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機械要素の基礎講座
多くの産業を支える機械の基礎として重要な「機械要素」。 歯車やベルト・チェーン、ばねなど多岐にわたります。本連載では、 それらの機械要素について、知っておくべき基本的な事項をご紹介していきます。
第3章 化学製品の基本

3-5 引張コイルばねの特徴と種類

引張コイルばねは、引張荷重を受けてはたらくコイルばねであり、圧縮コイルばねに次いで広く用いられています。圧縮コイルばねと異なる点としてまずあげられるのが、荷重を加える方向が逆であることです。そのため、引張コイルばねを引きばね、圧縮コイルばね押しばねと呼ぶこともあります。 また、圧縮コイルばねは圧縮して使用するため、コイル間に隙間がありましたが、引張コイルばねは引っ張って使用するため、この隙間が不要です。 一般的にはスペースを小さくするため、コイル間に隙間がない密着巻きで用いられます。圧縮コイルばねは圧縮すればすぐにばね作用が発生しましたが、圧縮コイルばねは荷重がある値を超えたところから所要のばね作用を発揮する初張力があります。この初張力はコイルを製造する段階で適切な大きさに管理しています。

引張コイルばね

引張コイルばねの各部の寸法には、圧縮コイルばねと同様に、コイル部分の直径であるコイル径、線材の直径である線径、コイルの巻数である有効巻数などがあります。圧縮コイルばねにはない大きな特徴として、両端にさまざまな形状のフックを有することがあげられます。 すべて丸い形状と思われるかもしれませんが、丸い形状でも用途に応じた微妙な違いがあり、また他の形状もあります。実際に使用する場合にはこのフックを介して最初に荷重が加わることになるため、その形状の選定はとても重要となります。

丸フックはコイル部の一巻を起こしてフックとした形状です。逆丸フックはコイル部の一巻をねじり起こしてフックとした形状であり、もっとも一般的なフック形状です。半丸フックはコイル部の半巻きを起こしてフックとしたものであり、自由長を短くしたい場合に用いられます。 角フックは端部を角形に加工したフックであり、平板に取り付ける場合に適しています。Uフックは端部U字形に加工した自由長さを自由に設計できるフックであり、長いフックが必要な場合に用いられます。Vフックは端部をV字形に加工したフックであり、取り付け相手とのガタつきを小さくしたい場合に用いられます。

フックを複雑な形状にすると物体の形状変化部で局所的に応力が増大する応力集中が生じ、成形時に折損などの問題が発生するため、できるだけ簡単な形状にします。また、フックをコイルの外径より大きくすると、へたりが生じやすいため、両者は同一にするのが望ましいとされます。

執筆: 日本化学会フェロー 田島 慶三

『機械要素の基礎講座』の目次

第1章 歯車

第2章 ベルトとチェーン

第3章 ばね

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