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研磨材の種類と選び方

製品の製造過程における研磨加工は、金属や木材の表面を削り、小さな凹凸をなくし、なめらかで光沢のある状態に仕上げることを指します。この作業で使用されるアイテムが研磨材で、目的によっていくつかの種類が存在します。
今回は、仕上げに欠かせない研磨材の種類と正しい選び方について説明します。

研磨材とは

研磨材とは

研磨材とは

研磨材とは、モノの表面を削って磨くときに使用する粒子のことを指します。また、粒子の含まれた溶液なども含めて研磨材ということもあります。

研磨加工はディスクグラインダーやサンダーなどを用いて電動工具で行う場合と、研磨シートやヤスリを用いて人の手で行う場合の2つのパターンがありますので、以下で説明していきます。

 

研磨材の種類と選び方

研磨材は使用目的や加工状況に応じて番手を交換することで、幅広い対応が可能です。対処したい加工物に適した形状の研磨材を選び、あとは番手を微調整することで作業の効率を高めることができます。

一般的に、研磨加工を行うには対象物と同等以上の硬度が必要です。また、研磨材に含まれている粒の大きさによっても加工スピードが違ってくるのです。

粒度・番手から選ぶ

研磨材や砥石などには対象物を研磨するための砥粒(とりゅう)が入っており、研磨材の粒度は砥粒の大きさのことを指します。

粒度は数字で表され、数字が大きいほど細かい粒であることを示しています。つまり、粒度0のものよりも粒度100の方が細かいつぶになります。また、この粒度のことを番手(ばんて)とも呼び、#400のように#(シャープ)をつけて表すこともあります。

粒度の大きさは最終的な仕上がりの粗さに直接関わってくるため、粒度や番手を適切に選ぶことが重要です。例えば、最終的な仕上がりを粒度4000にしたいと思ったら、それより小さい粒度・番手のものでいくら磨いても4000の粗さにはならないので注意しましょう。

粗さ 粒度 主な用途
粗目 #40~
#100
荒材のサンディング
塗装(ペンキ)をはがす研磨作業
材料の荒加工
中目 #120~
#240
荒材を塗装する場合のサンディング
凸凹としたサビやコゲの研磨
細目 #280~
#800
塗装前の下地調整(#280~#400)
塗り重ねする際の下地調整(#400~)
極細目 #1000~ 仕上がりを重視する水研ぎ
金属・樹脂・石の研磨
塗り重ねする際の下地調整
金属汚れ・薄いサビ

 

形状から選ぶ

研磨シート

研磨シート

サンドペーパーや紙ヤスリともよばれていて、一般家庭におけるホビーや日曜大工などでも広く利用されています。普通の紙でできたものから、耐水性のもの、布で作られたものなどバリエーションが豊富にあり、番手も細かくわけられています。一般的に研磨ペーパーは消耗品で、紙に接着された研磨材が目詰まりしたり剥がれたりした時点で新しいものと交換する必要があります。


ヤスリ

ヤスリ

主に表面の加工や寸法、艶出しなどに使用される研磨材のことです。用途は幅広く、鉄や銅などの金属や木材、プラスチックなどに使用。種類としてはダイアモンド加工・鉄工・木工ヤスリなどが多く、一般に使用される紙ヤスリなどもあります。


固形研磨剤

固形研磨剤

砥粒などが含まれた固形の工具で、対象物を削ることで加工、仕上げを行います。基本的に固形研磨剤は、対象物を削ることで加工するため、高い硬度を持つ砥粒が使用されます。一般的には、ダイヤモンド、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、立方晶窒化ホウ素といった原料が使用されています。

固形研磨剤に関しては、こちらで詳しく説明されています。


ベルト研磨

ベルト研磨

研磨ペーパーなどを帯状に接続し、ベルト状に装着して回転させながら使用する研磨材です。研磨ベルトを重ね合わせるラップジョイント、裏当てなどで結合部分を補強するバットジョイントなどがありますが、どちらも継ぎ目による不具合が起きる可能性があり、その部分に砥粒加工が施されていないものも多く存在します。

つなぎ目のないエンドレス研磨ベルトもありますが、通常は研磨ベルトとは別カテゴリーに分類されます。


研磨ディスク

研磨ディスク

サンダーやグラインダーなどに装着して使用する円盤状の研磨材です。対象に対して垂直に当てることで角の作業も行いやすいディスクホイール(垂直植えタイプ)やソフトな加工に適したマルチディスク、局面が作業しやすい三面ディスクなどがありますから用途に応じて選ぶことができます。


