タイヤの構造

車以外でも、自転車やキャリーバックなど、世の中にタイヤはたくさんあります。しかし車のタイヤは、高速走行に耐えたり、凍結した道を走ったり、様々な負担に耐えれるように作られています。 ここでは、車のタイヤの構造を基礎から詳しく解説してまいります。タイヤの構造を把握すれば、場面にあった最適なタイヤを判断出来る様になり、またタイヤの異常も発見しやすくなります。

タイヤの構造概要

タイヤは全体がゴムでできているように見えますが、8層からなっており、表面から、トレッド、サイドウォール、ショルダー、ビード、カーカスコード、スチールベルト、オーバーレイヤー、インナーライナーから構成されています。

タイヤの成形には加硫成型という硫黄を生ゴムに加え加熱しながら成形する方法をとります。硫黄を加えることで、ゴムの弾力を高めることが出来ます。 タイヤに使用されるゴムはトレッドには耐久性の高いゴムを使用し、サイドウォール部分には屈曲性と耐疲労性の高いゴムが用いられます。ビード部分には密着性を高めるため、強度のあるゴムを使用し、補強にビードワイヤーが入っています。

タイヤは、車の部品の中で唯一路面と接地しています。タイヤと路面の摩擦によって、駆動力、制動力、コーナリングフォースを得ることが出来ます。この摩擦力のことを、グリップやグリップ力と呼びます。 グリップ力の高いタイヤコンパウンドでは摩耗しやすく、燃費悪化します。グリップ重視のスポーツタイヤや乗り心地重視のコンフォートタイヤ、または燃費のよいエコノミータイヤなど性格のある様々なタイヤが存在します。すべての平均をとったものはスタンダードタイヤといいます。一般的に多く使用されています。

タイヤの構造

タイヤ構造の分類

それでは、各部の役割や構造をみていきましょう。

タイヤには「カーカスコード」と呼ばれる、タイヤの骨格になる強度部材があります。カーカスコードは繊維の方向によって、ラジアルタイヤとバイアスタイヤに分けることが出来ます。ラジアルタイヤは、繊維の方向がタイヤの中心から放射状になっており、その層でも一定です。 バイアスタイヤは乗用車にはほとんど採用されませんが、繊維の方向を斜めに交互に交わるように重ねています。

ラジアルタイヤの特徴は、トレッドの変形が少なく、操縦性や走行安定性、燃費に優れ発熱や摩耗が少ないことです。しかし、タイヤ自体の強度がバイアスタイヤよりも劣りやすいので、タイヤ外周にベルトを備え補強する必要があります。 ベルトは金属繊維やアラミド繊維が使用され、この素材を含めスチールベルトとも呼びます。現在ではベルトが浮き上がるのを阻止するため、アラミド繊維が使用されたオーバーレイヤーの層で保護しています。

また、サイドウォールの柔軟性はタイヤの性格に影響してきます。柔軟性があれば乗り心地がよくなりますが、柔らかすぎると、コーナリングではグリップ力が発揮できなくなります。ショルダーにはトレッドに発生した熱を放熱する役割があり、強靭なゴム質が採用されています。

ビードはホイールを確実に保持し、チューブレスタイヤでは密着性を発揮します。ビードワイヤーによって密着性は補強されます。ビードワイヤーはピアノ線を束ねたものです。さらにビードは、チェーファーとビードフィラーによっても補強されます。

トレッドの溝のことを「トレッドパターン」と言いますが、リブ型、ラグ型、リブラグ型、ブロック型に大きく分けられ、溝があることでハイドロプレーニング現象を抑えます。

トレッドパターン

種類別のタイヤ構造

タイヤにはチューブタイヤとチューブレスタイヤがあります。チューブタイヤはタイヤ内部にドーナツ型のチューブがあり、チューブがタイヤの空気圧を保持します。一方で、チューブレスタイヤは、チューブがなく、タイヤ自体で空気圧を保持します。 空気の保持能力を高めるため、タイヤの内部には空気を通しにくいブチルゴムをを配合したインナーライナーという層が張られています。

チューブレスタイヤでは、チューブが無いためタイヤ内部の空気が直接ホイールに触れ、放熱性が高くあります。また、チューブタイヤでは釘が刺さればチューブが裂けてパンクしますが、チューブレスタイヤではインナーライナーが刺さった釘に密着するため、一気に空気が抜けることはありません。 現在では乗用車でチューブレスタイヤが主流となっています。

スタッドレスタイヤは過去のスパイクと違い、金属製の鋲を備えず凍結路や雪上の走行が可能なタイヤです。スタッドレスタイヤは低温でも硬化しにくいゴムが採用されています。トレッドはブロックパターンを基本とし、サイプという切れ込みが入っています。 このサイプにより氷雪にツメをたてるようにして、グリップ力を得ています。

  • スタッドレスタイヤ
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