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鍛造の目的と種類

鍛造は、我が国でも古くから甲冑や刀などの武具で用いられており、「鉄は熱いうちに打て」ということわざが生まれるほどに我々の生活に身近なものです。また、鍛造と一口にいってもその手法は長い歴史の中で様々な工法が開発されてきました。鍛造の目的や、各工法の特質はどのようなものでしょうか。

鍛造とは

鍛造とは、ハンマーやプレスなどで金属に圧縮や打撃を加えることで、鍛錬したり、形状を成形したりする塑性加工技術です。金属成形技術には、鍛造の他、鋳造や金属プレスなどの工法がありますが、鍛造は特に靭性や疲労強度に優れた製品が得られます。そのため、鍛造は産業機械設備や自動車などの心臓部分を担う重要なパーツの製造に適した技法です。

鍛造の目的

鍛造を行う目的は以下の4点です。

圧着

素材内部に生じた空隙や気泡などの欠陥構造を、圧縮によって圧着するのが鍛造の目的の一つです。打撃や圧縮で対象物の金属の密度が高まるため、強度の向上にもつながります。

偏析の是正

素材の中心偏析(金属の組成が不均一になること)を破壊します。

強度向上

要求強度の確保に鍛造が用いられています。靭性(粘り強さ)が高まり、密度が高まることで強くなるためです。

仕上げ

要求される形状への変形を行い、仕上げ加工をします。目的の形状に整えることができるので、切削などの後工程を省略・軽減することも可能です。

鍛造の種類

鍛造は、対象物の温度や、圧縮・打撃の方法によってさまざまな工法に分かれています。代表的な区分や工法をご紹介しましょう。

熱間鍛造/温間鍛造/冷間鍛造

鍛造は素材の温度によって呼び分けをします。熱間は素材を1200℃ほどに加熱し鍛造すること。加熱によって素材が柔軟な状態になるので、抵抗が少なく複雑な形状へも加工も容易です。素材を600℃から850℃ほどに加熱して鍛造する場合には温間と呼ばれます。さらに、全く加熱せず常温で鍛造する工法は冷間です。温度が低いほど成形の精度が高く、後工程での仕上げを軽減できます。

自由鍛造/型鍛造

工具を用いて鍛造する工法を自由鍛造といい、刀鍛冶などの伝統的な鍛造技法はこれに当てはまります。ハンマーと叩き台を使って手作業で自由に成形するので、職人の技術次第で思ったとおりの形に加工できるのが特徴です。また、単純にプレス機で上下に圧力をかけるといった加工も、型を使用しないため自由鍛造に該当します。

一方、型鍛造(型打ち鍛造)とは金型を用いて鍛造する工法です。製品の形を彫り込んだ上下2枚のプレスを用意し、そこに鉄を入れて圧を加える手法で、同型の部品を大量高速生産するのに適しています。

回転鍛造

回転鍛造とは、回転する工具を用いて成形する方法です。リング上の部品の肉厚調整などに優れた正確性を発揮する「リングローリング」、回転する2本のリングの間に部材を挟み込んで加圧する「クロスローリング」、半円形断面の溝をネジ状に刻んだ2本のロールで素材を圧縮し、連続的に球体を成形できる「ボール転造」などがあります。どの工法も、小さな部品の低コスト大量生産に適しています。

板鍛造

板鍛造は、板を潰して凸凹形状に成形する工法です。凸凹のある上下の金型で圧縮し、型に刻まれた表裏で異なる模様を素材に写す加工法は、コインの製造に用いられたことから「コイニング」といい、反対に表面と裏面が凹凸関係になる板鍛造を「エンボス加工」といいます。

鍛造のメリットとデメリット

鍛造加工のメリットは、大きく分けて3つあります。1つ目は、製品の靭性や強度を向上させられることです。2つ目は、材料の節約。完成形に近い形にまで一度に近づけることができるので、後工程での削り出しが不要になり、結果的に材料の節約につながります。3つ目は、生産性の向上です。鍛造は一見、手間暇のかかる工法に思えますが、金型を用いる鍛造であれば短時間での大量生産も可能となります。

反面、鍛造加工のデメリットとしては、工法によっては非常に工程に時間がかかる点や携わる人に特殊技術を求められる点です。例えば伝統的な包丁の鍛冶などに見られるような手作業の鍛造は、製品ひとつを制作するのに大変な手間と技術が必要となり、大量生産には向いていません。

≪まとめ≫

鍛造の世界ではさまざまな工法が現在進行形で研究されているうえ、それぞれに特性やメリットがあります。製品の特質に合わせた工法や工房を選べば、製品コストや時間を大幅に削減することも十分に可能でしょう。


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