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界面活性剤の毒性

界面活性剤は、さまざまな分野の産業で活用されている極めて優れた物質です。その一方で、地球環境や人体に及ぼす影響が問題視されることも少なくありません。界面活性剤の持つ毒性とはどういったものでしょうか。 界面活性剤を適切に使用するため、以下でその毒性を正しく理解しておいてください。

界面活性剤の毒性

界面活性剤とは、親水基と疎水基をもつ特質を活かして、水と油分などの本来混ざり合わない物質同士を混ぜ合わせる役割を果たすものです。界面活性剤を用いた洗浄剤や乳化剤の数々は、さまざまな分野で活躍する極めて優れた発明品。 しかしながら、界面活性剤には強い毒性を持つと言われるものも存在します。

界面活性剤の原点は、古来より世界中で使用されている脂肪酸ナトリウムなどの天然成分を原料とする古典的な石鹸です。これらの古典的な石鹸は、生分解性に優れ、環境への影響度が低いものでしたが、その反面、洗浄能力は高くありませんでした。 20世紀の初頭、コールタールを硫酸化することで合成された洗剤が発明されて以来は、石炭由来の合成界面活性剤を用いた洗剤が主流となっていきます。

続いて分岐型アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(ABS)、ノニルフェノールエトキシレート(NPE)などに代表される合成界面活性剤は、古典的な石鹸に比べて洗浄能力に優れたため、20世紀後半には世界の先進国で飛躍的に使用量を増加させました。 しかし、ABSやNPEは生分解性が悪かったため、大量使用によって河川汚染などの弊害が明らかとなり、次第に使用が自粛されるようになります。つまり、一般的に指摘される界面活性剤の毒性は、合成界面活性剤の生分解性の低さによる環境中への残存が、大きな理由のひとつなのです。

界面活性剤による人体への影響

界面活性剤のうち、とくに石油系の原料由来で合成された合成界面活性剤は、人体へ悪影響を及ぼす恐れがあると指摘されています。その影響とはどのようなものでしょうか?

合成界面活性剤は、衣服用洗剤・食器用洗剤・シャンプーやボディーソープ・化粧品など、一般消費者の肌に直接触れる身近な商品にも使用されています。また浄水処理不十分の工業排水などに触れたり飲んだりすることで、知らず知らずのうちに合成界面活性剤に触れてしまうことも少なくありません。

このような場合において、合成界面活性剤が人体の皮膚などに付着した際、界面活性剤の浸透作用が働いて体内に侵入するのではないかと言われています。そもそも人体には、合成界面活性剤を分解する機能が備わっていません。 侵入してきた合成界面活性剤は体内を巡って肝臓などの臓器に蓄積され、次項で詳しく説明する「エンドクリン作用」を及ぼすおそれがあるほか、さまざまな病気の遠因となるとする考え方もあります。

しかし、ひと口に界面活性剤と言ってもその性質にはさまざまなものがあり、人体に対して全く無害なものも多いです。たとえば、食品添加物として使用される食用乳化剤などは、大豆や卵黄に含まれるレシチンを原料としたものが主で、人体への影響はないと言われています。

界面活性剤による環境面への影響

環境への影響がしばしば取り沙汰される界面活性剤ですが、実際にはどのような害を及ぼすことがあるのでしょうか。界面活性剤が環境に及ぼす影響としてもっとも代表的なのは、前項でも触れた「エンドクリン作用」です。

NPEなどに代表される一部の合成界面活性剤は生分解性が低いため、環境中に長く残存します。さらに分解過程においてはアルキルフェノール、またはアルキルフェノールエトキシレートの低付加モル体など、性ホルモンによく似た物質も生成します。

これらの物質に汚染された海洋環境で暮らす水生動物や汚染水を飲んだ人間などに、内分泌作用の撹乱、生殖機能生障害などといった症状が現れることがあります(エンドクリン作用)。このような危険性を鑑み、NPEは現在、一般的な家庭用洗剤としてはほぼ使用されていません。

界面活性剤は極めて有用な特質を持った物質であると同時に、人体や環境に対して悪影響を及ぼす可能性もはらんでいます。その危険性についてよく理解し、適切かつ安全な使用を行いましょう。

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