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建築設備配管工事の基礎講座
空調設備や換気設備、給排水衛生設備の血管となる「配管」。本連載では、配管方式の分類から配管工事・配管材料の種類まで、現場や商品選定時に役立つ知識を紹介していきます。
第6章 配管に関するトラブル対応

6-4 空気中・水中・土中における配管腐食

配管腐食には、配管の布設環境によって、(1)空気中における腐食、(2)水中における腐食、(3)土中における腐食と大別できる。ここでは、紙面の制約上、それらの腐食対策まで言及できないのは残念であるが、それぞれの概論のみを述べるにとどめたい。

(1)空気中における腐食概論

空気中における腐食は「水」がなくても起こるように見えるが、500℃以上の高温である場合を除いて「水の存在」が不可欠である。

しかるに、「水の供給元」は、「雨水」と「空気中の水蒸気」である。「雨水」が水を供給するのは当然のことであるが、「水蒸気」が金属表面に供給するのは、「結露現象」がある条件下だけで発生することを想起するとよい。屋外に設置された配管材料は、天空の「放射冷却」で冷やされた「相対湿度」の高くなる朝方に特に「結露」を生じる。

しかし、これ以外の場合にも、空気中から水が配管材料表面に供給される。一つは、さびの中の「毛細管」の中で「飽和水蒸気圧」が「自由大気中」より低い湿度で「結露」を生じる現象である。もう一つの場合は海水中に含まれる「塩化マグネシウム(MgCl2)」の潮解性によるもので、極めて低い湿度溶解でも結露する。

空気中の腐食で考えなければいけないのは、「空気汚染物質」である。海の近くでは「食塩」に含まれる「塩化物イオン」、工場の近くでは煙突からの排気ガスに含まれる「硫黄酸化物(SOx)」や「窒素酸化物(NOx)」、都市部では自動車の排気ガスに含まれる「窒素酸化物(NOx)」である。これらの汚染物質が、金属表面の「結露水」や「さび」や「付着物」にとりこまれるので、雨で洗い流さないかぎり「金属表面」に残る。

したがって、空気中の方が水中より腐食にとって「優しい環境」であるとは必ずしも言えないのである。

図-1 水がなくても起こる空気中腐食
(2)水中における腐食概論

中性の淡水中では、「溶存酸素(DO)」と「水」と「母材」の電子が反応し、「水酸化物イオン」になり腐食反応が起きる。金属表面が均一であれば「腐食しろ」を考慮して設計すればあまり問題にならない。しかし、現実には種々の原因で、これらの反応の起こる場所に「偏り」が生じるので問題を起こすことになる。最も理解しやすく、現実に「腐食障害」を起こすのが、「異種金属」による腐食である。

例として、「鉄」と「銅」を電気的に接続すれば、鉄の表面では鉄が「鉄イオン」になる反応が主となり、銅の表面では「酸素」と「水」が銅から「電子」を奪って「水酸化物イオン」になる反応が主となる。同じ金属表面でも、「酸素の拡散量」の多い場所と少ない場所があれば、「反応の偏り」が生じる。この反応を図ー2に示すように、「濃淡電池(通気差電池)」とよぶ。水槽の「吃水面」や「さびこぶ」の下で腐食を発生させる。

図-2 水中における濃淡電池腐食

全面的な腐食速度は、「pH」と水中からの「炭酸カルシウム(CaCO3)」の「沈殿被膜の生成傾向」によって大きな影響を受ける。「pH」は金属がイオンとして溶解した後の「水酸化物(さび)」として沈殿する傾向に大きな影響を与える。表面にさびが沈着すると、「酸素拡散」の障壁となり腐食速度を小さくする。「pH」が低い場合には、この沈殿ができにくくなり、大きな腐食速度が維持される。水中の「炭酸カルシウム」の飽和傾向は「ランゲリア指数」とよばれる指数で知ることができる。

(3)土中における腐食概論

土壌中における腐食は、電気が「イオンの移動」によって流れるという点では、既述の「水中における腐食」と同じ環境である。建築設備において発生する「土中マイクロセル腐食」には以下の3つのタイプがある。

1.通気差・土壌差マクロセル
一つの配管が異なる土壌に埋設された場合に発生するもので、「発生頻度」は大きいが「腐食度」はあまり大きくない。
2.モルタル埋設によるマクロセル
配管の一部が「犬走り」の下などの「モルタル」に埋設した場合に起こる腐食である。埋設部分が長い場合には、大きな「侵食度」になる場合もあるが、モルタルに埋設する部分の表面を被覆することで防止できる。
3.鉄筋コンクリート(RC)中の鉄筋によるマクロセル
図-3に示すように「土中の配管」と「RC中の鉄管」が電池を形成することによる腐食である。

図-3 土中におけるマクロセル腐食
執筆:NAコンサルタント 安藤紀雄
挿絵:瀬谷昌男

『建築設備配管工事の基礎講座』の目次

第1章 建築設備と建築設備配管

第2章 建築設備用配管材料の種類

第3章 配管の接合方法の種類

第4章 配管工事を支える補助部材

第5章 配管のテストと試運転

第6章 配管に関するトラブル対応

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