防じんマスクの選択、使用等についての概要
全体的な留意事項
事業者は、作業場ごとに防じんマスクを管理する保護具着用管理責任者を指名し、必要な指導を行わせるとともに、保守管理に当たらせること。
事業者は、作業に適した防じんマスクを選択し、着用する労働者に対し、取扱説明書、ガイドブック、パンフレット等に基づき、適正な装着方法、使用方法及び顔面と面体との密着性の確認方法について十分な教育や訓練をすること。
防じんマスクの選択に当たっての留意事項
面体及びろ過材ごとに型式検定合格品であることを確認し、粉じん等の種類及び作業内容に応じ、防じんマスクの規格第1条第3項に定める性能を有するもの(取替え式防じんマスクの場合はRS1、RS2、RS3、RL1、RL2及びRL3に、使い捨て式防じんマスクにあってはDS1、DS2、DS3、DL1、DL2及びDL3に区分するもの)であること。
性能が記載されている取扱説明書などを参考に、それぞれの作業に適した防じんマスクを選ぶこと。
- 作業環境中の粉じん等の発生状況やばく露の危険性の程度等を考慮して、適切な区分の防じんマスクを選ぶこと。高濃度ばく露のおそれのあるときは、できるだけ粉じん捕集効率の高く、かつ、排気弁の動的漏れ率の低いものを選ぶこと。
- マスクの面体の高い密着性が要求される有害性の高い物質を扱う作業の場合は、取替え式防じんマスクを選ぶこと。
ろ過材を有効に使用することのできる時間は、作業環境中の粉じん等の種類、粒径、発散状況及び濃度に影響を受けるため、これらの要因を考慮して選択すること。吸気抵抗上昇値が高いものほど目詰まりが早く、より短時間で息苦しくなることから、有効に使用することのできる時間は短くなること。また、防じんマスクは一般に粉じん等を捕集するに従って吸気抵抗が高くなるが、RS1、RS2、RS3、DS1、DS2又はDS3の防じんマスクでは、オイルミスト等が堆積した場合に吸気抵抗が変化せずに急激に粒子捕集効率が低下するもの、また、RL1、RL2、RL3、DL1、DL2又はDL3の防じんマスクでも多量のオイルミスト等の堆積により粒子捕集効率が低下するものがあるので、吸気抵抗の上昇のみを使用限度の判断基準にしないこと。
防じんマスクの顔面への密着性の確認
- 粒子捕集効率の高い防じんマスクであっても、着用者の顔面と防じんマスクの面体との密着が十分でなく漏れがあると、粉じんの吸入を防ぐ効果が低下するため、以下の方法又はこれと同等以上の方法により密着性の良否を確認させること。作業時と同じように保護具類を正しく装着した状態で確認を行う。
- 取替え式防じんマスクの場合陰圧法/陽圧法
- 使い捨て式防じんマスクの場合取扱説明書に記載の漏れ率のデータにより着用者に合ったものを選ぶこと。
防じんマスクの使用に当たっての留意事項
防じんマスクは酸素濃度18%未満の場所、また、有害なガスが存在する場所では使用してはならない。
防じんマスクを着用する前には、その都度、着用者に点検を行わせること。また、予備の防じんマスク、ろ過材を用意していること。
顔面と面体の接顔部の位置、しめひもの位置及び締め方等を適切にさせること。しめひもは、耳にかけるず後頭部において固定させること。
着用後、空気の漏れ込みがないことをフィットチェッカー等を用いて確認させること。
次のような防じんマスクの着用は、粉じん等の漏れこみのおそれがあるため行わせないこと。
- タオル等を当てた上から防じんマスクを使用すること。
- 接顔部に「接顔メリヤス」等を使用すること。ただし、防じんマスクの着用により皮膚に湿しん等を起こすおそれのある場合で、かつ、密着性が良好である時はこの限りではないこと。
- 着用者のひげ、もみあげ、前髪等が接顔部に入り込んだり、排気弁の作動を妨害するような状態で使用すること。
防じんマスクの使用中に息苦しさを感じた場合には、ろ過材を交換すること。なお、使い捨て式防じんマスクの場合、マスクに表示される使用限度時間内であっても、息苦しさを感じたり、著しい型くずれを生じた場合には廃棄すること。
防じんマスクの保守管理上の留意事項
予備の防じんマスク、ろ過材その他交換部品を常時備え付け、適時交換して使用できるようにすること。
使用後は粉じん等や湿気の少ない場所で、各部品の破損、き裂、変形等の状況及びろ過材の固定不良、破損等の状況を点検し、次の方法により手入れを行うこと。取扱説明書等に特別な手入れ方法が記載されている場合は、その方法に従うこと。
- ひ素、クロム等の有害性が高い粉じん等に対して使用したろ過材については、1回使用ごとに廃棄すること。
- 水洗が可能な旨の記載のあるもの以外のろ過材は水洗いしてはならないこと。
- 取扱説明書等に記載されている防じんマスクの性能は、ろ過材が新品の場合のものであり、一度使用したろ過材を手入れして再使用(水洗して再使用することを含む。)する場合は、新品時より粒子捕集効率が低下していないこと及び吸気抵抗が上昇していないことを確認して使用すること。
次のいずれかの場合は、防じんマスクの部品を交換、又は防じんマスクを廃棄すること。
- ろ過材については破損した場合、穴があいた場合又は著しい変形を生じた場合
- 吸気弁、面体、排気弁等については破損、き烈若しくは著しい変形を生じた場合又は粘着性が認められた場合
- しめひもについて、破損した場合又は弾性が失われ、伸縮不良の状態が認められた場合
- 使い捨て式防じんマスクについては、使用限度時間に達した場合又は使用限度時間以内であっても、作業に支障をきたすような息苦しさを感じたり、著しい型くずれを生じた場合
点検後、直射日光の当たらない、湿気の少ない清潔な場所に専用の保管場所を設け、管理状況が容易に確認できるようにすること。保管に当たっては、積み重ね、折り曲げ等による破損等の異常を生じないようにすること。
使用済みのろ過材及び使い捨て式防じんマスクは、付着した粉じん等が再飛散しないように容器又は袋に詰めた状態で廃棄すること。
製造者等が留意する事項
防じんマスクの販売に際し、事業者等に対し、防じんマスクの選択、使用等に関する情報の提供及びその具体的な指導をすること。
防じんマスクの選択、使用等について、不適切な状態を把握した場合には、これを是正するように、事業者等に対し、指導すること。