機械要素の基礎講座
多くの産業を支える機械の基礎として重要な「機械要素」。 歯車やベルト・チェーン、ばねなど多岐にわたります。本連載では、 それらの機械要素について、知っておくべき基本的な事項をご紹介していきます。
第1章 歯車

2-3 ベルトの選定

ベルトの速度伝達比は歯車と同様に考えることができます。すなわち、駆動プーリと被動プーリの回転速度をそれぞれn1、n2[min-1]、 ピッチ円直径をd1、d2[mm]とすると、速度伝達比iは次式で表されます。ただし、歯付きベルトを使用しない限り、平ベルトやVベルトでは1〜2%の滑りを考慮する必要があります。

i=n1/n2=d2/d1

ベルトとプーリとの間の摩擦力を大きくして滑りを小さくするためには、小さいプーリの巻き掛け角θ1を大きいプーリの巻き掛け角θ2よりもできるだけ小さくします。 ここで、巻き掛け角θ1、θ2 は次式で表されます。ここでaは中心距離です。

また、ベルトの長さLは、近似的に次式で求められます。

ベルト伝動

なお、ベルト伝動ではベルトとプーリとの間に摩擦力を発生させるため、ベルトには適当な張力である初張力を与えます。ベルトの張力はプーリの上が緩み側、プーリの下が張り側になるように取り付けます。また、軸間距離が長い場合にはベルトが緩みやすくなるため、緩み側に張力を調整するアイドラを取り付けることがあります。

アイドラ

実際のベルト伝動の設計では、原動機の動力が与えられ、そこから速度伝達比の計算を行い、平ベルトやVベルト、歯付きベルトなどからベルトの種類を選定し、さらに中心距離を踏まえて、適切なベルトの長さや断面のものをプーリと合わせて選定します。 ベルトは一本でなく複数本とする場合もあり、その場合には複数の溝をもつプーリを選定します。

Vベルトの種類
種類 b h
M形 10 5.5
A形 12.5 9
B形 16.5 11
C形 22 14
D形 31.5 19
E形 38 24
歯付きベルトの種類
記号 種類
XL L H XH XXH
S[mm] 2.57 4.65 6.12 12.57 19.05
P[mm] 5.08 9.525 12.7 22.225 31.75
2β[°] 50 40 40 40 40
R1[mm] 0.38 0.51 1.02 1.57 2.29
R0[mm] 0.38 0.51 1.02 1.19 1.52
h[mm] 1.27 1.91 2.29 6.35 9.53
H[mm] 2.3 3.6 4.3 11.2 15.7
執筆:宮城教育大学 教育学部 技術教育専攻 門田 和雄 准教授

『機械要素の基礎講座』の目次

第1章 歯車

第2章 ベルトとチェーン

第3章 ばね

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