建築設備配管工事の基礎講座
空調設備や換気設備、給排水衛生設備の血管となる「配管」。本連載では、配管方式の分類から配管工事・配管材料の種類まで、現場や商品選定時に役立つ知識を紹介していきます。
第2章 建築設備用配管材料の種類

2-1 配管用炭素鋼鋼管

建築設備用配管材料の中で、最も広範に使用されているのが、「配管用炭素鋼鋼管(SGP:Steel Gas Pipe)(以降SGPと称す)」である。SGPの使用率は、建築用途や配管用途によって多少のバラツキはあるものの、配管工事全体の60〜85%と言っても過言ではない。 ちなみに、亜鉛メッキ(どぶ漬け)したSGPを「白ガス管」、素管のままの「蒸気管」や「油管」に使用されるSGPを「黒ガス管」と呼んでいるが、SGPは「白ガス管」として使用する場合が圧倒的に多い。

SGPは、通称:”ガス管”という愛称で呼ばれ、古くから多用されている。SGPは、「ガス管」として専ら使用され、JIS G 3457 ガス管(1951年)⇒JIS G 3432 ガス管(配管用鋼管)(1955年)⇒JIS G 3432 配管用鋼管(ガス管) (1958年)⇒JIS G 3445 配管用炭素鋼鋼管(1962年)⇒JIS G 3452 配管用炭素鋼鋼管(2004年)という紆余曲折を経て、『ガス管』という呼称がとれたのは、1962年のJIS改定以降のことなのである。

現在のSGPの規格には、1外径公差が大きい、2内径寸法・真円度の規定がない、3化学成分も、P(リン)とS(硫黄)しか規定されていない、という特徴がある。

【ちょっと一言!】

鉄鋼5元素=リン(P:Phosphorus)・硫黄(S:Sulfur)・炭素(C:Carbon)・ケイ素(S:Silicon)・マンガン(Mn:Manganium)のこと。

SGPは、通常使用圧力の比較的低い蒸気・水(ただし、上水を除く)・油・ガス・空気などの搬送用として使用される。最高使用圧力は、「0.1MPa(10kgf/cm²)」、使用温度は、「253K(-15℃)〜623K(350℃)」が目安である。

SGPは製造方法によって、「鍛接鋼管」と「電気溶接鋼管(電縫管)」があり、「電縫管」については溶接部とその近傍だけが「熱影響」を受け、母材との間に「金属組織上の差」が生じ「マクロセル」が形成され、マンガン(Mn)と硫黄(S)が熱影響を受けて「溝状腐食(後述)」が発生する場合がある。 この溝状腐食の対策として、腐食の原因となる硫黄(S)分の量を下げ、鋼の耐食性向上のため銅(Cu)を添加した「耐溝状腐食鋼管」がある。規格記号のあとに、MN(溝なしの意)の統一名が付記されて販売されている。 その他に、かつて「水道用亜鉛めっき鋼管」と呼ばれていたSGPは、現在名称変更された「水配管用亜鉛めっき鋼管(JIS G 3442:SGPW)」がある。このSGPは、既述の「白ガス管」は「亜鉛付着量」の規定がないのに対し、「亜鉛付着量」が、平均値:600g/m²以上(最小値:550g/m²)と規定されていることである。

【豆知識】 鋼管の定尺長:5.5mの不思議?

銅管・「SUS管」などは、「4m定尺」を採用している。日本ではSGPの「定尺(Unit Length)」はなぜか従来から「5.5m」と決まっていた。聞くところによると、その経緯は、1912年(大正元年)頃、ガス管製造設備をドイツから輸入した際、「デマーク社」の仕様が「5.5m」になっていたので、「5.5m定尺」が定着(定尺?)してしまった由。

執筆:NAコンサルタント 安藤紀雄
挿絵:瀬谷昌男

『建築設備配管工事の基礎講座』の目次

第1章 建築設備と建築設備配管

第2章 建築設備用配管材料の種類

第3章 配管の接合方法の種類

第4章 配管工事を支える補助部材

第5章 配管のテストと試運転

第6章 配管に関するトラブル対応

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