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成形加工の種類

金型を用いて金属板に圧力をかけ、その形状を変形させるのが成形加工です。成形加工には、形を変化させるだけでなく、強度を付与したり部品の取り付けに役立てたりとさまざまな目的と種類があります。ここでは、代表的なものとしてフランジ加工、バーリング、カーリングの3種類の内容を見ていきましょう。

フランジ加工

フランジ加工とは、板材の縁の部分を立ち上げるように折り曲げる加工を指します。フランジ加工を行う目的は、平板のままの状態よりも強度を向上させること、または部品の取付け面の形成の2つが主たるものです。その種類は以下のとおりとなります。

曲げフランジ

加工線が直線型となる最も基本的なフランジ加工です。その名の通り、ブランクの端部を単純に曲げるだけの加工であり、フランジ部に応力が働くことがないのでブランクは長方形のものを使用します。

縮みフランジ

加工線が凸型の弧を描くフランジ加工です。ブランクは端部が扇形に広がった形状のものを用い、加工に伴って扇部が圧縮を受けることから縮みフランジと呼びます。 この技法では、圧縮の力によってフランジ部にたるみやシワが発生しやすいため注意が必要です。これは、扇部の材料が圧縮に伴ってフランジ部の板厚を増加させるか、あるいはフランジ部を高くする働きによって起こります。

伸びフランジ

加工線が凹型の弧を描くフランジ成形です。縮みフランジとは逆向きの扇形を端部に持つブランクを使用し、加工時にフランジ部に引っ張り応力が働いて素材が引き伸ばされるため、伸びフランジと呼びます。 縮みフランジとは逆に、伸びフランジのフランジ部では板厚減少とフランジ高さの減少が起こるため、割れに注意が必要です。

複合フランジ

曲げフランジ、伸び・縮みフランジの3つの基本形を組み合わせて任意の形状にブランク端部を立ち上げる加工になります。それぞれの加工によって素材変化の作用がさまざまであり、フランジの高さを全体で一定に仕上げることが非常に難しいため、難易度の高い加工といえるでしょう。

バーリング

バーリングは、板材にあけた穴の縁を立ち上げ、縁につば(フランジ)を設ける加工であり、穴フランジとも呼ばれています。薄い板材にネジ穴加工が必要な際、板が薄すぎるとネジ山の加工部分が確保できません。その際に、ネジ穴の端にバーリングでフランジを作ることで、ネジ山を設ける余白を形成できます。また、面の強度向上や軸を通す穴の補強などにも活用される加工です。

バーリング

一般的なバーリングは、板材にあらかじめあいた穴の部分をパンチとダイで挟み込み、穴の周囲にフランジを立てる方法で行われます。パンチとダイのクリアランスをブランクの厚み分に取ったものを通常バーリングといい、バーリング先端部での板厚減少が見られるのが特徴です。また、クリアランスをブランク厚み70%程度に設定したものでは、フランジ部分の厚みを均一にしごくことができ、フランジの立ち上がりも大きくなります。

突っ切りバーリング

ブランクに下穴をあけないで、穴開けとバーリングを一度の加工で同時に行うものです。フランジの端部では、ブランクが切り裂かれたことによる尖った山がいくつかランダムに形成されます。タッピンねじの受け側穴として使用される加工です。

バーリングワッシャー

カーリング

カーリングは、素材の端部を丸くカールさせる加工のことを指します。カーリングの目的は、端部の強度を向上させること、および金属板材の端部を内側に隠すことによって、端部との接触による怪我や木材への擦り傷を防ぐことの2点です。 カーリングの加工においては、工具で圧をかけるとしばしば材料が直線に折れ曲がってしまい外観を損ねます。したがって、予備的な曲げを行って二段階で曲げることにより、素材のカールを補助することが多いです。

直線カール

直線カールは、直線の板材の端部に曲げ加工を行います。直線での加工であり幅方向の力が発生しないため、もっとも単純なカール加工といえるでしょう。

外巻きカール/内巻きカール

円筒形の縁に施すカーリング加工であり、円筒の外側にカールさせるものが外巻きカール、内側にカールさせるものが内巻きカールです。それぞれ、カール部に伸び応力と圧縮応力が働くため、割れやシワに注意します。

まとめ

上記のように、プレス加工では、フランジ加工、バーリング、カーリングなどの細かな成形技術が確立されているのです。ひとつひとつはとても小さな目立たない加工ですが、こういった微細な加工技術が製品の安全性や強度、美観を高めるために一役買っています。

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