環境別腐食の特徴と対策 【通販モノタロウ】
工具の通販モノタロウ > 配管・水廻り設備部材 > 環境別腐食の特徴と対策

環境別腐食の特徴と対策

大気による腐食と防食

大気腐食が起こる仕組みは、基本的には水による腐食と同じです。しかし、大気中の環境が原因で腐食が進行することもあります。例えば、大気に含まれる成分が腐食を進行させることも少なくありません。大気の種類や湿度との関係をみていきましょう。

大気腐食の特徴

大気中の腐食は、水による腐食と同様に、水と空気中の酸素が反応することによって起こります。また、水中では水が十分あるのに対して酸素の量は限られますが、大気中ではその逆となることが特徴です。大気中では降雨・結露・大気中の湿気により生成される薄い水膜が水分となりますが、これらが金属表面に存在する時間の長さが腐食の大きさを決めます。この時間のことを「ぬれ時間」と呼びます。

大気中の腐食は、水と酸素の反応以外にも二酸化硫黄や塩化物イオンなど腐食を促進させる要因が存在することが特徴です。腐食の環境特性による大気の4つの区分を見てみましょう。

臨海大気

海岸に近いため、大気中に含まれる海塩粒子濃度が高いです。そのため、臨海大気の環境では金属表面の付着量も多くなります。

工業大気

二酸化硫黄など、大気汚染物質濃度が高い大気のことです。しかし、現代の工業地帯では大気汚染への対策が進んでいるため、大気汚染物質濃度は低下しています。

都市大気

燃料消費や工場が多いために、工業地帯と同じく大気汚染物質濃度が高い大気のことです。こちらも大気汚染対策の結果、大気汚染物質濃度は低下しています。なお、工業都市は工業大気と都市大気が、臨海工業都市では臨海大気、工業大気、都市大気が、それぞれ区別できません。

田園大気

都市や工業地帯から離れている大気のことです。二酸化硫黄などの影響が小さい大気で、山間部などのエリアも含まれています。

大気中の腐食では、炭素鋼を例に考えられることが少なくありません。大気中での炭素鋼の腐食挙動が大気腐食機構の基本であり、研究や解明が進んでいます。

炭素鋼は結露や降雨の条件下では、すぐに全面にさびが発生します。水に浸したときでも同じ反応が起こりますが、金属表面に水が付着していないときでもさびは発生するのです。これは、湿度に対して空気中の水分が、飽和濃度の何%に当たるかを示す相対湿度が関係しています。相対湿度が限度以上になると、大気中の塩化カルシウムや毛細管内に水が取り込まれる毛管凝縮が作用して発錆が起こるのです。

塩化カルシウムや毛管凝縮の作用が起こる相対湿度の下限は50〜70%の間であり、この値以下では腐食は生じません。この下限のこと臨界湿度と呼びます。

大気腐食の分類と対策

一般的に大気腐食は、金属表面にできる水膜の厚さによって分類されます。ここでは、3種類の大気腐食を見てみましょう。

乾き大気腐食

大気の相対湿度が80%程度までであり、水膜の厚さが10nmまでの腐食のことです。水膜が薄いため金属表面の酸素供給量は多いですが、水膜の電気伝導性は低く、腐食速度は大きくありません。

湿り大気腐食

軽微な結露や高い湿度での水吸着が原因で水膜が生じ、進行する腐食のことです。水膜の厚さは10nm〜1um程度であり、水膜の厚みが増加するとともに電気伝導性が高くなるため、腐食速度も増加します。

濡れ大気腐食

激しい結露や降雨によって、水膜の厚みが1um以上になったときに生じる腐食のことです。この水膜の厚さでは電気伝導性の働きが厚さに左右されなくなるため、腐食速度は金属表面への酸素供給量によって決まります。

大気腐食の防食として最も用いられるのは、塗装による防食方法です。大気の腐食性は地域によって異なるため、求められる耐食性や使用目的も変わります。防食を考えたうえで塗装方法を決定する場合、その地域に適した方法を選ぶことが大切です。

また、近年では炭素鋼に銅やりん、クロムを加えた対候性鋼と呼ばれる金属も活用されています。これは、屋外の大気中で使用した場合、数年の間で保護性の高いさび膜が形成されるため、それ以降の腐食速度が低下し長期間の使用が可能です。日本国内では、道路の鋼橋部分で多く使われています。

大気腐食には酸素供給量と水だけでなく、大気中に含まれる二酸化硫黄などの濃度も関係しています。また、金属表面の水膜の厚さによって腐食の特性が変わる点もポイントです。防食のために適した塗装を選ぶためにも、大気腐食の特徴をおさえておきましょう。

