工具の通販モノタロウ テスターの基礎講座 抵抗(導通)の測り方

テスターの基礎講座

テスターとは、電気・電子回路の状態や状況を知るために電気量を目に見える形に変換し間接的に測り、必要な電気量を判断をするために活用する機器です。本連載では、テスターの仕組み・構造から、測定方法まで、テスターを活用する上で知っておくべき基本的な事項を紹介していきます。
第2章 テスターの使い方

2-4 抵抗(導通)の測り方

■アナログテスターで導通検査や抵抗測定を行う場合には、スポーツと同じようにウォーミングアップ(準備体操)が必要となります。そのウォーミングアップとは、この章ではお馴染みの「零位調整」と「ゼロオーム調整」です。零位調整は毎回のウォーミングアップではありませんが、測定するときには必ず確認してください。もしも、アナログメーターの零位置がズレているようであれば、零位調整器を回して正しい位置に調整します。一方、ゼロオーム調整は、抵抗レンジを変更する度に調整します。調整は、テスト棒のテストピンを重ねて短絡(ショート)させ、ゼロオーム調整器を回して正しい位置である0Ω(ゼロオーム)にします。0Ωにならないときには、内蔵電池が消耗している可能性があります。

■また、アナログテスターでは、抵抗測定モードと抵抗レンジがセットになっていますので、抵抗を測定する最適なレンジのファンクションを選択します。たとえば、導通検査であれば「Ω×1kレンジ」を選びます。導通すれば0Ω付近、断線していれば∞(無限大)付近を指針が示します。また、電子部品である抵抗器の値を測定する場合には、アナログメーターの中央付近で読み取れるレンジを選択します。たとえば、430Ωの金属皮膜抵抗器の場合、アナログメーター中央付近の目盛りが50であれば、その位置が500Ωとなる「Ω×10レンジ」を選びます。抵抗値が不明のときには、大きいレンジから確認し最適なレンジで最終測定することをお勧めします。また、抵抗レンジの切り替えとOFFにするときには、テスト棒を測定対象から必ず離してから行ってください。これは大切なテスターを壊さない秘訣です。

抵抗(導通)の測り方

■デジタルテスターで導通検査や抵抗測定を行う場合には、ファンクションスイッチで抵抗モードを選択するだけで、ウォーミングアップ(準備体操)は必要ありません。しかし、テスト棒のテストピンを重ねて短絡させたとき0Ω(完全に0.0Ωの表示はならない)、離して開放したときにオーバー表示(0.Lまたは0.F)と表示するかをときどき確認してください。表示が著しく異なるときには、内蔵電池が消耗している可能性があります。

■また、デジタルテスターでは、抵抗レンジは自動で判断され単位も自動表示されます。そのため、安定した表示になるまで少し待ってから値を読み取る必要があります。たとえば、導通検査では、導通すれば0Ω、断線していれば0.Lと表示します。また、金属皮膜抵抗器の値は43kΩ(レンジにより表示桁数は異なる)と表示されます。さらに、レンジホールド機能を持っているテスターでは、手動で単位と小数点位置を設定することが可能です。この機能により、抵抗を測定するために最適な、桁数をできるだけ多く表示するレンジを選択することができます。たとえば、43.00kΩのように桁数を多く表示するレンジを選ぶことができるのです。ブザーで導通検査をする導通チェックモードもあり、機種にもよりますが20Ωから300Ωの範囲を導通と判断することができます。また、アナログテスター同様、抵抗レンジの切り替えとOFFにするときには、テスト棒を測定対象から必ず離してから行ってください。これが大切なテスターを壊さない秘訣です。

【参考文献】

内田 裕之、小暮 裕明 共著『みんなのテスターマスターブック』オーム社、2015年11月20日(第1版第2刷)

三和電気計器『CX506a MULTITESTER 取扱説明書』(13-1405 2040 2040)

三和電気計器『PC710 DIGITAL MULTIMETER 取扱説明書』(04-1405 5008 6010)

執筆: 横浜みどりクラブ(JH1YMC)広報 内田 裕之(JG1CCL/W3CCL)

『テスターの基礎講座』の目次

第1章 テスターの概要

第2章 テスターの使い方

第3章 テスターの測定方法

第4章 テスターの活用法

第5章 使用上の注意点、トラブル対応

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