工具の通販モノタロウ > 機械要素の基礎講座 > 3-4圧縮コイルばねの特徴と種類
機械要素の基礎講座
多くの産業を支える機械の基礎として重要な「機械要素」。 歯車やベルト・チェーン、ばねなど多岐にわたります。本連載では、 それらの機械要素について、知っておくべき基本的な事項をご紹介していきます。
第3章 化学製品の基本

3-4 圧縮コイルばねの特徴と種類

圧縮コイルばねは、主として圧縮荷重を受けて弾性エネルギーを蓄えるコイルばねです。 線材の直径が幅広く、製作が容易であること、コンパクトでエネルギー吸収効率がよいなどの特長があるため、ボールペンなどの文具から、日用品、家電製品などはもちろん、自動車のエンジンのバルブやサスペンションなど、さまざまな場面で用いられています。

圧縮コイルばね

コイルばねの各部の寸法には、コイル部分の直径であるコイル径、線材の直径である線径、コイルの巻数である有効巻数などがあります。また、無荷重時のばねの高さを自由高さといいます。ばねに加える荷重とたわみの関係は、一次式の関係で表される線形が一般的ですが、あえて非線形にした形状もあります。

  • A:コイル径
  • B:線径
  • H:自由高さ(H1:圧縮時の高さ)
  • C:有効巻数(この図では10巻)

ばねに加える荷重とたわみの関係は線形が基本

円錐コイルばねは、コイル部分が円錐状のコイルばねです。このばねは圧縮されたときにコイル部分が干渉しないという特長があり、身近なところでは電池ボックスなどに用いられています。このばねは荷重とたわみの関係が非線形になるため、荷重が大きくなるほど、たわみの変化量が小さくなります。

円錐コイルばね


円錐コイルばねの荷重とたわみの関係は非線形

たる形コイルばねは、コイルの両端の直径が小さく、中央の直径が大きいたる形のコイルばねです。非線形ばねであり、両端のスペースを小さくしたい場合などに用いられます。 つづみ形コイルばねは、コイルの両端の直径が大きく、中央の直径が小さいつづみ形のコイルばねです。こちらも同じく非線形ばねであり、圧縮したときに中央付近での干渉を避けることができます。

  • たる形コイルばね
  • つづみ形コイルばね

不等ピッチばねは、一つの圧縮コイルばねの内部でピッチが大きい部分と小さい部分がある変わった形状のばねです。このような形状のばねに圧縮荷重がはたらくと、はじめはピッチの小さい部分が大きく収縮し、ピッチの大きな部分はあまり収縮しません。 さらに圧縮荷重が加わり、ピッチの小さい部分の収縮が終わると次にピッチの大きい部分の収縮が行われます。すなわち、二種類のピッチがある場合は、ばね定数が二段階になると考えられるため、はじめのうちは変形しやすく、次第に変形しにくい非線形のばねになります。

不等ピッチばね


ばね定数が二段階に変化する

また、コイルばねには断面が円形以外の形状をしたものもあります。長方形や正方形にした角ばねは小さな空間で大きなばね定数を得ることができ、卵形断面ばねは密着高さを低くすることができます。

圧縮コイルばねが最初に荷重を受けるのが座巻とよばれる両端部であり、この部分の形状は取り付けにも大きく影響するため、用途に応じて研削処理をしたいくつかの形状があります。

執筆:宮城教育大学 教育学部 技術教育専攻 門田 和雄 准教授

『機械要素の基礎講座』の目次

第1章 歯車

第2章 ベルトとチェーン

第3章 ばね

目次をもっと見る