海水による腐食と防食

海水は腐食が起きやすいというイメージがある人もいるかもしれません。淡水より腐食しやすいのですが、その原因やメカニズムは海水と接する部分によって異なります。海水による腐食と防食について見てみましょう。

海水腐食の特徴

海水と淡水のなかにそれぞれ炭素鋼を入れて、1ヶ月程度放置したときの腐食の大きさはほとんど変わらないと言います。この状態では、腐食速度を決める溶存酸素や流速、温度が同じであるため、腐食の大きさも変わりません。しかし、少し条件を変えると結果も大きく変わります。

海水と淡水にそれぞれ半日ほど浸したあと、引き上げて空気中に放置すると、海水に浸した炭素鋼のほうが腐食は大きくなりました。実は、この腐食には塩分が関係しています。塩分には水分を吸う性質があるため、空気中でも炭素鋼の腐食を進行させてしまうのです。このように、海水に浸したり引き上げられたりする箇所では、腐食性は大きくなることがわかります。そのため、海水に設置する鋼杭を設置するときには注意が必要です。

ウォーターフロントなどに用いられる鋼杭は、5つの異なる環境にさらされます。それは、海底土中部・海水中・干満部・飛沫部・大気中です。

海底土中の腐食は、海水の流速の影響を受けないため海中部よりも小さいです。

海水中は、流速を持った海水の腐食環境ですが、飛沫部と干満部に比べると腐食性は高くありません。鋼杭の海面に近い部分では、干満部をプラス極、海中部をマイナス極とするマクロ腐食電池が生じるため、通常より大きい腐食が生じやすいことは理解しておきましょう。

塩の干満により海面が上下する部分である干満部も、海水飛沫部と同様の理由で腐食性は大きくなっています。しかし、塗装などをしていない鋼杭の場合にはマクロ腐食電池が発生するため、干満部の腐食は小さくなるのです。

飛沫部は、海面より少し上の波しぶきがかかる部分であり、常に厚さが薄い海水が付着しています。また、大気中の酸素もその水膜を通して供給されるため、5つのなかで腐食性が一番高いです。

一方、大気中では海洋大気にさらされ続けるため、一般の大気環境よりも腐食は激しく進行します。

ウォーターフロントにおける腐食環境と腐食の大きさ

ウォーターフロントにおける腐食環境と腐食の大きさ

海水腐食の対策

海水に設置する鋼杭では部位によって腐食性が異なるため、それぞれに適した腐食対策が必要です。下記で防食方法について紹介します。

海水中

海水中の防食には、電気防食法を用いるのが効果的といわれています。電気防食法のなかでも、海中で使われるのは犠牲陽極法です。外部電極法という方法もありますが、電源装置の故障などのリスクがあってメンテナンスの手間もかかります。そのため、最初のコストはかかる代わりに、メンテナンスが容易な犠牲陽極法が選ばれているのです。なお、海底土中部も犠牲陽極法によって対策可能です。

飛沫部、干満部

飛沫部と干満部での腐食は激しく、防食を考えるときには重要なポイントです。防食方法としては厚塗りの塗装が一般的で、無機ジンクリッチペイントにエポキシ樹脂を合わせた塗料などを塗ります。しかし、これらは10年程度しか耐用年数がなく、定期的に補修塗装が必要になるといった問題がありました。

最近では、耐用年数が40年以上を誇るポリエチレンやポリウレタンのライニングも使われています。また、構造によってはコンクリートでのライニングも有効と言います。コンクリートに100mm程度の厚さが必要ですが、損傷がなければ50年以上使用することが可能です。たとえば、東京湾横断道路では鋼材にチタンを巻く方法が取られていますが、常温の海水中ではチタンが腐食することはありません。外部からの傷などがなければ、耐用年数は100年以上になると考えられています。

大気中

海上大気部では防食方法として塗装を用いることが多いです。海中に比べるとメンテナンスしやすい部分ですが、海洋という厳しい環境のため腐食が進行しやすいことは否めません。そのため、塗り替えに費用がかかります。

海水腐食の原因を考えるときは、海水飛沫部や海中部などの部分ごとに腐食のメカニズムを知ることが大切です。金属の設置個所によって適した防食方法は異なります。海水防食をするときは今回ご紹介した防食方法を参考にしてみて下さい。

水による腐食と防食

腐食には水質が関係していることを知らない人も多いかもしれません。しかし、配管などで腐食を起こさないためにも、腐食と水質の関係を理解することが必要です。次は水と水質項目や腐食の関係をご紹介します。

