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テレビアンテナの分配器・分波器・分岐器の違い

テレビを見るためにアンテナで受信した電波信号を分ける機器として、「分配器」「分波器」「分岐器」が挙げられます。名称や目的は似ていますが各種の役割は大きく異なるため、間違って使用するとテレビが映らなくなるかもしれません。それぞれの違いを確認し、状況と用途に応じて適切な機器を選定しましょう。

分配器とは

分配器の役割は「等しく全てに電波を分ける」ことです。アンテナで受信した電波信号は、UHF(地上デジタル)やBS・CSといった複数の周波数の信号が混ざり合っています。この混合された信号を、アンテナ線を使ってそのまま複数のテレビに均等に配分するのが分配器です。 これにより、1台のアンテナで複数台のテレビを見ることができるようになります。たとえば家の中でリビングの壁にしかテレビ端子がなくても、テレビ端子にアンテナ線で分配器を繋ぎ、そこから複数の出力を行うことで複数の部屋で同じようにテレビを見ることができます。 「2分配器」は出力の分配数が2つ、「4分配器」は4つという意味です。ただ、分配することで電波信号は弱くなってしまうので注意しましょう。大量に分配する場合ほど分配損失が大きくなるため、映りが悪くなってしまうことがあります。その場合はブースターを利用して電波を増幅しましょう。

また、分配器には「全端子電通タイプ」と「1端子電通タイプ」という2種類があります。これは「衛星チューナー(テレビ側)からアンテナあるいは屋根上に設置した電源分離型ブースターに送られる電気」において、電流を通す出力端子の数を表しています。

  • ●全端子電通タイプ…どの端子からでも電力供給できる
  • ●1端子電通タイプ…特定の端子からのみ電力供給できる

【出典:日本アンテナ】

BS放送を見るためには、アンテナに対してテレビ側から電力を供給してあげなくてはなりません。基本的にはテレビの電源を入れたりBS放送を選んだりした時に給電されるようになっていますが、その出力端子が1つだけなのか、それとも全ての端子から給電できるのかによってBS放送を見る条件が異なります。 たとえばAとBという2台のテレビを利用する際、全端子電通タイプならどちらからでも電気が供給されるためAもBも自由に見ることができます。しかし1端子電通タイプだと、Aのみから電気の供給がされる場合、Aの電源がオフになっているとBは放送を見ることができません。(ただしマンションの共同アンテナの場合は仕組みが異なります)

分波器とは

分波器の役割は「電波の種類別に分ける」ことです。アンテナが受信した電波信号は様々な電波が入り混じっていますが、これを分波器が周波数ごとに「VHF」「UHF」(地デジ放送)と、「BS」「CS」(衛星放送)の2つに分けて出力します。

通常、一般的なテレビは放送を見るための入力端子が「地デジ」「衛星放送」の2つに分かれています。しかし1本のアンテナ線に全ての電波がまとまっている場合、そのままでは端子に接続することができません。そこで分波器を使用し、テレビの端子に合わせて電波を分けることで放送を見ることができるようになります。

他の部屋のテレビ端子から分配器を使って伸ばしたアンテナ線に分波器を接続し、テレビに繋ぐということも可能です。

分岐器とは

分岐器の役割は「電波の一部だけを分岐させる」ことです。分配器が電波を等しく分配することに対し、分岐器は幹線から一部だけ電波を小分けします。当然分岐端子は出力レベルが小さくなり、出力端子と分岐端子では9:1程度になることも。 幹から少しずつ小さな枝に分かれているようなイメージです。分岐数によって「1分岐器」「2分岐器」「4分岐器」などがあります。

分岐させることで、アンテナからテレビまでのケーブルが長い場合、距離による信号損失の差をなくすことができます。アンテナから近い場所は電波が強く、遠い場所は電波が弱いということがなくなり、全ての場所で等しいレベルの電波を得られます。

そのため、分岐器は一般家庭ではなくマンションや集合住宅、ケーブルテレビで各家庭に分配するような時に使用されます。分岐器も分岐の数が多いと電波が弱まってしまうので、その場合もブースターを利用すると良いでしょう。

まとめ

それぞれ似ているようで役割が全く違うということをおわかりいただけたでしょうか。安定して快適にテレビ放送を映すために、電波を分ける目的や用途、規模や環境に合わせて適切な機器を選択してください。

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