バイトの名称と型番
バイトとは
バイトは和製英語であり、その名称の由来は英語のbit(刃)や 、オランダ語やドイツ語のbeitel(のみ)などから来ていると言われています。
工具においてバイトが意味するものは、旋盤やボール盤などによる切削加工に用いられる工具です。
工作機械に取り付けて使用し、取り付ける工作機械(旋盤、フライス盤、ボール盤など)や加工の種類(外丸削り、面削り、ねじ切り)によって大きく形状が異なります。 また、同様の形状であっても加工する材料の材質によって使用するバイトの種類が変わります。用途に適切ではないバイトを使用すると材料の切削面の品質が低下したり、切削時の熱によるバイトの損傷などが発生するため注意が必要です。
バイトは道具の柄という意味のシャンク部分と刃の部分で構成されています。刃の部分には主切れ刃や副切れ刃など箇所によって呼び方を細かく分けられます。
バイトの素材と性質
バイトは、その作業特性上、被削材より硬く、耐摩耗性があり摩擦による温度上昇でも硬さが低下しないことが要求されます。
そのため、高速度工具鋼(ハイス)や超硬合金、サーメット(硬質化合物の粉末を金属の結合材と混合して焼結した合金)、セラミック、CBN(窒化ホウ素)、ダイヤモンド焼結体などが使用されます。
バイトの型番・名称と使用箇所
バイトの種類の代表的なものを以下に記載します。
- 15型横仕上げ剣バイト
- 32型31型斜剣バイト
- 13型外ネジ切りバイト
- 34型33型片刃バイト
- 35型真剣バイト
- 21型突切りバイト
- 36型先丸剣バイト
- 38型37型すみバイト
- 40型39型先丸すみバイト
- 20型平バイト
- 42型41型向いバイト
- 43型突切りバイト
- 20型穴繰バイト
表示・型式 | ツカミ能力 | ジャコブス | D1 | D2 | L1 | L2 | 質量(g) | チャックハンドル | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
テーパ | 型番 | ||||||||
3MG | -JT0 | 0.3~3.0 | JT.NO.0 | 21 | 15 | 34.5 | 28 | 45 | JH-4 |
4MG | -JT0 | 0.3~4.0 | |||||||
D5MG | -JTD | 0.5~5.0 | JT.NO.D | 27 | 18 | 41 | 32 | 80 | JH-D5 |
5MG | 0 | JT.NO.1 | 32 | 22 | 49.5 | 40 | 145 | JH-5 | |
6.5ELMG | 0 | 0.5~6.5 | |||||||
6.5MG | 0 | 37 | 26 | 54.5 | 43 | 220 | JH-6.5 | ||
J8MG | 0 | 0.8~8.0 | 56.5 | 45 | |||||
M8MG | -MT1S | MT.NO.1S | |||||||
10ELMG | -JT2S | 0.8~10 | JT.NO.2S | 61 | 51 | 225 | |||
10MG | -JT2S | 45 | 31 | 69 | 55 | 390 | JH-10 | ||
13ELMG | 0 | 1.2~13 | JT.NO.6 | 33 | 77.5 | 64 | 415 | JH-10 | |
13MG | 0 | 52.5 | 38 | 87 | 68 | 685 | JH-13 | ||
14MG | 0 | 1.2~14 | JT.NO.3 | 60 | 44 | 96 | 73 | 980 | JH-14 |
16MG | 0 | 3.0~16 | |||||||
19MG | 0 | 3.0~19 | JT.NO.4 | 72.5 | 54 | 124.5 | 95 | 1,840 | JH-19 |
バイトを取り付けるチャック作業
バイトを取り付けるチャックには3種類あり、
- 三爪スクロールチャック
- 四ツ爪単動チャック
- 面板
と分けられます。
三爪スクロールチャックは端面に120°間隔で3つの爪があります。締付けねじを回すと3つの爪が同時に半径方向に移動する構造になっており、丸棒、六角材を簡単に固定することができます。
デメリットとしては、1つのねじで3つの爪に作用するため、締付け力が分散される点です。また、3つの爪のうち1つが変形したり、摩耗した場合、全ての爪に対し誤差が出てしまうため、主軸の回転中心と工作物の軸心がずれる可能性があります。 そのため、あまり精度を必要としていない工作物や、一度のチャックで作業が終了するような工作物に対して使用されることが多いです。
四ツ爪単動チャックは、角材の削りだしに使用され、円筒や異形物の加工、重切削などに用いられています。
四ツ爪単動チャックはチャック端面に4つの爪が90°間隔に配置されています。
円周部にある締付けねじは、それぞれの爪に対応し、回すとその爪だけが半径方向に移動できます。
三爪スクロールチャックと違い、軸の回転中心と工作物の軸の中心の微調整が可能で、4つの爪がそれぞれ移動できる構造になっています。
最後に面板は、異形物を部分的に旋削する時に使用します。使用する際は補助具を用います。