接地工法の種類

「接地(アース)」とは、電気回路を大地と接続して火災や感電を未然に防ぐ方法です。接地のメカニズムや工事方法、工法についてご紹介します。

接地工事とは

接地工事は、感電、漏電による火災事故、異常電流の発生による機器へのダメージなどを防止したり、機器の正常な動作環境を確保したりする重要な工事です。まず、接地とはどのようなものでしょうか。

接地とは、非常に安定した電位を持つ大地と回路を接続することにより、回路の電位を安定させることです。その目的から強電用と弱電用の2種類に大別することができます。 まず、感電や火災を防止する保安上の目的で建築や電気などの設備に使用するものは強電用接地です。一方、電磁波やノイズの影響で生じる誤作動を防ぎ、機械の正常な動作環境を守るために設置するものは弱電用接地と呼びます。

接地工事の種類

設置工事は、A種からD種までの4つの種別に分類されます。以下に4種類の概要をまとめてみましょう。

A種

A種は、高圧用・特別高圧用の機器の外箱または鉄台に設置するものです。

接地抵抗値は10Ω以下であり、接地線はΦ2.6mm以上のものを使用します。高圧電流を安全に地面に逃がすために、低抵抗かつ太い接地極を敷設することが重要です。

高圧発電機や電動機の鉄台、配電用変電器の外箱、高圧電路の開閉器・遮断機・避電器・避雷針など、使用されるシーンは少なくありません。 高圧電流を使用するこれらの環境においては、ほんのわずかな漏電も作業者や周囲の人に感電すれば致命傷につながるため大変危険です。確実に接地を行うことで、重大な事故のリスクを格段に減らすことができます。

B種

B種は、高圧・特別高圧の電路と低圧の電路を接合したい時、低圧側の電圧が高圧側の影響を受けて上昇してしまうことを防ぐため、変圧器の中性点に施す接地です。低圧側が300ボルト以下で中性点に接地を設けることができない場合は、その一端子に設置します。

接地抵抗値は、150/1線地絡電流Ω以下を目安とし、接地線はΦ4mm以上のものを使用します。

C種

C種は、300Vを超えた低圧用の機器における外箱や鉄台に使用する接地です。

接地抵抗値10Ω以下、接地線Φ1.6mm以上の条件下で敷設を行います。多くの場合、400Vの電動機やファンなどに接続して使用されますが、重大な感電事故を招く危険性を持つ水中照明などにも使うことができる工事方法です。

従来、水道管などの金属部を利用して敷設を行う例が多かったものの、近年ではポリエチレン製の給水管などを使用して大地から回路が絶縁されている場合も増えてきました。この場合、単独で接地局を埋設する必要があるので、C種による接地工事が活用できます。

D種

D種は、300V以下の低圧用の機器の外箱や鉄台に使用する接地工事です。接地抵抗値は100Ω以下でよく、Φ1.6mm以上の接地線を用いて接地を施します。

D種は、洗濯機や電気温水器など湿気の多い箇所で使用する家電、自動販売機などの屋外環境で使用する電気機器に使用する工法です。また、工作機器・溶接機・エアコンなど200Vの電気機器にも適合します。

接地工法の種類(単独、連結)

接地工法には、単独打込工法と連結打込工法の2種類があります。ここでは、2つの違いを見てみましょう。

単独打込工法

単式接地棒を埋設する工法です。地盤が岩盤である箇所、地中埋設物を傷つける恐れのある箇所など、接地棒の連結が困難である場合に使用します。また、D種の設置工事にも使用することができますが、この場合は丈が短くより安価なD種用の接地棒を使うことも少なくありません。

連結打込工法

打込み工具を使用して連結式接地棒を埋設する工法で、0.75m以上の地下にリード端子と連結用端子を打込みます。連結することで長い接地棒が得られるので、求める抵抗値を獲得できることが特徴です。

単独打込工法と連結打込工法は、いずれも接地極同士の間隔は打込みの深さの2倍以上に設定することで、抵抗値を効果的に低下させることができます。接地工事をする環境に応じて打ち込みの深さを調節しましょう。

接地工法の種類

まとめ

接地は、電気回路における重大な事故や故障を未然に防ぐことができる重要な方法です。接地をする条件に合わせた正しい接地工法を選択することで、電気回路および災害に対する安全確保に努めて下さい。

『空調・電設資材/電気材料』に関連するカテゴリ