【ハイレゾ音源対応】ヘッドホンアンプ DAC付(ブラック) UD-503-B
フルバランス/パラレルアンバランス・ヘッドホンアンプ搭載。DSD11.2MHz 対応 デュアルモノーラルUSB DAC/ヘッドホンアンプ。
・DSD 11.2MHz、PCM 384kHz/32bit対応の旭化成エレクトロニクス製DAC AK4490を2基搭載
・電源部から出_段まで左右の回路の独立を徹底したデュアルモノーラル構成
・パワーアンプやアクティブスピーカーとのシステム構築に最適なプリアンプ回路搭載
・アナログソースとの組み合わせも可能なアナログRCA入力1系統搭載
・フルバランス駆動に加えパラレル・アンバランス、アクティブ・グラウンド駆動対応のヘッドホンアンプ
・音楽のダイナミズムを伝える独自の電流伝送強化型出力バッファー回路『TEAC-HCLD 回路』搭載
・最大DSD 12.2MHz/PCM 384kHz までのアップコンバート機能
・256ステップで設定可能な4回路構成の高精度ボリューム『TEAC-QVCS』採用
・2系統の高精度内部クロックに加え、10MHz の外部クロック入力にも対応
本機のメイン機能であるUSB-DACの音を聴いてみよう。ライン出力を固定に切り替え、ハイエンド機器で揃えた試聴室のリファレンスシステムで聴く。同一条件でつないだUD-501と比べながら紹介する。再生ソフトはAudirvanaPlusを使用した。
結論から先に紹介しよう。UD-503の再生音は、UD-501の長所でもある粒立ちの良さや解像感の高さに加えて、一音一音の密度が上がって力強さを増したことが大きな特徴だ。
さらに、特にバランス接続ではサウンド全体の重心が下がって、低音が力強さを増すことにも注目したい。ジャズはベースの実在感が向上、オーケストラはコントラバスなど低音楽器の支えが厚く、どちらもスケールがひとまわり大きくなったような印象を受ける。
また、声など中音域にも密度の高さがそなわる。たとえばソプラノのネトレプコが歌うヴェルディのアリアは、高い音が細身にならず、濃密な強い声が聴き手を圧倒。エミリー・バーカーのヴォーカルも高音が痩せず、伸びやかさを失わない。子音が強調気味にならず、発音は素直でナチュラルだ。
本体がコンパクトなので少し意外に感じるが、アキュフェーズのC-3850とP-4200、モニターオーディオのGOLD300を組み合わせたシステムで聴いても、音に十分な厚みがあり、本格システムならではのスケール感が伝わってくる。ここまで骨太の音を引き出せるのであれば、単体D/Aコンバーターとしてハイエンドシステムに組み込んでもなんら違和感はない。実際にそうした用途を想定しているかどうかわからないが、パソコンの音源から骨格のしっかりしたサウンドを引き出したいなら、UD-503は有力な候補になる。
次にアナログ出力を可変出力に切り替えて、本機のプリアンプ機能に焦点を合わせることにしよう。本機のアナログ出力をP-4200に直結し、大出力パワーアンプをダイレクトにドライブするという、かなり大胆な組み合わせだ。
プリアンプとしての性能を見極めるには、S/Nとセパレーションに注目するのが早道だ。その点、本機は期待以上の性能を獲得しており、特にセパレーションの高さはかなり水準が高い。ハイレゾ音源の息を呑むような静寂感をリアルに再現することから、S/Nについても実用上はまず不満のないレベルを確保していることがわかる。たんなる付加機能ではなく、シビアな音楽ファンの要求にも応えられる実力の持ち主と言ってよさそうだ。
文:山之内 正
※AV/オーディオ/ガジェット情報サイト「PHILE WEB」所収記事を短くまとめたものです。