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建築設備配管工事の基礎講座
空調設備や換気設備、給排水衛生設備の血管となる「配管」。本連載では、配管方式の分類から配管工事・配管材料の種類まで、現場や商品選定時に役立つ知識を紹介していきます。
第6章 配管に関するトラブル対応

6-3 配管材料の局部腐食の種類

前項で”多くの場合問題となるのは「局部腐食」である”と述べたが、「局部腐食」といってもその種類は20近くも存在する。ここでは、その中でも我々がよく遭遇する「代表的な局部腐食例」(順不同)を簡単に紹介しておきたい。

(1)孔食(pitting corrosion)

金属表面に局部的に「孔状」に発生する腐食で、内部に進行する「局部腐食の一つである。「点食」ともいう。(JIS Z 0103)

ちなみに、「孔食電位」なる用語もあるが、「不働態域」に保持されている金属表面に「孔食」が発生し始める「最も卑な単位」のことで、金属の「耐孔食性」を表す「特性値」のことである。(図-1参照)

図-1 孔食
(2)潰食(erosion corrosion)

比較的速い流れにある場合に材料が受ける「局部腐食」で「馬蹄型」の傷損跡を残すのが特徴である。誘導する腐食環境、あるいはこれに含まれる「固形物」による「摩耗」と「腐食」が相乗して発生する現象である。(図-2参照)

図-2 潰食
(3)すきま腐食(crevice corrosion)

金属と金属の構造的な「すき間(マクロのすき間)」、あるいは表面にゴミなどが付着した「すき間」に「水溶液」が入りこむと、その「億部」と「入口部」とに「通気差電池」または「濃淡電池」ができて、奥部が「陽極(アノード)」、入口部が「陰極(カソード)」となって前者が腐食する現象。(JIS Z 0103)

図-3 SUS鋼のすきま腐食のメカニズム
(4)応力腐食(stress corrosion)

「応力環境」下で、金属に「静的応力」、あるいは加工などによる「残留応力」が加わった時に生じる腐食現象で、多くの場合「応力腐食割れ(SCC: stress corrosion cracking)」を伴う。(JIS Z 0103)(図-4参照)

図-4 SUS鋼の応力腐食割れの発生条件
(5)異種金属接触腐食(galvanic corrosion)

異種金属に「電気的」に接しているとき「卑な金属(亜鉛・鉄など)」の腐食が促進され、「貴な金属(SUS鋼など)」の腐食が抑制される現象で、「ガルバニックコロージョン」とも呼ばれる。(JIS Z 0103)(図-5参照)

図-5 SUS鋼と炭素鋼との間の異種金属接触腐食
(6)溝状腐食(groove corrosion)

配管用炭素鋼鋼管(SGP)の中で「電縫管」については、「熔接部」と「その近傍」だけが熱影響を受けて、母材との間に「金属組織」上の差が生じ「マクロセル」が形成され、「MnS(硫化マンガン)」が熱影響を受け、選択的に発生する腐食。そのために、最近では「耐溝状腐食鋼管:SGP(MN)」が開発され、規格記号の後にMN(ミゾノン:溝なしの意)の「統一名」が付記されて販売されている。(図-6参照)

図-6 電縫鋼管の溝状腐食
(7)炭酸腐食(carbonic acid corrosion)

この腐食は、蒸気配管の「ドレン管(還水管)」に発生する腐食で、「蒸気ドレン管」で「二酸化炭素」が復水(ドレン)に溶解して、pHを低くさせることで腐食性が高くなる現象。蒸気還水管として、配管用炭素鋼鋼管(SGP)を使用すると、2〜3年で配管がボロボロになるので、蒸気還水管には「SGP管」ではなく、必ず「SUS管」を使用すること!(図-7参照)

図-7 蒸気還水管の炭酸腐食
(8)粒界腐食(intergranular corrosion)

「結晶粒界」にそって深く浸食され、著しいときには「結晶粒」が脱落する場合もある。「オーステナイト・ステンレス鋼(例えばSUS304)」では、500℃〜800℃の温度域に加熱されると、いわゆる「鋭敏化組織」になる。すなわち、「結晶粒界」に沿って「クロム炭化物」が析出し、その周囲の「クロム濃度」が低下することになり、「粒界腐食」の感受性が増大する。(図-8参照)

図-8 SUS304に生じた粒界腐食の事例
(9)脱亜鉛腐食(dezincification)

合金中の「特定成分」のみが腐食によって「選択的」に失われる局部腐食で、バルブの「弁棒」・「弁座」などにしばしば生じる。

「黄銅の脱亜鉛腐食」は、その代表的な例である。「脱亜鉛腐食」を生じた黄銅表面は白色の腐食生成物を取り除くと、「スポンジ状」の赤色を呈する。(図-9参照)

図-9 脱亜鉛腐食のタイプ
執筆:NAコンサルタント 安藤紀雄
挿絵:瀬谷昌男

『建築設備配管工事の基礎講座』の目次

第1章 建築設備と建築設備配管

第2章 建築設備用配管材料の種類

第3章 配管の接合方法の種類

第4章 配管工事を支える補助部材

第5章 配管のテストと試運転

第6章 配管に関するトラブル対応

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