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機械要素の基礎講座
多くの産業を支える機械の基礎として重要な「機械要素」。 歯車やベルト・チェーン、ばねなど多岐にわたります。本連載では、 それらの機械要素について、知っておくべき基本的な事項をご紹介していきます。
第3章 

3-8 ばねに使用される材料

冷間成形によって製造されるばね用鋼線のうち、代表的なものは硬鋼線とピアノ線です。いずれの鋼線も、入口が太くて出口が細い円すい状の穴をもつダイスを通すことで直径を細くして長さを伸ばす伸線加工によって成形されます。 ここで適切な直径に製造された線材は、次にコイル状にする工程などへ送られて、各種のコイルばねが製造されるのです。

  • 硬鋼線
  • ピアノ線

硬鋼線は安全ピンやスイッチ類、イスやベッド、おもちゃ、自転車のサドルなどに幅広く用いられている一般的なばねです。JISには炭素含有量の違いによってSW-A、SW-B、SW-Cの三種類があり、線径の範囲である適用線径や線径ごとの引張強さなどが規定されています。 適用線径は、SW-Aが 0.08mm以上10.0mm以下、SW-BとSW-Cが0.08mm以上13.0mm以下です。引張強さは線径ごとに規定されており、たとえば線径1.00mmのSW-Cでは1960 〜2160N/mm2 です。 また、炭素量は一般的にそれぞれ0.40C、0.60C、0.80Cとされます。SW-Aは金網など強度がそれほど必要ないばね、SW-BとSW-Cの二種類は引張や圧縮による荷重が常に一定である静荷重用のばねとして用いられます。

ピアノ線は硬鋼線よりも強度が大きな線材であり、ピアノの弦からはじまり、現在では自動車、船舶、農機具などの各種ばねとして幅広く用いられています。炭素含有量が0.60〜0.95%であり、化学成分が均一で、不純物や非金属介在物が少ないことなど、硬鋼線よりも厳しく規定されています。 JISにはSWP-A、SWP-B、SWP-Vの三種類があり、適用線径や線径ごとの引張強さなどが規定されています。適用線径は、SWP-Aが 0.08mm以上10.0mm以下、SWP-Bが0.08mm以上7.00mm以下、SWP-Vが1.00以上6.00mm以下です。 引張強さは線径ごとに規定されており、たとえば線径1.00mmのSWP-Bでは2260 〜2450N/mm2 です。SWP-Vは、一分間で数千回もの動荷重がはたらくエンジンの弁(valve)など、強度や耐久性が求められる厳しい環境で用いられます。

オイルテンパー線は、冷間成形で所定の線径にした線を連続的に油中で焼入れ(Quenching)した後、焼戻し(tempering)を施して製造される高い強度をもつ線材です。ピアノ線以上の引張強さをもち、耐疲労性や耐熱性にも優れています。 そのため、自動車エンジンの弁ばね用線材はピアノ線からオイルテンパー線に移行しているほかクラッチやサスペンションなどのばねにも幅広く用いられています。

オイルテンパー線

執筆: 宮城教育大学 教育学部 技術教育専攻 門田 和雄 准教授

『機械要素の基礎講座』の目次

第1章 歯車

第2章 ベルトとチェーン

第3章 ばね

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