着材における因子のバランスが関係してきます。しかし、この接着剤と被着材の相互作用における関係は、まだ解明しきれていません。ですので、この因子となり得るものを分解してお伝えします。

まず、接着剤において強度の因子となるものは、接着剤の種類が挙げられます。また、その塗布方法や塗布量、塗布回数などによっても強度に違いが表れます。2液混合型の接着剤の場合は、その混合比率や、混合度合いによっても強度が変わってきます。

被着材において接着の強度の因子となり得るものは、被着材そのものの種類や、被着材同士の組み合わせが要因となり、また、被着材の特性(膨張率や収縮率、強度、比重など)も強度に影響を及ぼします。 機械的結合や物理的相互作用の接着原理からは、被着材の接着面の処理状況として、汚れや塗装、水分量、表面の平滑度などが、接着強度に関係してきます。

また、接着剤そのものや被着材による強度因子の他に、接着条件によって強度に影響が出ます。それは、接着時の温度や湿度であったり、接着剤を塗布した後貼り合わせるまでの時間(オープンアッセンブリータイム)や 貼り合わせて圧着するまでの時間(クローズドアッセンブリータイム)、また、その後の圧着における圧力や時間などの接着条件が関与してきます。

接着剤の強度の調査方法

接着の強度を調査するには以下の強さを試験します。

引張接着強さ

引張接着による強さの試験は、両側に引っ張る力が接合面に対して垂直にかかった場合に、接合が破裂するのに要する単位面積あたりの引張荷重を測定します。

主に、複合床材や二次加工合板、塗料、床材料などの接着性を測るのに用いられます。

せん断接着強さ

せん断接着強さは接着面に平行な引張りせん断荷重により測定する方法です。主に金属やプラスチック、合板などの接着試験に用いられます。

はく離接着強さ

はく離接着強さは、一方あるいは両方の被着材料がたわみ性である試験片をT形、または180度の角度で引きはがすことにより測定します。具体的には、プラスチックのフィルムやゴムなどの接着性を見ます。

曲げ接着強さ

曲げ接着強さは、接着面に直角方向の曲げ応力を加え3点荷重あるいは4点荷重にする事で測定する方法です。主に建築土木や木質パネル用の接着剤で用いられます。

割裂接着強さ(引き裂き接着強さ)

割裂接着強さは、試験片の一端に割裂荷重を加えることにより、接合面を引き裂く単位幅あたりの強さを測定する方法です。

衝撃接着強さ

衝撃接着強さは試験片の接着面に平行方向の衝撃を加えたときの抵抗力を確認することで接着強さを測定する方法です。

接着剤の強度品質

接着剤の品質はJISにより規定されているため、使用者に安定した品質を提供出来ます。接着剤の強度がどれほどのものなのか一例として挙げるのであれば、木材に打ち付けた釘を引き抜く時の力と同程度または、それ以上の接着力を持っていると言うことが出来ます。

それは、引張せん断接着強さで表すことが出来、瞬間接着剤では、引張せん断接着強さが最大15N/mm2(153kgf/cm2)あり、 エポキシ系接着剤では、最大25N/mm2(255kgf/cm2)、アクリル系接着剤では、最大27N/mm2(275kgf/cm2)と、かなりの接着強度を保持しています。

しかし、接着剤の種類によっては熱に弱いと言うような弱点がある場合に強度が落ちる可能性もありますので、注意が必要です。

※1kgfは1kgの物体に標準重力加速度(9.80665 m/s2)が加わった時の力

接着剤強度に対する考え方

接着剤の強度に関して、これまでその因子となり得るもの、強度の調査方法、強度品質とご紹介してまいりましたが、“強度”と言う概念は様々な捉えかたが出来、これまでご紹介した、引張接着強さ・せん断接着強さ・はく離接着強さ・曲げ接着強さ・割裂接着強さ・衝撃接着強さにおいて、 それぞれの状況に対する強度の耐久性であると考えて頂く必要があります。強度を硬度として捉えることも出来ますし、「柔軟性に長けているため変形しやすいが壊れにくいもの」が、強度があると捉えることも出来ます。 逆に硬度であれば、「硬度が高く変形しないが限界値を超えた途端破壊する」といった強度にも性質の違いがあります。これらの差は「弾性率」で確認できますので、使用目的に合わせた接着剤の強度を考慮されることをお勧めいたします。

