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板金加工の原理

金属にさまざまな力を加えて目的の製品に仕上げていくのが金属加工です。一見単純な加工に思えますが、一体どのようなメカニズムで成り立っているのでしょうか。金属の成り立ちや材料についてと、板金加工の原理についてご説明いたします。

金属加工のしくみ

金属は力を加えることによって、さまざまな形状に加工することが可能です。自動車のボディやお寺の鐘まで、金属の形状が加工に応じて変わる理由は、金属の成り立ちにあります。金属は、結晶粒という粒が無数に集まって形成されているものです。また、この結晶粒は、金属を構成する原子が互いに引っ張り合いながらひとつひとつ規則正しく並んでいる結晶格子という単位で構成されています。つまり、金属とは微細な原子の粒がそれぞれに引き合う結合力によって、その形状を保っているのです。この結合力より大きな力を金属に加えると、金属を構成するそれぞれの原子の並び方にズレを生じさせることができ、金属の形状を変化させることができます。板金や金属を加熱しながら繰り返し打撃を加えて加工する鍛造などは、この原理を利用した代表的な加工法です。一方、金属を加熱して完全に溶融させると原子の結びつきはほどかれ、液体状になります。この状態で金属を任意の形状に成形する方法が鋳造です。

金属加工のしくみと材料の関係

金属は、素材によって加工のしやすさに違いがあり、これは、それぞれの金属の結晶格子の原子の並び方に起因しています。例えば金・銀・銅・アルミなどの金属は、原子が立方体のように並び、それぞれの面の中心にも原子をもつ「面心立方格子」という形状の結晶格子です。この形状は力を加えると変形しやすいため、これらの金属は箔の状態にまで加工することができます。

一方、鉄などの材質は、立方体構造の重心位置に原子をもつ「体心立方格子」という形状の結晶格子です。この「体心立方格子」の金属では、重心位置に配置された原子が鎹(かすがい:「コ」の字をした釘)のような役割をするため、力を加えても変形しにくい性質を持っています。またこれらの他にも、「正方格子」をもつすずなどの素材は、原子がややまばらに配置されているので手でも容易に加工が可能です。反対にマグネシウムなどに代表される「ちゅう密六方格子」は非常に堅牢な構造の結晶格子をもち、常温での変形はほとんどできないほどに堅い性質をしています。

このように、金属の種類によって結晶格子の並び方はそれぞれ違い、結晶格子の並び方によって金属の変形しやすさが違ってくるため、金属の種類によって加工のしやすさも変わるというわけです。

板金加工の原理

金属に力を加えて変形させる金属加工は、一見単純な加工に思えますが一体どのようなメカニズムで成り立っているのでしょうか。

金属に力を加えると、金属を構成している原子と原子の距離にひずみが発生して変形します。しかし、原子同士には互いに引き合う結合力があるため、加わった力に反発して元の形に戻ろうとする内力も発生しているのです。この内力によって、金属に力を加えて変形しても、力を取り除くと元の形に戻る場合もあり、これを弾性変形といいます。ただし、ある一定の大きさを超える力が加わると、金属の変形は元に戻りません。これを塑性変形と呼び、弾性変形と塑性変形を分かつポイントとなる力の大きさを降伏点、または耐力といいます。

板金加工は、金属の薄い板に「切断する」「穴を開ける」「折り曲げる」などの方法で、耐力を超えた力を加えて形状を変化させるものです。一方で、与える力が大きすぎると金属が破断してしまうため、金型や当て金を使用して必要以上の変形が進まないようにします。加工段階で加わるこれらの必要以上の力は、「残留応力」という形で金属の内部にとどまる場合があり、こうした残留応力が製品の強度や耐食性を下げる原因となることもあるのです。

板金加工の原理

≪まとめ≫

金属に力を加えて変形させる金属加工ですが、金属の素材によって結晶格子の形状が異なり、加工のしやすさには大きな幅があります。板金加工は、降伏点を超える力を加えることで金属の薄い板を変形させる加工です。金属加工を行う際には、これらのメカニズムをよく理解して加工にあたりましょう。