潤滑油の粘度

指で油を触ってみると、その種類によって、ねばねばしたものやサラサラしたものがあることに気づきます。油には「粘り気」があり、それぞれの油によって、その「粘り気」に違いがあるからなのです。油の「粘り気」が機械の保全にどのように関係するのかと疑問を持つ人もいるかも知れませんが、実は、潤滑油にとって、粘度はとても大切な要素なのです。ここでは、潤滑油を選定・使用する際に、しっかりと意識すべき「粘度」について詳しく解説します。

高粘度と低粘度について

潤滑油の機能の中で最も重要視される要素が、粘度です。粘度は「油の粘り気を示す尺度」でもあります。流体が流れやすいかどうかを判断する「ねばさ」や「サラサラさ」を数値で表したものが粘度なのです。

高粘度

粘度が高いと潤滑油は「ドロドロ」の状態になります。油膜が強くなるため、強い負荷のかかる機械に使用するのが適しています。ただし、粘度が高すぎると抵抗が大きくなってしまうため、粘度の管理はしっかりと意識するようにしましょう。

低粘度

粘度が低いと潤滑油は「サラサラ」になります。潤滑油の抵抗が小さくなることから、高速の機械に使用するのが適しています。ただし、粘度があまりにも低いと、油膜が切れやすくなるなど、潤滑効果が低くなってしまうため、気をつける必要があります。

一般的に、エンジンの始動性や冷却作用、油圧作動での能力を高めるには、低い粘度のものが適しているとされ、一方、吹き抜けや摩耗の防止、密封作用としては、高い粘度のものが適しているとされています。

また、粘度にはその高低に対して番号が付けられています。粘度が低くサラサラなほうが、その番号が小さくなります。使用する条件をしっかりと考慮した上で、粘度の程度を決め、適した潤滑油を選択するようにしましょう。

粘度指数

粘度は温度によって変化します。たとえば、機械の回転部や軸の支点部で摩擦が起こると、熱が発生します。熱が発生すると同時に、潤滑油の温度も高くなってしまいます。温度が高くなると、粘度が低くなりサラサラした状態になる性質を持っているため、油膜が弱くなってしまいます。結果的に、金属同士の接触が増えてしまい、焼き付きなどの現象を引き起こしてしまいます。このように、温度による潤滑油の粘度変化の度合いは、「粘度指数」と呼ばれる数値で表されます。

粘度グレード

潤滑油は、高粘度と低粘度のものを混ぜ、いろんな粘度の潤滑油を調合することができます。粘度は、国際標準化機構(ISO)によってグルーピングされています。

40℃における潤滑油の動粘度(流体そのものの動きにくさを表す度合い)の範囲を定め、その中心値を粘度グレードと呼びます。粘度グレードはISO VG2〜ISO VG1500の間で、18グレードに分類されています。

機械には使用する潤滑油の粘度グレードが指定されているケースがありますので、最適なオイルの粘度(ISO VG)を選ぶようにしましょう。

温度管理の重要性

潤滑油の粘度は温度によって変化しますので、潤滑油を使用する場合は、温度管理をしっかりと行う必要があります。潤滑油の温度が上昇し、粘度が低下してしまうと、油はサラサラした状態になってしまい、期待する潤滑の効果を発揮できなくなってしまいます。予期せぬ機械トラブルが起きてしまわないよう、以下のポイントに気をつけ、しっかりと温度管理をするようにしましょう。

  • 潤滑を必要とする部分の温度が高くなってしまう場合は、油の量そのものを多くする。
  • 潤滑油を循環させて給油している場合は、オイルクーラーの設置や、大きな容量のオイルタンクを使用するなど、潤滑油の冷却を心がける。
  • 実際に機械で使用する際の潤滑油の温度を測定することで、適切な温度管理を行う。

潤滑油の粘度について押さえておきたいポイントは、「潤滑油によって粘度に違いがある」「潤滑油の温度が上昇すると粘度は低下しサラサラの状態になる」「温度によって生じる粘度変化の大きさを示す”粘度指数”を意識する」といった点といえるでしょう。

粘度管理の欠かせないポイント

機械には適した潤滑条件というものがあります。一般的には、機械が稼働しているときの温度に合わせた粘度の潤滑剤を使用することになります。そうすると、機械が稼働していないときの潤滑油の温度は下がってしまうため、結果的に粘度も上昇してしまいます。最適な粘度で潤滑剤を使用するためには、機械のウォーミングアップをし、粘度を下げた上で、機械を稼働することになります。

消費エネルギーを抑えることを考えると、ウォーミングアップの時間は短縮したいもの。そのためには、粘度指数が高いもの、要するに、温度による粘度の変化が小さいものを選ぶことが効果的なのです。粘度指数が高いものは、広範囲の温度変化に耐えられるため、ウォーミングアップの時間が短縮でき、結果として、省エネルギーにつもながります。潤滑油によって粘度指数はさまざまですので、こういったポイントも考慮しながら、最適なものを選ぶようにしましょう。


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