潤滑油の役割と効果

潤滑油とは、機械の動作にとって欠かせないのが回転。機械が回転する際には、金属同士が擦れ合うことになります。金属の接触部分に対し潤滑を行わなければ、機械がスムーズに動かないばかりか、摩擦や摩耗による悪影響をもたらしてしまいます。潤滑に必要となるのが潤滑油。ここでは、潤滑油の基本的な性能をはじめ、その役割を見ていきましょう。

潤滑油の基本的な性能

日常生活では、摩擦を活用するシーンもたくさんあることでしょう。古くは有史以前の人類が、摩擦の力を利用して火を起こしていたように、摩擦は積極的に利用されてきたのです。しかし、摩擦は機械の動作にとっては、時に悪影響を及ぼしてしまい兼ねません。

機械の接触部分で摩擦が大きくなってしまうと、機械を動作させるためのエネルギーを無駄に消費してしまうだけでなく、接触部分の摩耗を引き起こしてしまうためです。

機械の動きを良くするためには、物と物との摩擦を減らす必要があります。その役割として油を使用しますが、潤滑油は機械をスムーズに動かすために欠かせない存在のひとつ。潤滑油には、機械の摩擦や摩耗を防止する働きを持ちます。また、それだけでなく、機械のさびを防いだり、稼働する機械を冷やしたりする効果ももたらします。さらに潤滑油は、接触し回転する機械同士の隙間を埋める密封作用もあります。

潤滑油の役割

潤滑油による潤滑の形態は、「流体潤滑」と「境界潤滑」に分けられます。軸受部と軸部の二つの面が、厚い油膜で分けられている状態である「流動潤滑」と、油の膜が薄くなってしまい、軸受部と軸部の二つの面が接触しそうになっている状態である「境界潤滑」。油が付着している状態によって、それぞれの形態に分けられますが、細かな分子の働きが関係している点はもちろんのこと、軸が受ける荷重や回転速度とも大きく関係してきます。

流体潤滑と境界潤滑では、油の付着の状態が異なりますので、それぞれの潤滑の際に、油がどのような状態になっているのか、詳しく解説していきます。

流体潤滑とくさび効果

金属と金属の隙間に塗られた潤滑油は、どういった働きをするのでしょうか。たとえば、機械の一部、軸と軸受を例に、その働きを見てみましょう。

流体潤滑

機械の回転部分では、軸と軸受の間に隙間が生まれます。この部分を軸受けの上面部と呼びます。軸受の上面部を拡大してみると、軸と軸受の金属表面部分に、潤滑油の分子が付着しています。また、軸と軸受の油が付着している「油の付着層」の間に、付着していない油である「流動する油」が存在します。この流動する油によって、金属同士が摩擦することや摩耗することを防いでいるのです。

くさび効果

軸受の下面部では、回転する軸が下向きの荷重を受けることで、軸受部分と接触することになります。その際、金属の表面部分に塗られた油は、軸が回転することによって、回転方向に引き込まれます。潤滑油が金属同士の狭い隙間に引きずり込まれることによって圧力が発生し、この圧力が軸を浮かせることで、摩擦力を軽減します。潤滑油が引きずり込まれる進入場所が「くさび」のような形状をしていることから、「くさび現象」と呼ばれています。

流体潤滑の仕組み

流体潤滑の仕組み

境界潤滑と個体接触

回転する機械の動きは常に一定とは限りません。軸が受ける荷重が大きいときもあるでしょう。また、荷重の大きさだけでなく、回転速度そのものが速いときだってあります。そういった状態になると、油が作りだす油膜が切れてしまうことがあります。その結果、摩擦が大きくなってしまうのです。

油膜が切れ、摩擦が大きくなってしまった状態を「境界潤滑」と言います。金属の接触面に油の付着が残っている状態ならば、金属の摩耗も抑えることができます。しかし、油の付着がなくなってしまい、回転する金属同士が直接接触してしまうと、接触する金属が接触面を傷つけてしまう「かじり」や、過剰な摩擦熱が発生してしまうことで、お互いが溶着してしまう「焼き付き」を起こしてしまうことがあります。これは、「金属同士が固着」している状態のため、機械同士は異常な摩耗を起こしていることになります。この状態は「個体接触」と呼ばれています。

軸と軸受部分で発生する摩擦の大きさは、金属の表面に付着している油の付着層・油の流動層の厚さをはじめ、油の付着力の大きさ、油の流動のしやすさによって決まるのです。

潤滑が正常に行われないと、機械の異常な摩耗を促進してしまいます。軸受が異常に摩耗してしまったり、回転部の摩擦が大きくなってしまったりします。また、異常な過熱を引き起こしてしまうなど、機械の稼働部分の故障の原因となってしまいます。

さらに、機械の正常動作に対しても悪影響を及ぼしてしまいます。機械の作動不良をはじめ、詰まりや腐食の原因になるなど、異常な作動の発生につながってしまいます。

潤滑油の働きをしっかりと押さえた上で、日々の保全に努めるようにしましょう。


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