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建築設備配管工事の基礎講座
空調設備や換気設備、給排水衛生設備の血管となる「配管」。本連載では、配管方式の分類から配管工事・配管材料の種類まで、現場や商品選定時に役立つ知識を紹介していきます。
第3章 配管の接合方法の種類

3-6 炭素鋼鋼管(SGP)溶接接合法(後編)

(6)仮付け溶接と本溶接

溶接接合配管は、オフ・サイトの配管加工場で「プレハブ加工」して、加工部材を現場で組み立てるだけにするような理想的な方法もあるが、ほとんどケースは現場で溶接作業を実施し、配管を延ばしていくという形をとる。その際にも、1.仮付け溶接(tack welding)→2.本溶接(full welding)という「プロセス(過程)」を踏むことになる。

1.仮付け溶接(tack welding):本溶接を実施する前に、溶接部の相互の位置を正しく固定し、「溶接部の歪み」による「開先部の位置ずれ」を防止するために実施する溶接である。「仮付け溶接」という日本語から、英語ではつい“Temporary Welding ”と訳しそうになるが、正式な英語は“Tack Weliding(タック溶接・鋲付け溶接・点付け溶接)”である。この日本語の「仮付け溶接」というイメージから、現場では「未熟練溶接工」に「タック溶接」を任せてしまう傾向がある。

しかし、この「タック熔接部」が後々「溶接欠陥」として残り、「本溶接」では修復できないことが多いので、この作業は必ず「熟練溶接工」が行うことが肝要である。この意味でも、日本でも今後は「仮付け溶接」ではなく、「タック熔接」と呼ぶべきである。

2.本溶接(full welding)上記の「タック熔接」を終了後に実施する「配管全周囲」を溶接する作業で、当然資格を有している熔接工が「本溶接」を行うべきである。

(7)溶接作業と溶接姿勢

溶接姿勢には、下向き姿勢・上向き姿勢・立向き姿勢などがあるが、極力良好な溶接結果が得られる「下向き姿勢」で、溶接作業をすることが望ましい。そのためには、「ターニングロール」と「ポジショナー」を使用して、できるだけ管を水平回転させる。管の回転が不可能な二次元形状の組み立て管は、「立向き姿勢」から「下向き姿勢」の「半盛り溶接」を対照的に実施し、次に管を反転させて、同様の「半盛り溶接」を実施する。また、管が反転できない「固定管」の場合には、「上向き姿勢」から「立向き姿勢」に、さらに「下向き姿勢」の「固定溶接」を対照的に実施する。挿絵は上記の水平管の「下向き溶接」・「版盛り溶接」・「固定管溶接」の溶接姿勢と溶接方法を図解したものである。

図-1 水平管の溶接方法と溶接姿勢

(8)溶接欠陥と運棒法

1.溶接欠陥(welding defects):溶接作業は、溶接作業員(溶接工)によって、様々な条件で施工されるが、常に良好な結果を求めるには、「十分な溶接作業経験」を積み、「溶接欠陥」を作らない注意が必要である。万一、「溶接欠陥」が発生すると、その溶接強度が非常に弱くなるので注意しなければならない。

ちなみに溶接時発生する溶接欠陥としては、ブローホール・溶け込み不足・スラグの巻き込み・アンダーカット・ビード外観不良・溶接金属割れ・母材割れ等々があるが、下表は溶接時に発生する溶接欠陥の種類・原因・対策を示したものである。

表-1 溶接時に発生する溶接欠陥の種類・原因・対策

表-1 溶接時に発生する溶接欠陥の種類・原因・対策


図-2 溶接欠陥の種類

 

2.運棒法(manipulation)

:溶接棒の種類・棒径・姿勢などに応じて、欠陥のない美しい溶接部を形成するために、様々な工夫がなされている。挿絵は、運棒法の例を示すものであるが、運棒法の各名称は「アーク端」の描く形によっている。

すなわち、「栗形運棒」は、先端が栗形に動くもので、「立向き溶接」に採用され「三角運棒」も同様である。「ストリングビード」は、入熱の少ない運棒であるが、「ウィービング」は、溶接方向に直角に棒端を動かすから入熱は大きくなる。なお、「ウィービング幅」は、心線径の2倍くらいが適当である。

 また、「はねあげ運棒」は、立向姿勢で溶融金属が流れ落ちるのを防ぐため、「ウィービング運棒」の端で上方にアークを逃すための運棒である。

「クレータ処理」は、いきなりアークを切ると「クレータ割れ」が生ずるのを防ぐため、クレータを埋めてからアークを切る運棒法である。

図-3 溶接作業における運棒法

 

執筆:NAコンサルタント 安藤紀雄
挿絵:瀬谷昌男

『建築設備配管工事の基礎講座』の目次

第1章 建築設備と建築設備配管

第2章 建築設備用配管材料の種類

第3章 配管の接合方法の種類

第4章 配管工事を支える補助部材

第5章 配管のテストと試運転

第6章 配管に関するトラブル対応

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