工具の通販モノタロウ > 機械要素の基礎講座 > 3-6ねじりコイルばねの特徴と種類
機械要素の基礎講座
多くの産業を支える機械の基礎として重要な「機械要素」。 歯車やベルト・チェーン、ばねなど多岐にわたります。本連載では、 それらの機械要素について、知っておくべき基本的な事項をご紹介していきます。
第3章 化学製品の基本

3-6 ねじりコイルばねの特徴と種類

ねじりコイルばねは、コイルの中心軸まわりにねじりモーメントを受けるコイルばねです。ばねに荷重が加わると曲げ応力を発生して回転し、荷重と回転角度の関係は一般的に線形で表されます。圧縮コイルばねと引張コイルばねが同一軸線上で作用するのに対して、ねじりコイルばねは回転運動をさせる箇所などに用いられます。

ねじりコイルばね

ねじりコイルばねの設計では、コイル内径や巻角度と巻き数、許容ねじり角度、そして腕の長さなどの寸法を規定することになります。また、ばねは一般的に巻き込む方向に負荷が加わるように使用します。コイルの巻き方には隙間をあけない密着巻きと隙間を設けるピッチ巻きがあります。 密着巻きはピッチ巻きよりも軸方向のばらつきが少なく、加工も容易ですが、コイル部が常に接触しており摩擦が大きくなるため、トルクの誤差が出やすいなどの特徴があります。

ねじりコイルばねを適切に作動させるためには多くの場合、内径の部分に案内棒を用います。この案内棒の断面積がコイルの断面積に近づきすぎるとばねの回転を妨げてしまうおそれがあるため、案内棒の直径はコイル内側の断面積の90%程度に選ぶのが一般的です。

ねじりコイルばねの形状は単純なものから複雑なものまでさまざまであり、用途に応じて使い分けます。代表的な形状としてあげられるのは、両端にいくらかの長い腕があるストレートであり、パソコンのCDドライブの開閉などに用いられています。 電源を入れなくてもボタンを押すことでCDドライブが開閉するものは、ねじりコイルばねの弾力エネルギーが放出されるはたらきによります。 適切なばね定数のばねを用いることで、適度な開閉速度を生み出すことができます。あの開閉動作をモータで行おうとすると、モータを配置するスペースが必要となり、電気を供給する必要もあるため、これを一個のねじりコイルばねで実現できるのは大きなメリットです。

実際のねじりコイルばねは、長い腕は単純なストレートではなく、取り付けやすくするためにさらに曲げ加工などを加えたものもあります。その代表的なものは、1段曲げ、2段曲げ、そしてフックをもつ形状です。また、ダブルトーションばねは、左右2つのねじりコイルばねが合体した形状をしたばねです。 大きなトルクで広い面にはたらくため、省スペース化に貢献します。

ダブルトーションばね

どのような腕の形状を設計、選定するのかは、そのばねがどのような形状の部品と接触してはたらくのかなどを検討して、慎重に決定します。

執筆: 日本化学会フェロー 田島 慶三

『機械要素の基礎講座』の目次

第1章 歯車

第2章 ベルトとチェーン

第3章 ばね

目次をもっと見る