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ハンマーによる板金加工

薄い金属を目的の形状に成形する板金加工は、機械板金加工と手板金加工に大別されます。自動車の車体補修によく使用される手板金加工は、ハンマーや当て金などの工具を用いて手作業で金属を成形する工法です。手板金加工に使用される工具の種類や、その手法はどのようなものでしょうか。

板金加工で使用するハンマーと当盤(当て金)

手板金加工は、自動車の板金補修や工芸品、ストーブの煙突や雨樋などの製作を主とする加工法です。手板金加工においてはハンマーが広く使用されますが、これらは木製ハンマーと鋼製ハンマーに大別されます。

木製ハンマーは、1回の打ち込みでの金属の変形量は多くありません。そのため、材料の加工硬化の少ない加工が可能となります。初期段階での大まかな成形や、浅くて面積の広い成形に使われることが多いです。一方で鋼製ハンマーは、1回の打ち込みでの金属の変形が大きく、加工硬化の大きな加工となります。そのため、局所的で変形量の多い加工に使用するのが一般的です。

また、木製ハンマー・鋼製ハンマーに関わらず、使用するハンマーの先端は成形する目的形状に合わせて加工したものを使用します。小さい円形の成形を行いたい時は、尖った球状の先端を持つハンマーを使用し、細長い形状に板金加工を行いたい時は、先端を長楕円に加工したハンマーというように使い分けるのです。成形したい形状に合わせた先端を持つハンマーを使用することで、加工がより容易となります。

手板金加工では、当盤(当て金)を使用するのですが、この当て金を使用する目的は、(1)目的の形状に金属を変形させるため、(2)力が加わることによる素材の破断を避けるためです。これらの当て金は、「坊主ならし」「へのこ」「駒の爪」などといったさまざまな種類があり、目的や加工段階に応じて使い分けていきます。これらの当て金は、専用の木臼や万力などの固定具を用いて固定した状態で使用しますが、自動車の板金補修で使用する「ドリー」と呼ばれる当て金は、手で持って使うため固定しません。

板金ハンマーと当盤

当て金とハンマーの打点位置の関係

ハンマーと当て金を用いる手板金加工では、当て金と素材の接地具合や、当て金とハンマーを打つ位置との関係によって、素材の変形の仕方が決まるため理解しておくことが大切です。

素材と当て金が平坦に接している面をハンマーで打つと、素材は角度を変えることなく平坦にならされ、全体に伸びます。この加工は仕上げ加工でよく用いられる、オンドリー加工と呼ばれているものです。また、当て金に対し素材が少し浮いた位置でハンマーを打つことをオフドリーでの加工といい、当て金と素材の接点に近い位置でハンマーを打つと素材は持ち上がる形に変形し、反対に当て金と素材の接点から遠い位置でハンマーを打つと素材は下に下がる形に変形します。ハンマーと当て金を用いた手板金加工では、これらの当て金とハンマーの打点位置の関係をよく理解し、変形の目的や形状に応じて適切に作業できる熟練度が要求されるのです。

自動車板金におけるハンマーの使い方

自動車の車体補修作業で用いられる板金加工では、ハンマーで金属を打つ動作が作業のキモとなります。ハンマーの打撃面が直角に素材面に当たり、面全体で打撃して力が偏りなく均一に素材に伝わることが大切です。正しく素材に力を加えるためのハンマーの使い方を解説いたします。

まず、ハンマーの打撃面の全面が素材面に密着した状態でハンマーを持ちましょう。このとき、すべての指で強く柄を握ろうとすると打撃面と素材の接触角度がブレてしまいます。ハンマーの柄の末端の部分を小指と手のひらだけで握るように持ち、他の指は柄に添えて支えるような形とすることを心がけましょう。ハンマーを適切に持つことができたら、手首を支点として上下にスナップするような形で打撃します。ハンマーの打撃面が素材面に対して斜めに当たると、三日月状の凹みが発生し、製品の強度や見た目を大きく損ねてしまうので注意が必要です。

≪まとめ≫

手板金加工においては、目的の形状に効率よく仕上げるためには、ハンマーと当て金の使用方法に熟練することが何より重要となってきます。ハンマーの握り方、ハンマーと素材面の適切な当たり方をよく理解し、無意識のうちに理想の打撃ができるほどになるまで地道な訓練を積むことが大切です。


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