研磨剤の種類と結合度・粒度について
研磨剤とは
研磨剤もしくは砥材とは、研磨する相手を磨くのに使う固い粒や粉のことです。砥石や研磨シートといった一般家庭にもあるようなものも含みます。手にもって使う手研磨用のものと機械に装着するタイプの機械研磨用のものがあり、使われる研磨剤もダイヤモンドやジルコニアなど様々です。
研磨剤は使われる砥材のほか、結合度や粒度によっても種類が分かれます。もし、これらを無視してしまうと対象物を傷つけてしまったり、研磨剤の摩耗が早まったりしてしまう恐れがありますので加工の対象物によって最適な研磨剤を選ぶことが必要です。
砥材の種類と用途
研磨に用いられる砥材には、いくつかの種類があり、主なものは下記の4種類に大別されます。
宝石としてもしられるダイヤモンドは、最も硬い物質であることでも知られています。したがって、研磨剤としての利便性も高いですが、一方で価格が高価で使われる場面は限定的です。また、鉄や鋼に対しては研磨すると急激に摩耗されることから利用されることはありません。
窒素とホウ素からなる物質で、ダイヤモンドに次ぐ硬さを持ちます。さらに、ダイヤモンドよりも熱に強く鉄や鋼を高速切断したり、研磨したりする場合には有効な砥材です。しかし、こちらも非常に高価なことで知られているため研磨剤として大量に使用するのには向いていないでしょう。
炭素とケイ素で作られる物質で、炭素が含まれるように非常に硬いのが特徴です。上の2つの砥材と比較するとコストに優れますが硬さは劣ります。
また、炭化ケイ素には黒色炭化ケイ素と緑色炭化ケイ素に分類されます。前者はアルミや銅といった非鉄金属に、後者は石材やガラスなどの非金属に利用されるのが一般的です。
酸化アルミニウム(III)はコランダムという鉱石でも知られる砥材です。天然で産出されることから古くから用いられてきた研磨剤でもあり、その種類はいくつかに分かれます。
酸化アルミニウム(III)は、人造が可能で安価に生産が可能なため研磨剤として広く活用されています。また、造られる際の方法や特徴から、さらにいくつかの種類に分類されています。代表的なものは下記のとおりです。
ポーキサイトをアーク炉で融解し、還元してアルミナ分を高くした後で冷却により凝固したものを粉砕・整粒して作られます。一般鋼への軽研削用途での使用が一般的です。
粉末状の酸化アルミニウム(アルミナ)をアーク炉で融解させたあと、冷却により凝固させ粉砕・整粒させて作る砥材です。こちらはステンレスへの軽研削で使用されます。
上記2つのコランダム質砥材と比較してより硬い物質がジルコニアです。一般鋼やステンレスを大きく削る重研削に使用されます。非常に鋭く食いつきが良いため、仕上がりもアグレッシブです。
研磨剤結合度
砥材のほかにも研磨剤結合度も研磨剤を選ぶうえで大切な要素です。これは、研磨剤の硬さを表すための単位で、AからZのアルファベット順に示されます。Aがもっとも柔らかくZが一番硬いというのが特徴です。
研磨剤は硬いほうが良いと思いがちですが、実は加工する対象物の硬さに応じて変えるのが基本です。柔らかいものには硬い研磨剤を使用し、硬い場合には柔らかい研磨剤を使用します。その理由は、対象物に比べて硬すぎる砥石は目つぶれしたり、目詰まりを起こしたりしやすいためです。 逆に、柔らかすぎると振動や砥石の破壊が起きてしまいます。
粒度と作業目安
研磨剤の種類は粒度によっても分かれます。これは、砥材の粒の大きさを表すもので、研削する面の仕上がりに大きく影響します。粒度の分類はJIS R6001によって定められていて、「F+数字」で表記するのが決まりです。数字は大きいほうが細かく、小さいほうが粗いことを表します。
さらに、粒度は砥材の強度にも影響し、加工の工程に適不適があることも覚えておきましょう。粒度が小さく粗い研磨剤の場合には強度は低くなりますが、大きく研削する際には有効です。そのため、粗削りから最終の仕上げまでの用途に応じて段々と粒度の大きい研磨剤を使用するのが基本となります。
研磨剤と一口にいってもその種類や硬さが異なり、使用する用途も違います。加工の対象とあっていない研磨剤の使用は、研磨剤を消耗しやすくするだけでなく対象物を破損させる原因にもなってしまうため注意が必要です。できる限り、研削したい対象に合わせた研磨剤を選ぶようにしましょう。