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建築設備配管工事の基礎講座
空調設備や換気設備、給排水衛生設備の血管となる「配管」。本連載では、配管方式の分類から配管工事・配管材料の種類まで、現場や商品選定時に役立つ知識を紹介していきます。
第6章 配管に関するトラブル対応

6-6 配管工事トラブルクレーム:給排水衛生設備編

配管工事に精通していなかったり、設計図・施工図が不備なために生じる「3T工事(手待ち工事・手直し工事・手戻り工事)」に遭遇することがよくある。

そのようなトラブル例は枚挙に暇がないが、ここではその一部(給排水衛生設備編)を「反面教師」として、ピックアップして紹介したい。

(1)「ヘリューズ管」の接続トラブル

衛生器具:洗面器に給水管を接続する場合に、「給水用止水栓ヘリューズ管」が使用される。この「ヘリューズ管」がすっぽ抜けてしまって、漏水事故を起こすことが多い。その理由は、ヘリューズ管についている「鍔(つば)」を何も知らぬ配管工が、切り落として接続してしまうことがあるからである。

通常では問題なくても、「動水圧」や「管振動」により抜けてしまうことがあるので、「ヘリューズ管」の鍔(つば)を切り落として接続してはならない。

図-1 ツバなし「ヘリューズ管」の接続はしないこと!
(2)「トンボ配管」によるトラブル

これは「空調設備」でも共通事項であるが、直管から「チーズ(T継手)」を使用して、左右に配管を分岐してしまうことがある。このような配管を通称「トンボ配管」と呼んでいるが、「トンボ配管」は絶対に行ってはならない。一度にT継手を使用して二方向に分流すると、水の分流量が不均衡になるからである。

配管設計図は、便宜上「T分岐」で表示しているが、「施工図」では手前で一端横に分岐するように図示すべきである。

図-2 配管の「T分岐」は絶対にしないこと!
(3)「二重トラップ配管」によるトラブル

排水管系統で、知らず知らずのうちに「二重トラップ配管」をしている場合がある。「二重トラップ配管」を行うと、2個のトラップに挟まれた「排水管内」は閉塞状態となる。そうなると排水の「円滑な流れ」を阻害したり、「トラップ封水切れ現象」が起こる可能性がある。

図-3 二重トラップ配管は、絶体にしないこと!
(4)「配管誤接続」によるトラブル

衛生設備で「飲用水系統配管」と「雑排水系統配管」などを誤って接続すると「クロスコンタミネーション(交叉汚染)」などが発生し、保健衛生上の問題が発生する。配管系統によって「管種」を変えるとか、配管管種を色分け(識別)するなど、事前に誤接続防止の「ポカヨケ対策」を講じておくこと!

図-4 配管誤接続による「クロスコンタミネーション」の防止
(5)「ソルベント・クラッキング」によるトラブル

このトラブルは、「ストレス・クラッキング(応力亀裂)」の一種であり、塩ビ配管で「溶剤(ソルベント)」が加わったときに生じる亀裂発生現象である。塩ビ管の場合、1.溶剤を多量に使用したとき、2.過度な応力(熱応力・TS接合部の応力・生曲げ応力)が掛かったとき、3.低温度下配管を行ったときなどの3要因が加わった時に発生しやすい。

なお、塩ビ管は、木材に塗布されている「防腐剤」にも弱いことを覚えておきたい!

図-5 塩ビ管のソルベント・クラッキング現象
(6)「吐水口空間」の確保不足によるトラブル

給水系統の配管を設置する場合、「衛生排水器具」との間に、かならず「吐水口空間」を十分確保すること。
この確認を怠ると、断水時に「汚染水」などが逆流したり混入したりするおそれがある。

図-6 給水系配管と吐水口空間の確保
(7)通気管の「逆鳥居配管」によるトラブル

「通気管」施工は、あくまで「上がり勾配」で施工するのが正しい施工方法である。しかしながら、通気管のルートとなる梁に「貫通スリーブ」がなく、梁を交わして施工せざるを得なくなり、「逆鳥居配管(トラップ形状配管)」になってしまっている場合がある。この「逆鳥居配管(トラップ形状配管)」には、やがて結露水が溜まって、「通気機能」が損なわれる。「ガス系統の通気管」であれば、ガスが排出できず「逆流のおそれ」もあり、「大事故(死傷事故)」に至った例もある。たかが「通気管」だと安易に考えずに、「目視」および「勾配計」による確認が重要である。

図-7 通気管の「逆鳥居配管」はNG!
(8)1階設置の洋風大便器から泡が噴出したトラブル

これは「施工上の問題」というより、「設計上の問題」である。高層マンションの1階設置の洋風大便器から、突然泡が噴出した。通気管は「伸頂通気管」だけであり、1階の排水系統も「排水立管」に接続されていた。「泡切れの悪い洗剤」を使用すると、「排水横主管」に溜まり配管内の空気のながれが阻害され1階付近では、「管内圧」が高くなり泡が吹き上げる。再発防止としては設計段階で、1階の排水系統は「単独排水系統」とすべきである。

図-8 1階の便器から泡の噴出し
(9)排水管の「勾配確保不十分」によるトラブル

排水方式には、「重力式」・「加圧式」・「真空式」の3種類ある。しかし、最も一般的に採用されている「排水方式」は、自然流下式の「重力式排水」である。

この「重力式排水」で最も重要なのが、充分な「排水管勾配」確保することである。
「適正な排水勾配」が確保できないと、排水管内に「堆積物」が溜まり、「硫酸還元菌」により「流化ガス」が発生し、配管上部の気相中で「硫酸」に酸化させ、「排水鋳鉄管」の腐食トラブルが発生した事例もある。また、「テナント用厨房排水管」の中でも、「うどん店」の排水管材料には、特に注意が必要である。「うどん店」は塩分を多く含んだ排水使用するので、排水管材料として「鋼管」を採用して腐食した事例がある。

図-9 厨房の排水管勾配の確保
執筆:NAコンサルタント 安藤紀雄
挿絵:瀬谷昌男

『建築設備配管工事の基礎講座』の目次

第1章 建築設備と建築設備配管

第2章 建築設備用配管材料の種類

第3章 配管の接合方法の種類

第4章 配管工事を支える補助部材

第5章 配管のテストと試運転

第6章 配管に関するトラブル対応

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