ホルダー装着タイプ(バンド)

ホルダー装着タイプ(バンド)

研磨ドラムを装着して使用します。筒状の研磨ドラムが高速で回転することで接触面を研磨します。構造物の内側やアールの付いた対象などに対して作業が捗ります。

 

手研磨における研磨材の選び方

人の手で行う場合の研磨材の種類と選び方について一つずつ解説していきます。

用途で選ぶ

大きく分けて、錆落としや木工の研磨など粗い目を削ることと、細かな修正をすることの2種類があります。

粗い目を削る

粗い目を削るのに向いている研磨材は研磨シートやヤスリ、ドレッサー、固形研磨剤などです。研磨シートは金属塗装面のサビ取り、木工生地の研磨などに使われます。ヤスリは用途が幅広く、鉄や銅などの金属や木材、プラスチックなどに使用できます。ドレッサーは手動タイプ・機械に設置するタイプと様々ですが、先端や使用面にはダイヤモンドが使われることが多く、その硬い部分で研磨することができます。固形研磨剤はステンレス、アルミニウム、クロームメッキの中仕上げ用に使用することが多くなっています。

細かな修正をする

細かな修正をし、仕上げをするのに向いている研磨材はスチールウールや砥石、ハンドラッパーなどです。スチールウールは特殊鋼を約0.025mmに細く削ってウール状に加工したパッドで、手触りがソフトで自由な形になり、サビや汚れを落とし均一に磨き上げることができます。砥石は包丁やハサミなど刃物を研ぐことに使われるのが一般的です。ハンドラッパーは歯ブラシのような形で、砥石が先の方についてる、研磨による修正で使われる工具のひとつです。

 

適合材から選ぶ

主な3つの材料とそれぞれに合う研磨材をご紹介します。

木工

一般的にも一番イメージしやすいのがこの木工の研磨ではないでしょうか。昔に学校などで やったことのある方も多いかもしれません。木工に向いている研磨材は研磨シートやヤスリです。耐久性に優れ、比較的軽い力で研磨を行うことができます。

鉄を研磨するのに適切なのはヤスリです。鉄は金属のため、表面をより繊細に研磨する必要があります。鉄はダイヤモンドでの研磨との相性が悪いため、機械に設置されたドレッサーなどでの研磨は不向きと言えます。

ステンレス

身近なステンレス製のものといえば台所のシンクなどがあげられます。ステンレスの研磨に向いているものは固形研磨材や液体状の研磨材です。その中でも粒度や研磨の程度によってベルトコンベヤーのように流し込むのか、バフにつけて磨き上げるかが変わってくるので、 用途に合わせて選ぶようにしましょう。

 

電動工具使用における研磨材の選び方

サンダーやグラインダなどの電動工具を使用し、研磨対象物に応じた研磨材や研磨液を使用することで、スピーディーに平滑な研磨面を得ることができます。

ディスクタイプやロールタイプ、シートタイプ、ホイールタイプなどがあり、研磨機や研磨物、研磨工程に合った物を使用します。バリ取り、クリーニング、被膜剥離、仕上げ、つや出しなど、あらゆる工程を効率的に行うことが可能です。

材質から選ぶ

アルミナタイプ

アルミナタイプ

酸化アルミナが主成分の高硬度研磨用の材質です。適応力が高くもっとも広く流通している研磨材のひとつです。各種金属、木工に適しています。


ジルコニアタイプ

ジルコニアタイプ

模造ダイヤともよばれるジルコニアを主成分としています。鋭く尖った構造をしておりステンレスや硬度の高い金属の研磨にも利用されます。


セラミックタイプ

セラミックタイプ

耐衝撃、耐摩擦性に特化した研磨材です。切削力が高く、ステンレス、チタン、ニッケルなど幅広い鋼材に対応できます。


シリコンカーバイドタイプ

シリコンカーバイドタイプ

別名カーボランダムタイプ。ダイヤモンドの次に高い硬度を持つ研磨材で耐熱衝撃性にも強く、デリケートな作業でも力を発揮します。ガラスや石材など対象物が欠損しやすい場合に用いられることが多いです。

 

まとめ

それぞれの研磨材には得手不得手があるため正しい研磨材を選択する必要があります。また、作業の効率を考えるなら形状と番手の正しい組み合わせを考慮し、仕上げたい最終的な研磨具合に合わせて、もっとも適した番手を選ぶことが大切になってきます。

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