磨き工程で使用するコンパウンドやツール、
目的に合ったものがどれなのか
お困りではありませんか。
磨き工程用の商品は多種多様、作業にあったものを選びたいですね。
その基礎知識と工程、用途別・お困りごと別に適切な商品を紹介!ぜひ参考にしてください。
磨きの基礎知識
自動車の車体に傷を付けてしまった際に使用するカー用品として、プロ向けの磨きは
- ①コンパウンド
- ②バフ
- ③ポリッシャー
が合わさって1つのシステムになっています。
各メーカーによってコンセプトや特徴、内容物に合わせて、一気通貫のシステムとして販売されているので、できる限りメーカーを統一して使用することをお勧めします。
コンパウンド

小さな傷の補修や、補修塗装後の磨き仕上げにも使えます。目の粗さ・形状によって特徴が変わります。
- ウールバフ
- 主にブツ取りのコンパウンドと合わせて使用します。
- コットンバフ・タオルバフ
- 総じてウールバフと 比較してやや研磨力が劣り、仕上がりがよくなるように設計されています。
- スポンジバフ
- 仕上げ用・艶出し用コンパウンドと合わせて使用します。
バフ

コンパウンドを塗布し使用します。ポリッシャーのパッド径に合わせてサイズを選定し、コンパウンドの選定に応じて、また磨きの目的に合わせて選定する必要があります。
- 細目
- 目消し・肌調整用。ブツ取りの際についてしまう傷を除去する工程で使用します。1500番程度の傷を消すことができるものが主流です。
- 極細
- 仕上げ用。バフ傷を除去するために使用します。
- 液体
- 艶出し用。仕上げ作業後つや感を上げるため、もしくはオーロラマークを目立ちにくくする。
磨きの工程
磨きの工程は大きく4ステップに分けられます。
ぶつ取り

塗装中に付着した埃やごみを除去します。1500番〜2000番のブツ取り用のペーパーによる除去が一般的です。
目消し

ぶつ取りの作業によるペーパー目を除去します。目消し・肌調整用コンパウンドとウールバフによる作業が一般的です。また、磨き作業箇所と、作業していない箇所の肌を合わせるための磨き作業(肌調整)も行います。
仕上げ

目消し肌調整によって付いた目を除去します。仕上用コンパウンドとスポンジバフによる作業が一般的です。近年の磨き資材の発展により、塗装されている色(淡色系)によっては目が目立たないため、この作業自体を行う必要がありません。
オーロラ除去・
つや消し

磨き作業後、コンパウンドによる磨き跡として発現するオーロラマークはホログラムとも呼ばれています。仕上がり性を上げるためにこれを除去する必要があります。また、艶感が足りない場合には艶出し剤を用いて磨き作業を行います。
Topic メーカーを統一する
磨きでは、塗膜についた塗料不良の原因であるブツの除去から、コンパウンドによる磨き作業、オーロラ除去、艶出しまで、研磨目をコントロールすることが必要です。
各社それぞれ磨き関連の製品を販売していますが、そのコンセプトや特徴、内容物は様々なもので、それぞれの特性に合わせて、一気通貫のシステムとして販売されています。メーカーを合わせて使用し、設計上の相性が合っている製品で磨くことが第一です。
以下は3M製品を使用した一例です。
![]() |
![]() |
![]() |
![]() つや消し |
|
コンパウンド | ||||
バフ |
お困りごと別に商品を選ぶ
ブツ取りのペーパー傷が戻る

原因
- コンパウンドの成分が塗面に残ってしまい、傷を隠してしまう。
- 硬化不足、熱により塗面が膨張してしまい、傷を埋めてしまう。

対策方法
作業時
- 熱を確認しながら作業する。 熱を持ったら違う箇所へ移行する。
- 磨き工程で水研ぎを行う。 熱の発生を最小限に抑えられます。
商品の
選び方
- 仕上がり性の高いコンパウンドを採用する。 ひと世代の前のコンパウンドは研磨粒子が荒くなっている傾向があります。仕上がり性能の高い製品からチョイスを。
- ブツ取りの番手を見直す。 ひとつ高い番手や、より浅い研磨でのブツ取りを。
- バフを定期的に交換する。 ダマが取れなかったり、ちょっと深い傷が入ったりしたら見直しを。
おすすめ商品
バフ目が深く仕上げに時間がかかる

原因
- ウールバフに固まったコンパウンドがこびりついてしまっている。 ウールバフは砥粒やクリアのこびりつきが非常に起きやすく、それが原因で深傷が起こることがあります。凝集してこびりついた砥粒の大きさは30~40μmにのぼることもあり、これはP400のペーパー研磨材砥粒と同様の大きさです。(図参照)
- 深傷が入るコンパウンドを使っている。 キレを求めるあまり粒度の粗いコンパウンド用いると、かえってバフ目消しに時間がかかってしまいます。
- コンパウンド同士の相性が合っていない。 コンパウンド同士の相性が悪いとバフ目が消しきれなかったり、無駄なステップを踏んでしまったりと効率が落ちてしまいます。

