AT(オートマチックトランスミッション)とは
ATの各機構について
ATはトルクコンバーター(副変速機)とプラネタリーギア式変速機または平行軸歯車式変速機、そして油圧制御機構で構成されています。
トルクコンバーターには、エンジンの回転の伝達やトルクを増大させる役割があるが、効率が悪いというデメリットもあります。そのため、ロックアップクラッチが併用され、トルクコンバーターの利用期間を短くすることがあります。
プラネタリーギア式変速機は、正式には「プラネタリーギア式副変速機」と言います。複数のプラネタリーギアを用いることによって、前進は3~5段で後退は1段のギア変速比を実現しています。 しかし現在では前進で9段のギア変速比を実現したものも存在し、プラネタリーギアは2から4組が使われています。プラネタリーギア式変速機、トルクコンバーターについて事項で詳しく解説していきます。
プラネタリーギアはヘルカルギア(歯をねじ状に斜めに付けた歯車)で構成されており、1組だけでも様々な変速を行うことが出来ます。プラネタリーギア式変速機は油圧の力で動いており、また、油圧を制御する油圧制御機構も備えられています。
プラネタリーギアを多段変速機として使用する場合、湿式多板クラッチ、ブレーキバンド、ワンウェイクラッチが使用されます。
トルクコンバーターはトランスミッション(変速機)の一種であり入力側と出力側の回転差によりトルクの増幅作用を発生させることによって非力なエンジンの低回転でも発進をスムーズに行えるようにする役割を持ちます。トルクコンバーターには必ず、ロックアップクラッチが併用されており、燃費の向上を目的としてその役割があります。 ロックアップクラッチは一定の条件下でマニュアル車の様にクラッチを繋ぎエンジンの動力を100%伝達しトルクコンバーターが作動していてもロックアップクラッチによってエンジンとミッションを直結します。現在では発進から加速の1速や2速でも積極的にロックアップを行っており、これを全段階ロックアップクラッチ(フレックスロックアップ機構)と呼びます。
トルク増幅を活用しているスタート時でもロックアップクラッチを半クラッチにするフレックスロックアップによって伝達効率を高め燃費効率に貢献しています。
ATF(オートマチックトランスミッションフルード)の点検
ATF(オートマチックトランスミッションフルード)には潤滑、冷却、防錆、作動など多くの役割があります。ATFは劣化の進みが遅いですが、車を長持ちさせるには定期的なメンテナンスが必要です。 ATFを交換することで、変速ショックの軽減や、レスポンスが向上することがあります。交換目安は走行距離約5万キロで、使用期間でいうと3年~5年程度でしょう。また、黒っぽい色に変色したり、焼けたような匂いがしてきたら劣化の印です。
ATFの交換方法
ATFを交換する方法は2つあります。1つはATFチェンジャーを使った交換です。ATFチェンジャーを使用すると全量交換することができます。チェンジャーは数千円から販売しており、ガソリンスタンドに置いてあることもあります。2つ目は、エンジンオイルのようにATの下部から排出する方法です。
ATFを交換した場合、今まで固着していた汚れが浮き上がり油圧計路を詰まらせることもありますので、次回の交換目安は5万キロ走行から7万キロ走行となります。