キリスト教徒にとっては最も重要な時期である聖週間。この期間になされるべき儀式やしきたりを記したL’office de la Semaine Sainteを護る1688年の装丁を再現。実物の表紙をくまなく飾っているのは、ファンファール様式の文様。手作業による精巧な金箔押し細工が施された、17世紀の流行スタイル。製本職人に卓越した技能が求められることから、特に重要な本に限って用いられた。
金や銀を施した本デザインは、もともとはリチャード・アレストリーの『The Government of the Tongue (言葉の力) 』の製本のためにクイーンズ・バインダー「A」が手がけたものです。表紙全体に施された細やかな模様のバランスが素晴らしく、時代が生んだ輝く宝石だと言っても過言ではないでしょう。クイーンズ・バインダーとは、王政復古期のイギリスの小さな職人グループを指します。この「A」と呼ばれる業者の名前は知られていませんが、金箔を使った贈呈用の本の製本に対する高い評価は疑う余地がありません。