切削油の種類と性能

金属の材料を切削したり研削したりするときには、切削油と呼ばれる油を使用します。さまざまな性能や特徴を持つ切削油は、寸法精度や仕上げ面の粗さの向上に効果を発揮します。ここでは、切削油の解説をはじめ、その種類や管理のポイントをご紹介します。

切削油とは

切削油は、金属の材料に切削や研削、圧延・引き抜き・プレスなどの加工を行う際に用いられ、摩擦を抑えたり、工作物を冷却したりといった効果を発揮します。切削油は被削材と、それを削る刃物に注ぐことで、その空間に多様な効果を生み出します。

加工する箇所を潤滑あるいは冷却することで、加工の精度を高めるのはもちろんのこと、仕上げ面の粗さを向上させます。また、切削油には、工具の摩耗を抑え、耐久性を高める働きもあります。さらに、加工工具や被削材から切り屑を洗い流す効果もあるため、切り屑が溜まってしまうことによる加工不良を防ぐこともできます。加工時に発生した熱で機械が膨張するのを食い止める役割も持っています。

また、作業の効率化や品質の向上のためにも使用されます。

切削油の種類

切削油の種類には、潤滑目的で使用される不水溶性切削油と、冷やすことを目的とした水溶性切削油の2種類があります。

不水溶性切削油

不水溶性切削油材の主な成分は、鉱油・脂肪油。潤滑性をはじめ抗溶着性に優れているのが特徴です。主な用途としては、加工面の粗さや加工の精度が求められる加工とされています。

不水溶性切削油剤のJIS規格は次の通りです。

  • JIS N1種 1〜4号:極圧添加剤を含まず、銅などの非鉄金属や鋳鉄の加工に使われます。
  • JIS N2種 1〜4号:極圧添加剤を含み、銅板腐食が150℃で2未満のもの。一般的な切削加工に使用されます。
  • JIS N3種 1〜8号:硫黄分を含んだ極圧添加剤を必須とし、銅板腐食が100℃で2以下、150℃で2以上のもの。
  • JIS N4種 1〜8号:N3種同様、硫黄分を含んだ極圧添加剤を必須とし、銅板腐食が100℃で3以上のもの。

N3,4種では研削が難しい材料の加工や厳しい仕上げ面精度を求められる加工などに向いています。

水溶性切削油

水を薄めて使用するため、冷却性に優れているのが特徴。また、引火する危険性がないため、無人の場面での活用も期待できます。

水溶性切削油剤のJIS規格は次の通りです。

  • JIS A1種
  • 外観:乳白色(エマルション)
  • 特徴:水溶性切削油剤の中で最も潤滑性に優れています。
  • 用途:鋳鉄、非鉄金属、鋼の切削加工
  • JIS A2種
  • 外観:半透明ないし透明(ソリュブル)
  • 特徴:エマルションに比べると洗浄性、冷却性が優れています。
  • 用途:鋳鉄、非鉄金属、鋼の切削加工や研削加工
  • JIS A3種
  • 外観:透明(ソリューション)
  • 特徴:消泡性に優れ、冷却性が高いです。
  • 用途:鋳鉄の切削加工、鋳鉄・鋼の研削加工

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切削油の性能

切削油剤の性能は、潤滑性はもちろんのこと、冷却性やさび止め性などさまざまなものがあります。切削油の主な性能は次の通りです。

潤滑性

潤滑性では、不水溶性切削油のほうがより優れているとされていますが、水溶性切削油ではJIS A1種のエマルジョンが有効です。

冷却性

冷却性では、水に薄めて使用する水溶性切削油、中でもJIS A3種のソリューションが優れているとされています。

防錆性

防錆性では、不水溶性切削油のほうが優れているとされています。

浸透性

浸透性では、不水溶性切削油であれば低粘度のもの、水溶性切削油であればJIS A2種のソリュブルが優れているとされています。

耐久性

切削油は、切りくずなどの異物の混入が原因で劣化してしまいます。劣化に強いとされるのは、水溶性切削油のJIS A3種ソリューションです。

作業利便性

機械の周辺や床、作業服などの清潔さといった観点からは、水溶性切削油が優れており、オイルミストや煙の発生、引火の危険性がないといった特徴もあります。

切削油の管理ポイント

切削油の性能を保つためには、日常管理が大切です。次に管理のポイントを見てみましょう。

不水溶性切削油の管理のポイントは次の通りです。

  • 熱が加わることで起こる重合物質の生成を防止する
  • オイル交換時にタンク内を清掃することで、切りくずや水など異物の混入を防止する
  • 屋外で保管をせず、水分の混入を避けるようにし防錆に備える
  • 他の油分の混入を防止し、粘度の低下を抑える

水溶性切削油の管理のポイントは次の通りです。

  • 濃度管理をしっかりと行い、防腐剤を使用することで腐食を防ぐ
  • タンク内をしっかり清掃し、切りくずによる腐食や水分の吸着を防止し、劣化を防ぐ
  • 他の油分の混入を防止し、濃度や粘度の低下を抑える
  • 水道水を利用して希釈水の成分による影響を少なくする
  • 正しい方法で希釈する
  • 浮上油をこまめに除去し腐食を防ぐ

点検時の注意点

点検時には、切削油のチェックだけでなく、次のポイントも併せて確認するようにしましょう。

  • ポンプからの異音確認
  • ポンプの圧力の確認
  • 濾布の汚れや張り、たわみなどの濾過状況の確認
  • エレメントの詰まりや汚れ、破損などフィルターの確認