フリーボールベアリングの特長

フリーボールベアリングの特徴
ローラーコンベアでも同じですが、フリーボールベアリングを使うことで搬送物を移動する時の摩擦が減ります。何もない平らな状態であれば「滑り摩擦」が発生しますが、フリーボールベアリングを使用することで「転がり摩擦」に変わります。この「転がり摩擦」は「滑り摩擦」に比べるとはるかに小さいため、搬送物を運び始める時に大きな力は必要なく、また動き始めるとその慣性でなかなか止まらなくなるので注意が必要です。
また、フリーボールベアリングには許容加重があります。この許容加重とはSS400(一般構造用の鉄鋼材)相当の剛体を搬送物に使った時に、始動摩擦抵抗(µ)が3/100以下を維持できるフリーボールベアリング単体にかけられる最大の荷重のことで、搬送物の形状や重量により偏荷重が起こることもあります。すべてのフリーボールベアリングにかかる荷重を許容荷重以下にしていくことが前提となります。
フリーボールベアリングの構造
フリーボールベアリングは上向きと下向きがあります。まず上向き用のフリーボールベアリングは、ボール受けという窪みに小さいボールが入り、その上に大きなボールを乗せボールを動かすようになります。この大きなボールの上に搬送物を乗せ、ボールが動くことで搬送物が動きます。上向きのフリーボールベアリングには搬送物を直接乗せることになりますが、フリーボールベアリングごとに許容加重があります。許容加重以上の搬送物を載せたりすると故障の原因になりますのでよく確認する必要があります。

また、下向きのフリーボールベアリングは下向き用のボール受けを取り付けることで小さなボールが循環するようになっており、その下に大きなボールが入ります。

さらに、フリーボールベアリングにはプレス成形品と切削加工品があります。プレス成形品はボール受けがプレス成形されている製品です。プレス成形のボール受けは金属版に凹凸それぞれの金型で圧力をかけ加工して成形されているため、ボール受けの湾曲した部分の厚さが薄くなっているのが特徴です。
一方、切削加工品のボール受けは材料を刃物で削って加工するため、プレス成形よりも手間がかかりますがボール受けの湾曲した部分が厚くなります。そのため、切削加工品のボール受けの方がプレス成形品のボール受けよりも許容加重が大きくなります。
また、フリーボールベアリングの高さには公差があり、取り付けテーブルや搬送物の面が必ず平面とも限りません。そのため、全てのフリーボールベアリングに均等に加重がかかることはなく、ある部分のフリーボールベアリングに偏荷重がかかることになり、その1点には許容加重以上の負荷がかかる可能性があります。このため、プレス成形品のフリーボールベアリングには許容加重の1/2以下、切削加工品のフリーボールベアリングには許容加重の2/3以下になるように取り付けピッチを決めるようにしましょう。ただし、スプリングタイプのフリーボールベアリングは偏荷重のフリーボールベアリングが押し下げられることで、多くのフリーボールベアリングが接触するように考慮されていることから、通常のフリーボールベアリングより加重の差が少なくなります。