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溶接の基礎講座
ものづくりにおける接合方法の1つに、「溶接」があります。
本連載では「溶接」について、金属が接合するメカニズムから溶接の種類、また溶接の仕方まで、現場で使える知識をご紹介していきます。
第2章 溶接方法と溶接材

2-6 TIG溶接における溶接棒の添加作業

1)溶接棒の添加作業

TIG溶接による開先内肉盛り溶接などでは、作業者は、熱源と切り離された溶接棒をプールに挿入して棒の先端部を溶融させ溶着金属を形成させます。 この操作でのポイントは、図6-11のように棒の溶融はアーク熱源でなくプールの保有熱で行うことで、この操作によりプールが熱を奪われ冷却されることです。

図6-1 TIG溶接での溶接棒の添加操作

図6-1 TIG溶接での溶接棒の添加操作

すなわち、棒の添加は、必要な溶け込みの得られる溶融池が形成できた時点で溶融池先端に溶接棒を接触させて行います。この時、溶融池の熱が溶接棒の溶融に使われます。 したがって、加熱時と棒添加による冷却が繰り返されることからパルス電流制御と同様の効果が得られるのです(こうした溶接は、熱が伝わりやすいアルミニウムの溶接などで特に有効となり、この効果を高めるため母材板厚に近い棒径の溶接棒を使用します)。

4)TIG溶接作業

(1)アークの発生
タングステン電極先端を母材表面から1.5 mm程度浮かせた状態でトーチを保持(この場合、図6-2 のようにガスノズル端を母材面に付けて行うと作業がやりやすいでしょう)、トーチスイッチを押しアークを発生させます。アーク発生後は図6-3のようにトーチを起こし、電極先端を母材面から少し離し、アークを短く保持して溶接開始位置を加熱します。

図6-2 アーク発生準備

図6-2 アーク発生準備

図6-3 アーク発生後のトーチ操作

図6-3 アーク発生後のトーチ操作

(2)プールの形成
溶接開始位置で両母材を均等に溶融させ、両母材にまたがるプールを形成させます(ルートにギャップのある場合でプールが形成できない場合は、溶接棒を添加して形成させます)。その後は、本溶接時のアーク長さに保持し必要な溶け込みの得られる大きさのプールを形成させます。

(3)トーチ保持角、アーク長さを一定にし、開始位置で形成させたプールの大きさを一定に保ちながら溶接を進めます(棒添加の場合は、プールを形成させ、上で述べた要領で棒添加の操作を繰り返します)。

(4)終端部でクレータ処理を行い、溶接を終了します。

2)溶接条件と各種姿勢での溶接

TIG溶接作業では、下向き、立向き、横向きといった溶接の姿勢により溶接条件や溶接状態が大きく変わるものではありません。図6-4に示す各姿勢での作業のポイントは、トーチ及び溶接棒の保持状態を一定に保つことです。 なお、いずれの姿勢においても、作業台面や足のひざ部分などをうまく利用し、溶接状態を一定にして溶接します。

  • (a) 下向き溶接の場合
  • (a) 下向き溶接の場合
  • (b) 立向き溶接の場合
  • (b) 立向き溶接の場合

  • (c) 横向き溶接の場合
  • (c) 横向き溶接の場合

図6-4 TIG溶接における各姿勢での作業状態



執筆: 溶接道場 安田 克彦

『溶接の基礎講座』の目次

第1章 溶接の基礎

第2章 溶接方法と溶接材料

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