業務用掃除機の種類と集じん方式
業務用掃除機の種類
業務用掃除機を使用する場面は、細かい粒子のゴミが多い現場から水に濡れている現場など多岐にわたります。それぞれに最適な種類の掃除機があるため、用途に応じて選択しましょう。
- ●乾式
乾いた場所専用の掃除機です。家庭用に比べてタンク容量が多く、オフィスや店舗、ホテルの客室、倉庫、工場などの広い場所に向いています。吸引力が強く、カーペットや絨毯にも対応。製品によって特徴が異なり、コンクリート粉や切り粉、研磨時に発生する粉じんなど、微粉じんの吸引に適したタイプもあります。
- ●湿式
液体専用の掃除機です。掃除による汚水や洗浄液、床にこぼれた液体などをパワフルに吸引できるため、床の水切り清掃などに向いています。ただし製品によっては洗剤による泡の吸引は故障の原因となることもあるので、消泡剤を併用しましょう。
- ●乾湿両用
一般的な乾いたゴミ、液体の両方に使用できるタイプです。水に濡れることの多い厨房周りや工場・倉庫の一般清掃、機械の清掃時の汚水吸引などに役立ちます。製品によって吸引量や吸引力が異なるため、目的に応じて選びましょう。油や切り粉などの細かい金属を吸引できるタイプもあります。
- ●万能型
その名の通り、あらゆるゴミを吸引できるハイパワーな掃除機です。一般的な乾燥ゴミや液体はもちろん、乾湿両用掃除機では難しい油や切削子などの粉じんも吸引できます。工場や厨房、工事現場などの清掃だけでなく、落ち葉や小石なども吸引できるため屋外の清掃も可能です。
- ●充電式
充電して使用するタイプの掃除機です。コードレスの製品が多く、持ち歩いて使用できるため、車の内装や屋外の清掃に向いています。一般的に軽量で取り扱いが容易なので、細かい部分の清掃やこまめに掃除を行いたい時などにも役立ちます。
吸い込み仕事率
業務用掃除機を選定する上で、忘れずにチェックしておきたいのが「吸込仕事率」です。これは「掃除機の吸引率を示す目安となる数字」のことで、JIS規格によって計算方法が定められています。単位はワット(W)。数値が大きくなるほど「吸引力が強い掃除機」ということになります。
規定されている吸込仕事率の測定方法は以下の通りです。
- 吸込仕事率(W)=0.01666×真空度(Pa)×風量(m3)/min)
- ※真空度…ゴミを浮き上がらせるのに必要な力
- ※風量…浮き上がらせたゴミを運ぶのに必要な力
- 吸込仕事率は、ほとんどの掃除機に最大値として表示されています。ノズルの使用や清掃場所の環境などによって左右されることもありますが、選定の参考にしましょう。
集じん方式
吸い込んだゴミを回収する集じん方式は、大きく分けて4タイプあります。それぞれ適したゴミや捨て方が異なるので、掃除機の形式だけでなく集じん方式にも注目して選びましょう。それぞれの特徴やメリット・デメリットをご紹介します。
掃除機にセットした紙パックに吸引したホコリを空気ごと集めるタイプです。紙パックがフィルターの役割も兼ねており、空気はそのまま排気されます。乾式や充電式などに主に採用されています。
- メリット
- 紙パックごとゴミとしてそのまま捨てられるので簡単、ゴミを見なくて済む
- フィルターが必要ないのでお手入れの手間が少ない
- 掃除機内の密閉性が高く、吸引力が強い
- デメリット
- 紙パックのランニングコストがかかる
- フィルターとしては粗いため、排気に臭いや微細塵が残る
- 紙パックにゴミが溜まると吸引力が低下する
吸引したゴミを濾すための布製のフィルターが付属されています(布袋や布パックとも呼ばれます)。ゴミだけを捨てるためフィルター自体は連続使用が可能。乾式をはじめ、湿式用のフィルターを使用する湿式や乾湿両用、万能型などに採用されています。ただし乾湿両用や万能型の場合は、乾燥ゴミと液体でフィルターの交換・取り外しが必要です。
- メリット
- フィルターを買い替える必要がないため低コスト
- 紙パックよりも微細なゴミをキャッチできる
- デメリット
- フィルター掃除の手間がかかる
掃除機本体の内部(カプセル部分)にゴミを集めるタイプです。ゴミを捨てる時は本体を捻って開閉し、ゴミだけを取り出すため、小型である充電式などに主に採用されています。紙パック式よりも容量が多い点が特徴です。
- メリット
- 容量が多いためゴミ捨ての回数が少ない
- ランニングコストがかからず低コスト
- デメリット
- ゴミを捨てる際に散らばる可能性がある
- 時々フィルター部の掃除が必要
吸引した空気を竜巻のように回転させ、遠心力でゴミと空気のみに分離させるタイプです。そのままゴミはダストカップに、空気はフィルターを通した上で排気されます。乾式に主に採用されています。
- メリット
- ランニングコストがかからず低コスト
- 排気がクリーンで臭いが少ない
- 排気用の経路を確保してあるため、吸引力が落ちにくい
- デメリット
- ゴミ捨ての回数が比較的多い
- ゴミを捨てる際に粉塵が舞いやすい
- 時々フィルター部の掃除が必要
パワーがあり様々なゴミを吸引できる業務用掃除機は、現場に必要不可欠なものです。形式・種類や吸込仕事率、集じん方式を確認し、現場に合ったもの、使用者にとって使い勝手の良いものを選びましょう。