対策方法
作業時
- 磨き作業終了後にメンテナンス・洗浄をする。
商品の
選び方
- バフを定期的に交換する。 ダマが取れなかったり、ちょっと深い傷が入ったりしたら見直しを。
- 研磨性能重視でなく、仕上がり性の高いコンパウンドを採用する。 ひと世代の前のコンパウンドはその世代の塗膜のために開発されているため、研磨粒子が荒くなっている傾向があります。仕上がり性能の高い製品を採用しましょう。
- コンパウンドのメーカーを統一する。 メーカーによる研磨性能や仕上がり性能に基づく資材を選定することが重要です。同一メーカー、同一シリーズで使用することで、研磨性能の乖離を防ぐことができます。
おすすめ商品
オーロラマーク※が消しきれない

原因
-
目消しで付いた傷を消しきれていない。
コンパウンド同士の相性が悪いと、バフ目がのこってしまうことがあります。
するとその後に細かいコンパウンドでいくら磨いても傷は消えず、オーロラは残ったままになりがちです。 - ポリッシャーの傷が均一に入っている(揃ったバフ目を荒らし切れていない)。 オーロラは揃ったバフ目が原因です。そのためいくら粒子の細かいコンパウンドを使用しても、シングルアクションでの完全除去はできません。艶出し剤でも一時的に抑制出来ますが、油膜が落ちると再びオーロラが現れてしまいます。
※オーロラマークとは・・・
磨き作業時につく揃った傷が一定方向に太陽光を反射する現象。ホログラムとも呼ばれる。

対策方法
作業時
- 早めの回転数で研磨する。
商品の
選び方
- 目消し性能の高いコンパウンド・バフを選定する。
- 研磨粒子の入った艶出し剤で、ギアアクション or ダブルアクションのポリッシャーを使用して磨く。
オーロラマークの消去方法
おすすめ商品
複雑なボディ形状で磨きにくい

原因
-
デザイン性の多様化が進み、ピラー、バンパーなど磨く箇所が狭くてバフやバックアップパッドのエッジで傷つけてしまう。
狭い箇所を磨く際に、ミニポリッシャー、バフのエッジや側面のループ材で傷つけてしまうリスクが大変多く存在します。
最近の車では、デザインがプレスラインやRの部分が多い為、Φ150等のポリッシャーでの作業だけではなかなか満たされません。特にシングルアクションポリッシャーの場合は、塗膜に傷をつける恐れが多くあります。

対策方法
作業時
- テクニックよりもツールの小型化が有効。
商品の
選び方
- 75ミリ径のポリッシャーなど、小径製品を採用する。
おすすめ商品
磨きに時間がかかる

原因
- コンパウンド+バフの工程を4回以上踏んでいる。 液剤を4回以上使用している場合などが該当します。

対策方法
作業時
- テクニックよりも商材の見直しが有効。
商品の
選び方
-
2回で収まるように商材選定を行う。
「最新のコンパウンドシステムを採用する」「目消し効果の良い磨き用研磨剤を採用する」といった対策が有効です。
目消し用研磨材で研磨目の管理を行うことで、仕上がりの高い状態からコンパウンド工程に入れます。
おすすめ商品
Topic 「耐スリ傷性クリアコート」に対する磨きソリューション
「耐スリ傷性クリアコート」とは
特別なメンテナンス不要で、すり傷による光沢低下を防止し、長期間にわたり新車購入時の色・つやの維持を行うことのできる高機能塗料です。
- 特徴
-
クリア塗料の材料である樹脂に、分子同士の結合を促進する特殊な分子を加えることで、複数の分子との結合をしやすく、従来にない緻密な分子構造を有します。
柔軟で弾性に富む特性になり、塗膜を破壊しにくく、光や酸に対する抵抗性とともに、変形回復性を向上しています。
トヨタの新耐スリ「セルフレストアリングコート」や、日産の「スクラッチシールド」は、自己修復性を持った特殊クリアにより、衝撃を受け流す柔軟性とゴムのような弾性を持つため、なかなか傷がつかず、小傷であれば修復します。 - 選ばれる理由
-
洗車傷やドアハンドル回りのつめ傷などのすり傷に対する自己修復性を持つため、プレミアムな塗料として、車格の高い車種に採用されてきました。
車両所有年数の伸びの一途を辿る昨今では、特にその採用車種が増えてきています。
“磨き難い”特性
その自己修復性により採用される機会が増えていますが、注意点として“磨き難い”という特性があります。

おすすめの作業方法
ここではきれいな磨きの仕上げを実現するために、おすすめの作業方法を紹介します。ぜひ参考にしてください。
- 熱を上げずに目を細かくする
-
商品によっては熱を上げずに目消しができるものもあります。
また、5000番相当の研磨傷まで目を細かくすれば、ポリッシャー作業の時間を大幅に短縮できるため後工程の発熱リスクも下がります。 - 工程ごとの研磨傷の差をできるだけ小さくする
-
非常に傷がつきにくいため、しっかりと目消し作業を行わないと、目残りや目戻りの原因につながります。
コンパウンドの前に3000番や5000番の超高番手研磨材で目消しを行うことが有効です。 - できるだけ深傷を入れない資材を使う
-
耐スリ傷性クリアコートに一度入った深傷を消すのは非常に困難です。
よってどの工程においても余計な深傷を入れないことが重要です。