モノタロウのSDGs豆知識

製造から廃棄まで環境に配慮

製品の製造から廃棄までの環境配慮とは、環境への負荷を最小限に抑えるための取り組みです。再生可能な資源や環境に優しい素材を使うだけでなく、製造時に使うエネルギーや使い終わった後の環境への影響、材料の調達方法など、さまざまな工程で環境について考える必要があります。

これは、SDGsの目標達成に不可欠な製品のライフサイクルで、より持続可能な製品を開発し運用することでもあるのです。対策としては、「エコマーク」や「グリーン購入法」などが代表的であり、これらの認証マークを理解することが、製造から廃棄までの環境の配慮につながります。

なぜ製造から廃棄まで環境に配慮する必要があるのか

なぜ製品のライフサイクルで、製造から廃棄まで環境に配慮しなければならないのでしょうか。製品の製造から廃棄まで使用時のエネルギーを減らしても、製造や廃棄時に環境を汚していたとすれば、環境にやさしいとはいえません。また、SDGsの目標達成に配慮した廃棄でなければ、持続可能な社会の実現を目指すことが難しくなるでしょう。そのことを踏まえて、製造から廃棄まで配慮する必要がある理由を紹介します。

地球温暖化の抑制に役立つから(SDGs目標11と13に貢献)

地球は二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスにより年々温暖化が進んでいます。SDGsの根幹である持続可能な開発を目指すためには、地球温暖化を止めることが不可欠です。そのためには、温室効果ガスの削減を避けることはできません。これは、SDGsの目標11の「住み続けられるまちづくりを」と目標13の「気候変動に具体的な対策を」に貢献します。

このことからも、製品の製造や使用、廃棄の過程で排出される温室効果ガスを削減することがいかに重要であるかが分かるのではないでしょうか。製品の製造から廃棄まで環境に配慮し、温室効果ガスを削減できれば地球温暖化を抑制し、気候変動の影響を緩和できます。

環境汚染の防止に役立つから(SDGs目標14と15に貢献)

製品を製造する段階や破棄の段階では、汚染物質が発生します。汚染物質の発生を防止することが重要であり、汚染物質が発生したとしても、環境汚染とならない状態まで汚染物質を取り除かなければなりません。そうすることで、生態系や人間への影響を軽減できます。

環境汚染は公害の原因となったり、地球の豊かさを破壊したりするため、防がなければなりません。この取り組みは、SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」と目標15「陸の豊かさも守ろう」に大きく貢献します。

社会的な責任(SDGs目標12に不可欠)

製品を製造するのは、そのほとんどが企業であり、経済活動によるものです。企業が製品を製造するかぎり、環境に配慮する義務が生じます。その義務を果たさなければ、企業として評価を得られないのが現状です。

また企業が、環境に配慮した製品やサービスを提供することで、社会的な責任を果たせるため、企業イメージの向上や顧客満足度の向上に繋げることができるかもしれません。しかし、使用から廃棄に至るまで、配慮することも求められているのです。これは、SDGs目標12「つくる責任、つかう責任」を果たすために不可欠な要素といえます。

「製造から廃棄まで環境に配慮」に関する認証マーク

製造から廃棄まで環境に配慮した製品などに関して、主な認証マークが2つあります。1つは「エコマーク」であり、もう1つは「グリーン購入法」です。ここでは、この2つのマークを紹介し、SDGsとの関連を解説します。

エコマークについて

エコマークは、日本で唯一のタイプI環境ラベルです。公益財団法人日本環境協会が運営しており、国際標準化機構のISO14020(環境ラベルおよび宣言・一般原則など)やISO14024(タイプⅠ環境ラベル表示など)に則っています。

この制度そのものは、「自主的で、多様な基準に基づいた第三者の機関によって、ラベルの使用が認められる制度」です。ライフサイクル全体で、環境負荷が少ないと認められた製品などの目印でもあります。次のような環境に配慮した製品などが認定対象です。

  • 資源循環への配慮(再生材料を使用した製品など)
  • 地球温暖化への配慮(省エネルギー機器や温室効果ガスを発生しない機器など)
  • 健康や環境への配慮(化学物質が制限されたりコントロールされたりしている製品など)
  • 生物多様性の保全への配慮(生分解性の高い製品など)
  • 水への配慮(便器や給水栓、節水器具など)
  • 気汚染への配慮(インキや塗料など)

このマークが付いた製品は、付いていない製品と比較して環境への負担が少なかったり、その製品を使うことで環境への負担を減らせたりできることがメリットです。エコマーク製品を購入することで環境保全に貢献できます。

参考:公益財団法人日本環境協会 エコマークについて

エコマークとSDGsの目標

SDGs17の目標のなかで、エコマークと関係性が深いものは、目標12の「つくる責任、つかう責任」です。エコマークは、持続可能な製造と消費のために、ライフサイクル全体を考慮したうえで、商品のカテゴリーごとに環境負荷低減に資する認定基準を策定し、審査の上、認定することで、環境配慮型商品の開発や製造の促進に貢献しています。これは、国や地方公共団体、民間企業や消費者に対しての環境配慮の指針にもなります。

また、目標13の「気候変動に具体的な対策を」にもエコマークは不可欠です。エコマークでは、製品のライフサイクルを通じて、温室効果ガスの排出削減に寄与する製品を認定し、普及に取り組んでいます。気候変動対策は、エコマークの重要な柱のひとつです。

エコマークは、目標17の「パートナーシップで目標を達成しよう」にも貢献しています。エコマーク事務局は、世界各国に持続可能な公共調達が広がるように、支援活動に積極的な活動を展開中です。そのために、環境省や国連環境計画、世界エコラベリング・ネットワークと協力しています。

グリーン購入法について

グリーン購入法(グリーン購入法(国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律)とは、国等の公的機関が環境に配慮した物品、サービスを調達することによって、需要側の取組から市場を環境物品等に転換し、持続可能な社会を構築することをねらいとした法律です。2001年4月から施行され、国等の機関にグリーン購入を義務づけるとともに、地方公共団体や事業者・国民にもグリーン購入に努めることを求めています。幅広い主体が、それぞれの立場から、グリーン購入を進めていくことが期待されています。

グリーン購入法とSDGsの目標

2019年6月に発表されたレポートで、日本が目標12の「つくる責任 つかう責任」の達成度が低いことが分かっており、国や地方公共団体をはじめ、事業者や国民もグリーン購入に努めることで、SDGsの目標達成に近づけます。

普及のためにできることとは?

製造から廃棄までの環境配慮のために何ができるでしょうか。ここでは、購入者と製造者や販売者に分けてできることを紹介します。

製造から廃棄までの環境配慮のために購入者ができること

製造から廃棄まで環境に配慮した製品を選ぶことは、購入者が環境負荷を減らすための有効な手段です。具体的には、前述したエコマークを参考にしたり、グリーン購入法に基づいた製品を選んだりすることで、資源の有効利用や廃棄物の削減に貢献できます。

製造から廃棄までの環境配慮のために製造者や販売者ができること

製造から廃棄まで環境に配慮した製品開発を行うには、ライフサイクル全体(LCA)の観点から環境負荷を評価し、環境配慮設計を検討することが重要です。具体的には、製品の設計段階で材料選定や製造プロセスに配慮し、廃棄・リサイクルも考慮した循環型製品ライフサイクルの実現を目指します。