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プレス加工の種類

金属の板材の成形において、高精度・低コスト・短時間での大量生産が可能なのがプレス加工です。非常に優れたこの工法は、産業界のさまざまな部分で活用されています。また、プレス加工では、せん断をはじめとして多種多様な加工が可能です。

プレス加工の種類

プレス加工で実現できる加工法にはどのようなものがあるのでしょうか。

プレス加工でできる加工法は、「切る」「形を作る」「組み立てる」の3種類に大別することができます。それぞれの詳細は後述しますが、プレス加工では単独の加工で製品が仕上がることはまれで、複数種類の加工を同時または連続的に組み合わせて一つの製品を形作ることが多いです。製品の完成形を想像して金型を設計するときにあたっては、各加工の要素や特徴をよく頭に入れておくことで加工可能性の幅が広がるでしょう。

せん断加工

せん断加工はプレス加工においてよく使用される工法で、素材を「切る」ことを目的とします。

せん断加工とは、素材となる金属の板材をダイ(下の金型)に乗せ、上からパンチ(上の金型)を用いて素材の破壊限以上の力で圧することで、素材を任意の形に切り取ったり打ち抜いたりする加工です。代表的なものに、単純に素材を切断する「せん断」、必要な形を抜き出す「打ち抜き」、穴あけ、切断、切り欠きなどがあります。せん断加工は切り口面の精密性の違いによって、普通せん断と精密せん断に分類することが可能です。

曲げ加工

曲げ加工では材料の片側に引張力、片側に圧縮力を発生させ、素材を折り曲げたり凹凸を形成したり膨らませたりします。

曲げ加工は、素材となる金属の板材に対し、金型に沿って強い圧をかけて、板材の片側を圧縮し、もう片側を延ばすことで折り曲げるという技法です。

素材を単純に曲げる「折り曲げ加工」では、素材を横から見た曲げの形状は、V字、L字、U字、Z字などがあり、そのほかにも、筒型など丸く曲線を描いた形に曲げる「カーリング」、容器の形に成形する「へら絞り」、素材を容器型に膨らませる「張り出し」、穴形状の周りにツバを設ける「バーリング」などもあります。

絞り加工

絞り加工とは、平板の素材にお椀状の凹凸を作る加工です。

絞り加工は、底のある容器状の形状を形成するのに適しています。平板を容器状にする「絞り加工」を中心とし、容器の厚みを薄くのばす「しごき」などを併用するのが一般的です。鍋や台所シンク、エンジンのヘッドカバーなどは、平板の板材から絞り加工によって入れ物状の形に形成されています。

圧縮加工

圧縮加工は、その名の通り素材に圧力をかけて圧縮する加工です。

圧縮加工の技法には、厚みを一定に保ち製品形状を整える「寸法決め」、素材を型に通して寸法形状を決める「押出」などがあります。また、断面を大きく加工する「据え込み」、円形の板材の直径を小さくする「すくめ」なども圧縮加工の一種です。

接合加工

接合加工は、ボルトや接着剤などを使って部品を接合する加工です。

「シーミング」、「フランジ接合」、「かしめ接合」、「圧入接合」などが接合加工の代表的な技法として挙げられます。例えば、ボルトや継手を使った技法は組み立てや解体が簡単、接着剤を使う技法は異なる材料でも接合できる点がメリットです。

圧印とエンボスの違い

素材に凹凸のある模様をつける工法を圧印、またはエンボスといいます。圧印はすなわち「コイニング」ともいい、その名の通りコイン(硬貨)のように表裏でそれぞれ異なった模様の金型で挟み込んで圧し、表裏別々の模様を持つ製品とする加工です。それに対してエンボスは、表裏の金型が凸凹関係となっており、表の模様が裏側に浮きだしたような形状となるため「浮き出し加工」とも呼びます。

金型設計の考え方

プレス加工には多種多様な技法がありますが、目的の形状の製品を実現するために金型を設計するとき、これらの技法をどのように組み合わせて設計すべきでしょうか。

プレス加工の各技法は、製品を形作るためのひとつひとつの要素ととらえましょう。多くの場合、一度のプレスで製品を成形することは困難なので、複数台のプレス機を連続的・複合的に活用して目的形状に形成することになります。しかし、工程の要素が多くなればなるほど、機械は大型化するためコストの増大は避けられません。そのため、いかに小規模・少工程で目的形状を実現するかが金型設計のキモとなるのです。

まとめ

プレス加工には、せん断・曲げ・絞り・圧縮・接合など、さまざまな技法があります。各技法の概要をよく理解し、技法を組み合わせることで、大~中型製品から小型製品まで驚くほど多種多様な形状の製品を実現することが可能です。