工具の通販モノタロウ > 機械要素の基礎講座 > 3-7渦巻きばねの特徴と種類
機械要素の基礎講座
多くの産業を支える機械の基礎として重要な「機械要素」。 歯車やベルト・チェーン、ばねなど多岐にわたります。本連載では、 それらの機械要素について、知っておくべき基本的な事項をご紹介していきます。
第3章 

3-7 渦巻きばねの特徴と種類

渦巻きばねは平面内で渦巻形をしているばねであり、コイル同士が接触する接触型渦巻ばねとコイル同士が離れている非接触型渦巻ばねとがあります。いずれも、ばねに荷重を加えたときに元に戻ろうとして回転する力を生み出すものであり、種類に応じて回転角と荷重の関係などが異なるため、用途に合わせて選定します。

一般にぜんまいと呼ばれるものは、薄板状の材料を用いた渦巻きばねのことであり、接触型渦巻ばねに分類されます。ぜんまいはシンプルな構造でありながら、大きなエネルギーを蓄えられることができるため、簡単なおもちゃや時計、安全性が高く求められるシートベルトの巻き取り部などに幅広く用いられています。 薄板のコイルが接触しているため、摩擦によるエネルギーの損失はあるものの、トルクは安定します。巻き数が多いものにも対応できるため、回転数が多い用途に使用されます。

定荷重ばねは一定の曲率で密着巻きされた薄板であり、端部を直線状に引き伸ばして使用するばねです。伸びと荷重の関係は伸びの量によらずほぼ一定となるため、常に一定の力で引いたり戻したりできるという特長があります。規格品には戻る力である引張力が常に一定のものと回転力であるトルクが常に一定なものなどがあります。

  • 定荷重ばね

このばねは長いストロークを小さなスペースに収納でき、同じ力で巻き取ることができる特徴をいかして、スクリーンなど各種の昇降部に用いられます。また、定荷重ばねをモータと組み合わせることで、使用するモータを小型にできます。

コンベックスと呼ばれる工作用に使用される巻尺にも渦巻きばねの原理が用いられています。ここには薄い金属製で断面が湾曲したテープが用いられており、この湾曲部のはたらきによって測定するときには直線状になり、巻き取りも容易です。

コンベックス

非接触型渦巻ばねは、接触による摩擦の影響がないためエネルギーの損失がなく、角度とトルクが正確に比例します。巻き数が少ないため、回転数の少ない用途に使用されます。 機械式時計の心臓部にテンプとよばれる円形の金属を作動させている髪の毛よりも細い鋼製のコイルで作られたひげぜんまいは、非接触型渦巻ばねの一種です。ひげぜんまいは、時計以外でも計測機器など、小型で精密な動作が求められる箇所などで広く使用されています。

執筆: 宮城教育大学 教育学部 技術教育専攻 門田 和雄 准教授

『機械要素の基礎講座』の目次

第1章 歯車

第2章 ベルトとチェーン

第3章 ばね

目次をもっと見る