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機械要素の基礎講座
多くの産業を支える機械の基礎として重要な「機械要素」。 歯車やベルト・チェーン、ばねなど多岐にわたります。本連載では、 それらの機械要素について、知っておくべき基本的な事項をご紹介していきます。
第1章 歯車

1-7 二軸が平行な歯車の特長と種類

これまで紹介してきた歯車は、歯の山の方向である歯すじが歯車の回転軸に対して平行で直線状である平歯車であり、一般的な形状の歯車として動力伝達用に幅広く用いられています。 歯車がより高速で回転して、大きな動力を伝達したいという要求が高まってくると、平歯車では騒音や振動が問題になり、より滑らかにかみ合う歯車が求められるようになりました。滑らかにかみ合う歯車にするためには、どのような工夫が必要になるのでしょうか。

はすば歯車は歯すじが回転軸に対して一定の角度をもつつるまき線状の歯車であり、ヘリカルギヤともよばれます。この歯車は平歯車にくらべて歯が少しずつ滑らかにかみあうため、かみ合いに伴う衝撃が少なくなり、騒音や振動を抑えることができます。一方で使用にあたっては留意しなければならない点もあります。 すなわち、平歯車では回転方向が回転軸に対して直角であるため、軸方向に斜めの力ははたらきませんでした。 一方、はすば歯車は歯すじが軸方向に対して傾いているため、回転軸には歯車がかみ合うときにスラスト力とよばれる力がはたらくことになります。歯車の回転はその中心にある軸を通して伝達されており、この軸は軸受とよばれる部品で支えて用いられます。軸受の選定ではこのスラスト力がはたらくことを考慮した選定が必要となります。

  • はすば歯車
  • 図1

はすば歯車はその形状の複雑さから平歯車よりも製作も難しくなりますが、自動車の変速装置であるトランスミッションなど、騒音や振動を抑えたい場面には広く用いられています。


  • やまば歯車
  • 図1

やまば歯車は歯すじが左右逆向きのはすば歯車を組み合わせた歯車であり、ダブルヘリカルギヤともよばれます。 これは二組の歯車を用いることではすば歯車にはたらくスラスト力を打ち消すことができるため、高速でも滑らかな回転ができ、大きな動力が伝達できるため、大型に減速装置などに用いられます。


  • ラック
  • 図1

ラックは平歯車を直線状に配置したものであり、比較的小さな歯車であるピニオンとともに用いられます。ラックとピニオンを組み合わせることで回転運動と直線運動の変換ができるため、さまざまな機械のメカニズムに用いられます。 ラックの場合にも、歯すじが直線状のすぐばラック、はすば状のはすばラックとがあり、用途に応じて使い分けられます。

  • すぐばラック
  • 図1
  • はすばラック
  • 図1

  • 内歯車
  • 図1

内歯車はラックの歯を内側にして円状にしたものであり、インターナルギアともよばれます。この歯車は通常の平歯車などを外歯車として組み合わせることで、コンパクトで大きな減速比をとることができる遊星歯車装置などに用いられます。

執筆:宮城教育大学 教育学部 技術教育専攻 門田 和雄 准教授

『機械要素の基礎講座』の目次

第1章 歯車

第2章 ベルトとチェーン

第3章 ばね

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