倍力装置の役割

倍力装置を徹底解説!

倍力装置はブレーキをかける際に、とても大切な役割を果たしています。 倍力装置がなければ、高回転で動いているタイヤを止めることは難しく、人間の力だけで高回転の車を止めることになります。安全のためにも倍力装置の点検は怠らないように定期的に確認してください。今回はその倍力装置の基本的な説明からメンテナンスの方法さらには、真空式ブレーキブースターとはどのようなものなのかまでを解説します。

倍力装置とは何か

倍力装置は、ブレーキブースター、ブレーキサーボやブレーキアシスターとも呼ばれ、ブレーキペダルとマスターシリンダーの間に設置され、ペダルを踏む力を補助し、小さな踏力で大きな制動力を発生させます。

現在は多くの車で倍力装置が採用されており、中でも真空式と呼ばれる方式が採用されています。他にも、圧縮式、空気式、油圧式などもあります。

倍力装置の内部は負圧(大気圧より低い圧力のこと)で満たされており、大気圧との差を使い、ブレーキペダルを踏む力を補助しています。

気圧が低いのは、エンジンのピストン運動によって外気が吸入されることで大気圧と負圧との間に差が生じます。エンジンの負圧を使ってブレーキペダルを踏む力を補助しているため、エンジンを停止すると倍力作用はなくなります。

倍力装置のチェック1

倍力装置のチェックは簡単です。まず、エンジンをかける前のブレーキペダルのチェックを行います。ブレーキペダルを何度か踏み込み、毎回同じ位置に踏み込めるか確認します。エンジンをかける前の状態で異常が見られなければ、次にエンジン始動時のブレーキペダルの確認を行います。

ブレーキペダルを強く踏み込んだ状態で、エンジンを始動します。エンジン始動時と同時にブレーキペダルが緩み、更に奥まで踏み込めるようになるかを確認してください。奥まで踏み込めるようであれば倍力装置は正常に動いています。

最後に、エンジン停止後の挙動に関しても確認しましょう。ブレーキペダルを強く踏み込んだままでエンジンを停止し、約30秒間ブレーキペダルの高さが変わらないか確認します。また、エンジンを停止した直後に何度かブレーキペダルを踏んだり戻したりし、踏み込める位置がだんだん浅くなっていくかを確認してください。

倍力装置のチェック2

更に詳しく確認する場合は、倍力装置を実際に目視と点検によって確認していきます。倍力装置はエンジンルーム内にあり、形状は薄い円形の形のパーツで大抵黒色をしており、マスターシリンダーとエンジンルームの壁側の間にあることが多いのが特徴です。

確認の手順ですが、まずエンジンと倍力装置を繋ぐホースを外してみてエンジンを掛けた状態から、負圧が正常に送られているかを確認してください。

次に、ホースの点検を行います。ホースは、エンジンから吸入負圧を導いているので、ホースから空気漏れがないかチェックします。ホース自体に亀裂など破損がないかも確認してください。

負圧ホースはホースバンドで固定されているため、プライヤーやドライバーなどを用いてホースバンドを移動させます。ホースバンドを移動させるとホースを抜くことができますので、エンジンを始動させ、ホースの口に指先を当てた際、指が吸い付けられるか確認しましょう。 吸い付けられれば正常に倍力装置は動いています。もし、倍力装置に異常がある場合は専門家に相談してください。

現在では倍力装置でなく、アンチロックブレーキシステムユニット(ABSユニット)を使ってブレーキの補助を行っている車種もあります。そういった車種は倍力装置の点検は必要ありません。マスターシリンダーとエンジンルームの壁側の間に黒い円形のパーツがなければ、ABSユニットを利用していることになります。

電動式真空ブレーキブースターとは

電動式真空ブレーキブースターとは、モーター駆動の電動バキュームポンプで負圧を発生させている倍力装置です。ディーゼルエンジン車やハイブリッド車などで利用されています。 ディーゼルエンジン車は、真空式ブレーキブースターが使用されていますが、吸入負圧を使えないため、電動式真空ブレーキブースターを利用しています。ハイブリッド車についても吸入負圧を利用することができません。