工具の通販モノタロウ > ねじの基礎講座 > 5-7転造によるねじの加工
ねじの基礎講座
私たちの身近にあって欠かせない存在、「ねじ」。
ねじにはどのようなはたらきや歴史があり、どんな種類があるのか。
本連載では、ねじに関するさまざまな事項をご紹介していきます。
第5章 ねじのつくり方

5-7 転造によるねじの加工

圧造を終えた段階では、ねじの頭部形状はできているものの、肝心のねじ山がまだできていません。 ねじ山を成形するためには、ねじ山が刻んである工具である転造ダイスの間に材料をはさんで転がします。 これを転造といい、小ねじから太いボルトまで幅広く用いられています。 転造は塑性加工の一種であるため、 切りくずを出さないことや加工時間が短いことなど、圧造と同様の特徴があります。なお、切削加工が元の線材よりもさな直径のねじを成形するのに対して、転造では線材を転がすことで膨らませるため、元の直径よりも大きな直径のねじを成形します。

転造ダイスにはいくつかの形状があります。小ねじの転造に多く用いられるのは、ダイスの加工面が平坦な平ダイスです。これを平ダイス転造盤に二枚取り付け、一枚を固定したところに、圧造を終えた工作物をはさみ、もう一枚の平ダイスを移動させることで、工作物を転がすことで、ねじ山を成形します。 平ダイスは往復運動を続けますので、一度セットすれば加工は自動的に進められるため、小ねじの場合では一分間に数十本程度の生産能力があります。

図1 平ダイス転造盤が並んだねじ工場

なお、転造を行う前の工作物は平ダイスの前に一列に並んでいますが、ここにも工夫があります。 圧造を終えた工作物は灯油などを利用して洗浄が行われた後、平ダイス転造盤の上部の容器に運ばれますが、この段階では工作物はバラバラの状態です。 これを平ダイスの手前でねじの頭部を上にして一列に並べるためには、工作物に微小の振動を与えながら容器をゆっくり回転させることで整列させるパーツフィーダと呼ばれる装置が活躍します。 いくら転造ダイスが素早く動いても材料の供給では加工時間がかかりますので、このような地味な供給装置は重要です。

図2 パーツフィーダ

ねじの呼び径が小ねじより太いねじの場合には平ダイスのほか、丸ダイスやセグメントダイスが用いられます。 丸ダイスは円筒状の部材の円周にねじ山があるダイスです。これを丸ダイス転造盤に二枚をセットして、同じ方向に同じ速度で回転させながら、 その間に工作物をはさんで転がすことでねじ山を成形します。 工作物のセットが一本ずつ手動であることが多いため、平ダイスと比較して生産能力は劣りますが、工作物に大きな力を加えることができます。 また、セグメントダイスは固定された丸ダイスのまわりにもう一枚の円盤状の丸ダイスを取り付けて、その間に工作物を転がしてねじ山を成形するものであり、 平ダイスや丸ダイスよりも高い生産能力があります。

(取材協力 松本産業)

図3 平ダイス転造

図4 丸ダイス転造

図5 セグメントダイス転造

執筆:宮城教育大学 教育学部 技術教育専攻 門田 和雄 准教授

『ねじの基礎講座』の目次

第1章 ねじのキホン

第2章 ねじの種類

第3章 ねじの強さ

第4章 ねじの材料

第5章 ねじの作り方

目次をもっと見る