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機械要素の基礎講座
多くの産業を支える機械の基礎として重要な「機械要素」。 歯車やベルト・チェーン、ばねなど多岐にわたります。本連載では、 それらの機械要素について、知っておくべき基本的な事項をご紹介していきます。
第1章 歯車

1-9 歯車減速装置のはたらき

機械の複雑な動きの原動力は回転運動であることが多く、その回転速度や回転力を変換するために歯車が用いられます。 ここで回転力のことをトルクともいい、異なる歯数のかみ合う歯車を用いて回転速度を下げることで回転力を上げることができます。また、逆に回転速度を上げることで回転力を下げることができます。

歯車の速度伝達比(1-6)で歯車列の計算方法を説明しましたが、実際の機械における歯車装置は多くの場合、回転速度を落とすことで回転力を上げることができる特長をいかした減速歯車装置として用いられます。

例えば、自転車では平坦な道を走るときよりも、坂道を登るときに大きな回転力が必要になります。ペダルを踏む場合の歯車とタイヤ側の歯車の比が減速比となるため、坂道を登るときには前者に対して後者の歯数を大きくすれば回転力が大きくなり、 ペダルを楽に踏むことができるのです。この関係は3段変速や5段変速などの自転車はもちろん、自動車の変速ギアなども用いられています。

実際に歯車減速装置を設計するときには、何枚の歯車をどのような位置関係で配置して、必要な回転速度や回転力を得るのかを考えます。 このとき、二枚の歯車だけで極端に大きな速度伝達比をとることは好まれず、大きくても7程度として、それ以上の比で減速したい場合には多段式にするのが一般的です。多段式の場合、平歯車を横に並べていくだけでは、装置が横長になり、軸の数も多く必要になるため、1本の軸に異なる歯数の歯車を取り付けるなどして、コンパクトな装置を設計します。 歯車減速装置では、常に同じ歯車同士がかみ合わないように、かみ合う歯車の歯数を互いに異なる素数にするという原則もあります。

執筆:宮城教育大学 教育学部 技術教育専攻 門田 和雄 准教授

『機械要素の基礎講座』の目次

第1章 歯車

第2章 ベルトとチェーン

第3章 ばね

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