腐食と水質の関係性

「水の硬さ」は腐食を大きく左右する条件です。一部の井戸水などには石鹸が泡立たない水質のものがありますが、これらはカルシウムやマグネシウムなどのミネラルを多く含んでいます。このマグネシウムなどが石鹸と反応して沈殿を作るため、泡立ちにくいのです。このように、ミネラルを多分に含む水を硬水と呼びます。

硬水を沸かすと、水中のカルシウムイオン(Ca2+)と炭酸水素イオン(HCO3−)が反応して炭酸カルシウム(CaCO3)ができますが、この成分には腐食を抑制する働きがあります。炭酸カルシウムは金属の表面で被膜を作って金属に溶存酸素が届きにくくなるため、腐食が抑制されるのです。

被膜は水温が高いとできやすいのですが、水質の条件が揃うと常温でも被膜が発生します。条件は、Ca2+・HCO3・pH−の濃度が高く、水中の塩類濃度が低いことです。

また、CaCO3の被膜を作る水かどうかは、飽和指数を求めることで調べることができます。飽和指数とは、実際のpH値と水中のCaCO3が溶解・析出しない状態のpH値の差です。この差が正であればCaCO3の被膜が生成される水であり、負であれば被膜の生成は起こりません。

腐食に関係する水質項目には、下記の6項目があります。それぞれの腐食に対する影響をみていきましょう。

pH

淡水のpHは、溶解している炭酸物質の濃度により決まります。炭酸物質は、炭酸水素イオンや炭酸イオンなどです。一般的な河川であれば、pHは6.6〜7.6であり中性に近く、炭素鋼の腐食には影響しません。

飽和指数

これは、前述どおりですが、この値が正であれば炭酸カルシウムの被膜ができるため、腐食を抑制できます。

電気伝導率

ものの電気伝導のしやすさを表し、電解質の量を示します。淡水の電気伝導率は、先ほど紹介した塩化物イオンと硫酸イオンの濃度により決まります。k(カッパー)という数値で表されますが、この値が大きいほど電気を通しにくくなるのです。

溶存酸素濃度

1気圧の空気が飽和しているときの溶存酸素濃度は8〜10ppmです。溶存酸素濃度は先ほども紹介したように腐食速度に影響するものでありますが、一般的な淡水では飽和に近い状態のため、腐食速度を決める因子になることはほとんどありません。

塩化物イオン濃度

日本の河川水では2〜12ppmほどですが、水道水では殺菌の塩素を使用しているため、5〜25ppm程度です。一般的にこの程度の塩化物イオン濃度であれば、溶存酸素濃度に影響を与えず、腐食速度が変わることはほとんどないと考えられます。しかし、塩化物イオンには水の電気伝導率を上げる働きがあり、異種金属接触腐食や局部腐食の場合、腐食速度が大きくなることがあるため注意しましょう。

硫酸イオン

日本の河川水では3〜15ppm程度ですが、塩化物イオンと同様に水道水では浄水にミョウバンを使用するため、増大します。硫酸イオンにも電気伝導率を上げる働きがあることから、塩化物イオン濃度と同様に注意が必要です。

水による腐食の種類と対策

腐食が均一に起こるのであれば、腐食が配管を貫通するためには年数がかかると考えられますが、実際には配管には局部腐食が起こります。代表的なものはさびこぶ発生による腐食、電縫鋼管の電縫部分における溝状腐食などです。

さびこぶ発生による腐食は、耐食材料が使われるようになってきたため、近年では少なくなってきました。この場合は、さびこぶを作らない対策で、用途によって配管を変えることが効果的です。電縫部に沿って起こる溝状腐食も、耐溝状腐食電縫鋼管が開発されてからは、発生することはほとんどなくなったと考えられています。

配管にはステンレス鋼管もありますが、使う箇所によってはグレードを変えるなどの工夫が必要です。例えば、給水配管では温度が低く腐食が起こる可能性は少ないのですが、ステンレス鋼管はあまり使われていません。これは、水面上の濡れている部分では塩素と空気が溶け込み、さびが生じやすいためです。そのため、ステンレス鋼管を使う場合には、二相系ステンレス鋼などの高グレードのものが求められます。

また、水を含むガソリンは腐食性が高いということも知っておくとよいでしょう。ガソリンは有機物であるため、本来腐食性はありません。しかし、ガソリンタンクには耐食性のあるメッキが施されています。ガソリンは酸素を多く溶解する性質があり、ガソリンから供給される酸素によって水の腐食性が高くなるからです。

水質は腐食の発生に大きく関係しています。また、配管によっても起こりやすい腐食があるため、使う目的に応じて使用する材を変えるなどの工夫が必要です。今回紹介した腐食に関係する水質などを参考にしてみてください。


『空調・電設/ポンプ/配管・水廻り設備用品』に関連するカテゴリ