建築設備配管工事の基礎講座
空調設備や換気設備、給排水衛生設備の血管となる「配管」。本連載では、配管方式の分類から配管工事・配管材料の種類まで、現場や商品選定時に役立つ知識を紹介していきます。
第2章 建築設備用配管材料の種類

2-9 ポリオレフィン管

既述のように、樹脂管(プラスチック管)である「ポリオレフィン管」の代表的なものには、「ポリエチレン管」と「ポリブテン管」がある。

(1)ポリエチレン管類

広い意味での「ポリエチレン管」は、主に水道・ガス供給管として「土中埋設」されて使用される「ポリエチレン管(ガス用ポリエチレン管:JIS K 6767)」と主に給水から給湯までの「広い温度範囲」に使用されている「架橋ポリエチレン管(JIS K 6769: PEX)」に大別される。

1)一般用ポリエチレン管(JIS K 6761:PE)

ポリエチレン樹脂を主原料とし、「押し出し成型機」により製造される。使用する原料の性状により、「1種(比較的柔軟性を持つもの=軟質管)」と「2種(比較的硬い硬さをもつもの=硬質管)」とがある。

呼び径は、1種・2種いずれも10mm〜300mmまであり、外径寸法も全く同じであるが、「管の厚さ」が若干異なっている。材料の引っ張り強さは、2種は1種のほぼ2倍であり、「管の耐水圧」も2種が1種より大きい。軽量で「耐衝撃性」・「耐食性」・「可とう性」に優れている他、内面が滑らかであるため、「流体の摩擦抵抗」が少ないなどの利点がある。管の接合法としては、「融着接合法」か「メカニカルジョイント接合法」が採用されている。

2)水道用ポリエチレン二層管(JIS K 6762)

従来管の構造については、「単層管」と「複層管」の2種類が規定されていたが、わが国の使用実態から、「耐候性」および「耐塩素水性」の性能を兼ね備えた「2層構造」の管のみが規定された。

それには、1種二層管:記号1Wと2種二層:記号2Wがある。

なお、1種二層管には、「低密度ポリエチレン」または「中密度ポリエチレン」が、2種二層管には「高密度ポリエチレン」が使用されている。

3)架橋ポリエチレン管(JIS K 6769:PEX)

この配管材料がわが国で「暖房用温水・その他」の配管材料として、利用されるようになってかれこれ50年になる。

PEXは、中密度・高密度のポリエチレンを「架橋反応(cross-linkage reaction)」させることで、耐熱性・耐クリープ性(技術用語解説参照)を飛躍的に向上させた樹脂管である。規格には、給水・給湯・床暖房等の広範囲の用途に対応する形で制定された「架橋ポリエチレン管(JIS K 6769)」と、「水道法」を満足形で制定された「水道架橋ポリエチレン管(JIS K 6787)」がある。

なお、図-1は、ポリエチレンと架橋ポリエチレンの分子構造を比較したものである。

ポリエチレンと架橋ポリエチレンの分子構造比較

 

【技術用語解説】クリープ(creep)

「応力」が一定に保たれた状態で、歪みが時間の経過とともに増大する現象のこと。鋼材などが高温下におかれたり、「降伏点」を超える応力を受けたりする時に見られる現象。

クリープ現象

 

(2)ポリブテン管(JIS K 6778:PB)

給水・給湯等の配管材料として用いられる「金属管」の腐食による「赤水発生」の問題に対処するために開発された樹脂管である。極めて耐食性にすぐれているポリブテン管および継手は、「1−ブテン」の重合体でポリエチレンの約10倍の「超高分子量」と「特殊な分子構造」もつことにより、高温域でも高い強度をもち、かつ腐食に強い「プラスチック管材」として、1965年代から主に、温泉引湯用・床暖房用・ロードヒーテイング用や一般住宅の給水・給湯・暖房用の配管材として使用されてきた。

その結果、1990年に「ポリブテン管(JIS K 6778)」と「ポリブテン継手(JIS K 6779)」が規格化された。これらの規格は、各種の給湯機器の「使用温度範囲」を考慮して、温度:90℃以下の水に使用する配管材として規定したものである。この他に、水道用ポリブテン管(JIS K 6792)もある。

執筆:NAコンサルタント 安藤紀雄
挿絵:瀬谷昌男

『建築設備配管工事の基礎講座』の目次

第1章 建築設備と建築設備配管

第2章 建築設備用配管材料の種類

第3章 配管の接合方法の種類

第4章 配管工事を支える補助部材

第5章 配管のテストと試運転

第6章 配管に関するトラブル対応

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