金属の洗浄

金属を洗浄するにあたり、心配なのがサビの発生ではないでしょうか。産業洗浄にはさまざまな洗浄剤・洗浄方法がありますが、適したものを選択しないと、金属を傷めてしまうこともあります。どんな洗浄方法があるのか、確認していきましょう。

金属の洗浄方法

金属に付着している汚れにはさまざまな種類があり、落とし方にもいくつか方法があります。代表的な金属の洗浄方法について詳しく見てみましょう。

【洗浄剤で汚れを剥がす】

水系・準水系の洗浄剤を使用し、油汚れを浮き上がらせて落とす方法です。金属洗浄の場合は、アルカリ性もしくは中性の水系洗浄剤を使用することが多いでしょう。ただし、水を使用するため、金属が腐食しにくいpH範囲内で使用することが必要です。 対象金属に適当なpHを調べておいてください。また、超音波や対象物の揺動システムなどを併用することが多いです。

【有機溶剤で汚れを溶かす】

溶剤とは、対象物(汚れ)を溶かす目的の液体のことです。金属洗浄には、主に石油や塩素化炭化水素、コールタールやアルコール、ケトン、フェノールなどの有機溶剤が用いられます。これらの蒸気を使用した気相脱脂や、液状で使用する液相脱脂といった方法が一般的です。

【機械で汚れを取り除く】

固形汚れなどを物理的に取り除く方法です。やすりや不織布を用いて手で拭き取ったり、研磨・加工機、ブラスト加工を利用して金属表面を滑らかにしたりします。

【化学反応で汚れを分解する】

既にサビが発生しているケースでは、酸が酸化物を分解する化学変化を利用します。洗浄槽に水溶液を入れ、対象物をひたすことで金属表面の酸化膜を取り除くことが可能です。

界面活性剤を用いた金属の洗浄

界面活性剤には、水と油など、本来なら混ざらないもの同士を混ぜ合わせる作用があります。この乳化・分散の働きを利用することで、金属に付着した落ちにくい汚れを落とすことが可能になるのです。 更に金属表面に付着すると防護膜となり、金属が錆びる現象を抑える効果もあります。このことから、金属の洗浄に使われるのは、界面活性剤を用いた洗浄剤が多いです。

一例をご紹介しましょう。まず、界面活性剤を配合した準水系洗浄剤を洗浄槽(浸漬噴流タイプ)に入れ、15%以上の濃度に管理します。この時、洗浄剤を50度程度の高温にすることで、汚れを効果的に除去することが可能です。 次に、液切りを行い、被洗浄物をプレリンス槽へ。更に液切りを行って2槽のリンス槽へと移動しましょう。この時は界面活性剤を40度程度の低温にすることで汚れの分散効果を発揮させ、汚れの再付着を防ぐことができます。 その後、熱風乾燥装置へと移動。リンスを低温で行うことで、素早く乾燥させることが可能です。

上記の洗浄方法で、アルミ表面から高粘土のポリブテン樹脂を効率的に除去できます。また、洗浄剤の廃棄量を減らしたり、リンス水を再生させたりすることも可能になるでしょう。ただし、金属が腐食しないよう、洗浄液に腐食防止剤を添加するなどの工夫が必要です。

サビを防ぐ洗浄

では、金属が錆びないように洗浄するにはどうしたら良いのでしょうか。いくつか方法をご紹介しましょう。

そもそも金属が錆びるのは、「水+酸素」が金属に付着するからです。更に温度が高ければサビの形成も早くなります。錆の発生を防ぐには、以下のような対策が有効です。

有機溶剤を使用する

そもそも水がなければ、サビが発生しにくくなります。有機溶剤による洗浄は、水を使ったすすぎの必要がありません。

界面活性剤を利用する

水系洗浄の場合は、最後の洗浄槽に低濃の度界面活性剤を入れたり、洗浄剤を落とさないでそのまま乾かしたりする方法もあります。界面活性剤が防護膜となってサビを防いでくれるでしょう。ただし、これは後の工程に支障がない場合に限ります。

液切り+乾燥を徹底する

水系洗浄剤を使用する場合は、徹底的に液切りを行ってからしっかり乾燥させてください。板物はスピン乾燥がおすすめです。できればその後、防錆油に漬けて空気を遮断しましょう。

窒素ガスを乾燥機に入れる

窒素ガスを入れることで、空気を排除することができます。酸素が供給されなくなるため、サビが発生しません。

≪まとめ≫

金属をサビさせずに洗浄するためにはさまざまな方法があります。最も選ばれている手段は、界面活性剤を活用した洗浄方法です。落としたい汚れや被洗浄物の種類などを考慮し、最適な洗浄方法を選択しましょう。