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機械要素の基礎講座
多くの産業を支える機械の基礎として重要な「機械要素」。 歯車やベルト・チェーン、ばねなど多岐にわたります。本連載では、 それらの機械要素について、知っておくべき基本的な事項をご紹介していきます。
第2章 

2-1 ベルト・チェーンのはたらき

ベルトやチェーンは歯車と同様に回転運動を伝達する代表的な機械要素であり、巻き掛け伝動装置と総称されることもあります。 歯車のように回転する部品がそのまま接触して回転や力を伝動するのではなく、ベルトの場合にはプーリ、チェーンの場合にはスプロケットとよばれる回転する部品を介してはたらきます。 歯車の場合には、二軸間の距離が離れているような場合の伝動は難しくなるため、そのような場合にベルトやチェーンが用いられます。 ベルトの材料には古くは布皮製のものが用いられており、その後、合成ゴム製などより丈夫な材質のものが登場します。チェーンはレオナルド・ダ・ビンチのスケッチにも残されていますが、機械要素としては自転車の普及とともに進化してきました。

ベルトによる伝動はプーリとの間の接触面での摩擦力によって回転の伝動が行われるため、多少の滑りを避けることはできませんが、それが大きな問題にならない場面では幅広く用いられています。 また、ベルトの断面を台形にして摩擦を大きくしたり、断面を歯車の歯のような形状にしてすべりを軽減したものなども登場しています。 一方でチェーンはスプロケットと確実にかみ合って伝動するため、滑ることはありませんが、チェーンが外れたり、騒音・振動が問題になることなどがあります。

ベルトやチェーンには、回転を伝動するだけでなく、歯車と同様に二つのプーリの直径を変えることで、回転速度を変化させることもできます。 さらに歯車にない特長として、ベルトやチェーンはアタッチメントなどを取り付けることで、搬送にも用いることができます。工場などに設置されているベルトコンベアにもベルトやチェーンが用いられて、さまざまな部品や製品を運搬しています。 身近なところでは回転寿司のコンベアなどにもベルト伝動が応用されています。また、エスカレータは足を乗せるステップを階段状のチェーンで連結して利用しています。

機械要素としてのベルトやチェーンは、ねじや歯車と同様に規格化されており、使用する場合にはその中から選定して用います。 特にベルトは後から長さを継ぎ接ぎすることが基本的にはできないため、設計段階において使用する軸間距離などは確定しておく必要があります。

機械の運動の基本となる回転運動を伝達するという面では歯車と似ているものの、ベルトやチェーンを場面に応じて使い分けることで機械を効果的に動かすことができます。

  • ベルト
  • チェーン
執筆:宮城教育大学 教育学部 技術教育専攻 門田 和雄 准教授

『機械要素の基礎講座』の目次

第1章 歯車

第2章 ベルトとチェーン

第3章 ばね

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