接着剤の耐熱性と耐寒性

接着剤の耐熱性と耐寒性を調査するには特殊な状況下にて計測する必要があるため、一般的には測定が難しいかもしれませんが、どのように測定されているかを知ることで、接着剤の使い分けの参考になれば幸いです。

接着剤の耐熱性の調査方法

接着剤の耐熱性を調査するためには、以下の4つの方法があります。

規定の温度下での強さ試験

耐熱性を調査する強さ試験は、2通り存在し、目的とする規定の温度下に試験体を30~60分放置した後、一つは恒温槽から出して即座に測定する方法と、もう一つは高温槽付きの試験機でその温度下で測定する方法です。

クリープ試験

クリープ試験は、測定温度が3種類存在します。

  • 一定温度式:50℃~120℃の間の温度で一定に保ち測定するもの。
  • ステップ式:50℃の状態で試験体を1時間置き、次に60℃×1時間というように徐々に温度を上げていく方法。
  • 昇温式:初めに35℃下で30分放置した後、昇温速度を5分間毎に2℃ずつ昇温し、さらに加重をかけ、120℃に昇温するまで測定していくもの。が存在します。
スランプ試験

スランプとは「滑り落ちる」という意味を持ち、ガラス板などを使用し滑り落ちる長さを測定するものです。接着剤をガラス板にひも状に150mmの長さで塗布し、60°~90°の角度に被着材を傾け、規定の温度下で、どれほど流れ落ちたかを測定します。

浮き試験

浮き試験は、試験片をそれぞれの規定の温度下で約120時間(5日間)放置した後、その接着部の浮き具合を確認するものです。

接着剤の耐寒性の調査方法

接着剤の耐寒性の調査に際しては、以下の7つの方法があります。

規定の温度下での強さ試験

調査方法はほとんど耐熱性と同じですが、規定温度下での放置時間が異なります。耐寒性を調査する際は、規定温度下で24時間放置します。

硬度の調査

硬度の調査は、主にエポキシ樹脂やシリコーン樹脂系に対して行います。ホットメルト形の調査では、Φ50mmの厚みに10mmに成形した樹脂を規定の温度下で24時間放置後、ASTM( 米国材料試験協会規格の計測方法)または、ショア硬度計を使用し硬度を測定します。

造膜性の調査

造膜性は成膜試験機に接着剤を塗布し、温度勾配での成膜性にて判断します。

接着性の調査

接着した25mm幅の試験体を規定温度下に24時間放置後、手で剥がし破壊状態を見て接着性を判定します。

動的粘弾性の調査

動的粘弾性測定とは、時間によって変化する歪みあるいは内部抵抗力を与え、どれほど内部抵抗力または歪みが発生するか測定することです。粘弾性試験機を使用し、樹脂皮膜のガラス転移(液体を過冷却したのちガラスに移り変わること)温度をマイナス50℃より測定し、各性能と比べます。

皮膜脆化点(ひまくぜいかてん)の調査

皮膜脆化点の調査は、接着剤の皮膜の厚さを1mm、幅15mm、長さ100mmの樹脂フイルム(薄い膜状に成型したもの)を規定の温度で24時間放置し、その後に手で半分に折った際、その割れを見て脆化点を判定します。

伸びと破断強度の調査

伸びと破断強度に関しては、エポキシあるいはシリコーン系で厚さ1mm、幅10mm~25mmの樹脂フイルムをダンベル型に成形し、恒温槽のついた引張試験機でゆっくり引張り、破断強度と伸び率を測定します。

接着剤の低温特性を評価する

厚さ1mm、幅10mm、長さ100mmの薄いフィルムを作成し、規定温度下に24時間放置した後、温度はそのままの状態でフィルムを曲げ、割れるかどうかを見て評価します。また、上記のフィルムで低温下の動的粘弾性も測定します。