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ベアリングの予圧

ベアリングには、予圧と呼ばれる荷重をかけることで、振れ精度が高まる、騒音や振動を抑えるなどの効果が見込めます。適切な予圧を加えることは、機械の円滑な稼働に欠かせないポイントとなります。ここでは、ベアリングの予圧について解説します。

予圧の目的

軸に対して同じ方向にかかる力をアキシアル荷重と呼びます。予圧を与えるとは、あらかじめアキシアル方向の内部応力が常に加わっている状態にすること。アキシアル荷重を受けられる2つのベアリングを一対に設置し、常に荷重が加わっている状態を作り出すことで予圧を与えることができます。

転がり玉軸受には予圧を加える必要がありますが、その目的は、回転軸の振れ精度の向上や騒音・振動を抑えるためです。転がり玉軸受を使用する際、内部のすきまがあると玉の遊びが大きくなってしまいます。モーターなどの場合、ベアリングの剛性も低く、軸の回転振動が大きくなってしまいます。そこで、あらかじめアキシアル方向に荷重を加えてあげます。すると、内部のすきまは0になります。こうした「予圧」を加えることで、騒音や振動を抑制するのです。

ただし、予圧は適当に与えておけば良いというものではありません。ベアリングが必要とする性能には適切な予圧の量がありますので、しっかりと調整する必要があります。予圧の量が大きすぎると、もちろん剛性は上がることになります。しかし、騒音が大きくなる、寿命が短くなるなどの原因にもなります。一方、予圧量が小さ過ぎると、振動を抑えられません。剛性が不十分になることから、フレッチング(微動摩耗)などが発生してしまう原因にもなりかねません。

こういった点から、ベアリングを使用する際の予圧の設定はとても重要となります。予圧の量や予圧方法が適切でないと、音響、発熱、寿命などの面で性能を低下させてしまうことになります。また、振動が大きくなってしまうこともあるなど、せっかくの予圧のメリットが逆効果につながってしまうケースもあります。予圧の量と予圧方法は、使用用途に合わせて適切に行うことが何より重要と言えるでしょう。

予圧の効果

ベアリングに与える予圧。その効果はさまざまですが、主に次のような効果が期待できます。

・ベアリングの剛性を高める効果

 使用例)工作機械の主軸用軸受や自動車のデフピニオン用軸受など

・アキシアル方向の振動や共振が原因の異音を防止する効果

 使用例)小型電動機用の軸受など

・玉の公転滑りや自転滑りを抑える効果(主に高速回転時)

 使用例)高速回転するスラスト玉軸受やアンギュラ玉軸受など

・軸のラジアル方向、アキシアル方向の位置決めを正確にし、軸の振れを抑える効果

 使用例)工作機械の主軸用軸受や測定器の軸受など

・スラスト軸受の軌道輪に対して転動体の位置を正しく保つ効果

 使用例)スラスト自動調心ころ軸受やスラスト玉軸受を横軸で使用する場合など

予圧の組み合わせ

2つのベアリングを一対に設置し荷重を加える予圧。予圧には、組み合わせ方によって、複数のパターンがあります。

・背面組合せ(DB)

アキシアル荷重とラジアル荷重の両方向の荷重を受けることができるのが特徴。また、モーメント負荷が作用すれば高い剛性も得られます。予圧の発生は、内輪を軸方向にしっかりと締めることで起こります。

・正面組合せ(DF)

シャフトハウジングを加工する際に、平面図形としての二つの円の場合、基準とする円の中心に対する他の円の中心の位置の狂いの大きさである「同心度」が出しにくい場合があります。正面組み合わせDFは、こういったケースで用いられます。予圧の発生は、外輪を軸方向にしっかりと締めることで起こります。ただし、この組み合わせのでは、シャフトが熱膨張を持つことによって、予圧量が増えてしまうことに注意しましょう。

・並列組合せ(DT)

一方向にかかる高いアキシアル荷重を受けることが可能。反対側に全体DBの形で同等の軸受を配置することで、スぺーサーによる定位置予圧もしくはバネによる定圧予圧として使用します。

・多列組合せ

高負荷の荷重がかかる際に使用します。大きな剛性が求められる場合には、多列セットで使用する必要があります。軸受の種類が異なる組み合わせや接触角なども考えられるなど、多列組み合わせのセット方法は、荷重によって変わります。

予圧の組み合わせ

ベアリングの予圧調整

予圧のレベルは一般的に、「軽・中・重予圧」の3段階で段差量を変え、研磨することによって、ベアリングメーカーから提供されます。段差量を問わず、内外輪スぺーサーの幅を段差加工で、予圧の増減を調整することが可能です。

たとえば、真空ポンプが使用された設備を予防保全する際には、分解整備が必要になるケースがありますが、ここでもベアリングの予圧調整はポイントになります。

深溝短列玉軸受など転がり軸受には一般的に予圧を与える必要はありませんが、ベアリングのガタなどを減らすために、シム板で予圧をベアリングに与えている構造のケースもあります。こういったケースでは、予圧の調整が重要なポイントになってきます。メンテナンスの際には、予圧を与えているシム板の枚数を間違えないように明記するなど、予圧の調整を意識した保全を心がけるようにしましょう。